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佐久間大輔

経営戦略としてのメンタルヘルス対策に尽力する弁護士

佐久間大輔(さくまだいすけ)

つまこい法律事務所

コラム

従業員の健康を守る経営戦略

労働法務

2018年9月14日

 経営戦略を立てている企業は多いことと思います。

 経営戦略を立てる軸として、経営理念が確定されなければなりません。従業員の健康を守るという観点から、労働安全衛生法3条1項が、「事業者は、単にこの法律で定める労働災害の防止のための最低基準を守るだけでなく、快適な職場環境の実現と労働条件の改善を通じて職場における労働者の安全と健康を確保するようにしなければならない」と規定していることは、経営理念として参考になります。

 すなわち、従業員の生命や健康が害されるという不幸な事態を回避するためには、従業員の健康に関し、「快適な職場環境を実現し、労働条件を改善して、従業員の健康を確保することにより、労働生産性を向上させる」という経営理念を打ち立てていくことが必要になります。

 この経営理念に基づき、例えば、「長時間労働を防止して、病気による休職者や退職者を減少させるとともに、従業員-管理職-経営者の風通しをよくする体制を構築して、いじめ、パワーハラスメント、セクシュアルハラスメントの原因を小さい芽のうちに取り除くことなどにより、○年以内に、従業員が健康で働きやすい職場環境を作り上げる」といったビジョンを定めることが考えられます。

 経営戦略においては、自社の現状分析をすることが重要となります。外部環境において取引の「機会」があったとしても、「弱み」を持ったままでは攻勢を掛けることはできません。従業員の疲労蓄積や体調不良という「弱み」を見誤ったまま環境分析をすれば、経営戦略も現状を認識できていない誤ったものとなるでしょう。

 業界全体で長時間労働が慣行となっており、残業代の金額が大きい、また、労働者が健康を害したり、疲労やストレスを蓄積させたりして退職することが多く、人材が流出しているという場合、長時間労働を防止して残業代を減らすことができれば低コストとなり、コストリーダーシップ戦略において競合他社に優位に立つことができます。

 この戦略方針を実施するため、経営計画において、例えば、「月の残業を○時間以内として、原則として休日労働をさせないこととし、従業員の疲労を蓄積させないようにする」などの目標を掲げ、この数を具体的にどの程度減少させるかといった数値を設定することになります。

 計画(Plan)を策定し、労使が一致してこれを実行し(Do)、その実績と計画との際を分析して原因を検討し(Check)、今後の対策を練る(Action)という、いわゆるPDCAサイクルにより、経営理念の実現に向けた取り組みをすることが肝要です。

 一見迂遠とも思えますが、従業員の健康を守ることが、顧客や取引先といったステークホルダーにも幸福をもたらし、ひいては企業の信用性、収益性の向上に結びついていくでしょう。

弁護士 佐 久 間 大 輔
つまこい法律事務所
東京都千代田区外神田6-16-9 ICOPビル7階
Tel:03-6806-0265 Fax:03-6806-0266
http://mentalhealth-tsumakoilaw.com/

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