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堀沢紳

「ストレスvs.レジリエンス」を唱えるレジリエンスプロデューサー

堀沢紳(ほりさわしん)

一般社団法人レジリエンスコンサルタント協会

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コラム

ストレスを力に変えよう~「電通流めげ上がり力」とは?



但し、「電通流」と言っても40年前の電通の話です。

つまり「昭和の企業戦士の育て方」です。


私は日々の「ストレス」に対処する自分の意識として、
「レジリエンス3段活用」という考え方を実践しています。

「ストレス」を「受け入れる」⇒「手なずける」⇒「力に変える」という
3段階で捉えるようにしています。

「ストレス」をよくボールと指で表現しますが、
ボールを指で押してへこんだ状態が「ストレスを受け入れる」段階です。
「レジリエンス」はこうしたネガティブな状況を避けるのではなく、
事実として冷静に受け入れて心がそれに対処できるまで待つ力も含むと考えます。

そしてだんだんとボールのへこみを押し戻して元の状態に近づけるのが
「手なずける」段階です。いわゆる「ストレスコーピング」です。

「世界一簡単!ストレスと上手に付き合う方法」の著者堀北祐司氏は
自分がクレーム処理の仕事でうつになった後、いろいろな方法を取り入れて
立ち直った経験を「ストレスと付き合う」と表現しています。

「大木を抱く」「空を見る」「女性誌を読む」「物産展へ行く」など63もあるそうです。
ぜひ一度お試しください。

また我々がよくやるのは「都合よく考える」こと。

「失敗しなければリカバリーの技術は見せられない」
「苦手は全部伸びしろ」
「冷たいご飯にはレジスタンススターチが多い」
「病気をしたからこのことに気づいた」
「ハゲだからこの仕事ができた」

だんだんボールが元に戻ってきました・・・

そして元に戻ってきたボールに、さらに新しい空気を注入する、
これが「ストレスを力に変える」ステージです。
こうすれば次に同じストレスが来てももうへこむことはないですね。

やっとここから電通の話です。40年前の。

私は昭和50年に電通に入社しました。
この頃の電通人のメンタルは「電通鬼十則」と言われる
第4代社長吉田秀雄がつくった「行動規範」によって形成されていました。





「仕事は自ら創るべきで、与えられるものではない」から始まる十か条です。
デンノートという手帳に記載されているこの十か条を頭に叩き込むことが
電通の人材教育の第一歩だったと思います。

この「電通鬼十則」には「ストレス」や「ネガティブ」という概念は一切ありません。
入社当時先輩から言われた言葉が当時の企業風土を象徴しています。

「トラブルは日常、自分の舞台と思え」

つまりこの「鬼十則」が電通人のメンタルの基盤になっていました。

昨年この鬼十則が「パワハラを助長する」という理由で
デンノートから削除されたそうですが、「昭和の企業戦士」としては残念でなりません。

そしてこの基盤の上に、3つの力を積み重ねることで
電通人の「めげ上がり力」(レジリエンス)が育てられます。

さらにボールに新しい空気を注入される訳です。

新しい空気①リベンジ力

電通はモノを売る会社ではありません。
基本は「提案」を売っています。

従ってそこには「勝ち負け」が存在するわけです。
クライアントに拒否される、博報堂に負ける、その繰り返しです。
しかしここで諦めていては仕事にならないのです。

先輩から言われる言葉、

「あのお客の態度、覚えておけよ」
「あの博報堂のやつらのドヤ顔、絶対忘れるな」

「いらない」と言ったお客に「欲しい」と言わせる
負けた相手をギャフンと言わせる。

そのためにまた切磋琢磨して新しい提案をぶつけていきます。

この「リベンジ力」がなければ電通では生き残っていけません。

当時の電通は「体育会系」を多く採用していました。
もちろん「体力」と「上下関係への適応力」も必要な要素でしたが、
体育会系はスポーツの中の「勝負」を通じて、
「絶対次は負けない」というこの「リベンジ精神」を身につけ、
そのためにもっと激しい練習に取り組むという努力を厭いません。
それが「体育会系」を多く採用する理由だったのではないでしょうか。


電通の新入社員が全員挑戦する夏の「富士登山」は
「リベンジ力」を磨く第一歩です。
とにかく山頂まで登るんだという強い気持ち、
そして登り切ったときの達成感を得ることが目的だったと思います。

ひと言で言うなら、

「もういいか人間」から「なにくそ人間」へ。

新しい空気②チームワーク(仲間意識)

電通ではトラブルや失敗は仕事の一部です。
電通鬼十則第4条の「難しい仕事を狙え、そしてそれを成し遂げるところに進歩がある」の
「難しい仕事」には最初から「トラブル」が織り込まれているのです。

そして若手の失敗の尻ぬぐいは必ず先輩がやります。
絶対に一人の責任にはしません。

この教育によって、若手は失敗を恐れなくなります。
また先輩たちのトラブルの収束法を吸収していきます。

電通の仕事は千差万別、極端に言えば隣のチームのやっていることもわかりません。

従ってトラブルシューティングの方法もチーム独自のものになり、
他のチームと共有できないケースがほとんどです。

こうして「チーム力」や「チームワーク」を実践を通じて学ぶことで、
ひとりひとりが力に変えていくのです。

新しい空気③ユーモア力(遊び心)

これが電通の電通たる所以かもしれません。
他の企業ではあまり重要視されないスキルかもしれません。

でも電通ではトラブルが深刻になればなるほど
「笑い」で場を和らげる人間が現れます。

オヤジギャグでもなんでも、とにかく行き詰まりを打破して
次のステップに進むきっかけができます。

私の上司のある役員は完全な禿げ頭でした。
この役員の得意技は、クライアントに謝罪に行くといきなり頭を下げて

「この度は誠に申し訳ありませんでした。この通り頭を丸めてきました」

あまり受けなかったり、火に油を注ぐこともありましたが、
その場の空気が変わって、トラブルの事後策の検討に進む効果がありました。

この「ユーモア力」はなかなか簡単に身につくものではありませんが、
新人でもこうした場面に遭遇することで、社風として理解してゆきます。

ある年齢を過ぎると「マイオヤジギャグ」をプールしておいて
場面に合わせて上手に使う名人も出てきます。
特に接待ゴルフでは抜群の効果が出ます。

お得意がドライバーでナイスショット!フェアウエイをボールが転がって行きます。
「いよッ、銀座の花屋・・・ラン(蘭)で稼ぐ」

お得意は上機嫌で「うまい!座布団1枚」となって盛り上がります。

最後に私が電通から学んだ「めげ上がり力」をひと言で表現すると

「人間はネガティブな時ほど、創造力を発揮する」

ということだと思います。

人間はすべてが順調な時はあまり深く考えないのではないでしょうか。
何か困ったことが起きたとき、限られた環境下で解決策が必要になると
頭を使って何かを生み出そうとするのです。
これが私にとって「ストレスを力に変える」原点です。(ほり)

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