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岡部眞明

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岡部眞明(おかべまさあき)

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コラム

最近の値上ラッシュから見えてくること

2018年4月1日 / 2018年4月2日更新

《1個減ってた「ニラ饅頭」》
ASQMIIのコラムJIJICOに書かせていただいた、このところ値上げ続く値上げについて、もう少し追加してみたいと思います。確かにこのところ値上げのニュースをよく耳にします。私が好きな「ニラ饅頭」のパックを開いた女房の発見、「あっ、1個減ってる!」。
9個入りが8個入りに、パッケージのロゴに隠れる部分にあったはずの1個が抜けていました。値上げは何とか回避しての苦肉の策、メーカーの苦労がしのばれます。
今回の値上げの動きは、物流業界に象徴的に示される人手不足がコストアップ要因とされています。数年前から、政府主導での労働者賃金アップによる消費の活性化を消費者物価上昇を目指していた安倍政権が、ネット販売の拡大による物流コストの上昇を梃に、目的を達成する道が少し見えてきたと言えるのかもしれません。

(物価と給料が作る景気のスパイラル)
物価と給料の関係は、図-1に示しましたが、売り上げが上がれば会社の利益が上がり、利益が上がれば、給料が上がり、その給料で商品を買えば、更に、会社の売上が増して、利益があがり、給料が上がる・・・、という循環が生まれます。


商品やサービスが多く売れるということになれば、当然、価格が高くなり(値上がり)ます。ということは、お金の価値が相対的に下がるということなので、労働の価値(給料)も高くなる(給料アップ)ということなのです。
この「モノやサービスの価値に対してお金の価値が相対的に低くなる」(=物価が上がる)状態を好景気、反対に「モノやサービスの価値に対してお金の価値が相対的に高くなる」(=物価が下がる)状態を不景気といいます。好景気の時は、お金の価値が下がるので、手元に置いておくよりもモノに変えてしまう(=消費)ほうが得なので、お金を使います。お金が世の中に多く出回って、経済活動が活発になるという訳です。

《給料が物価に追いついていない》
物価と給料の関係については、JIJICO(https://asqmii.com/jijico/2018/03/28/articles30142.html)をご覧いただくとして、景気の動きと同様の動きをするといわれる(=一致指数)有効求人倍率の動きと連動して上下しながら、消費者物価と給料はなだらかに上昇しています。このうち、現金支給額(給料)と消費者物価の変化指数の差を抽出すると、1980年代後半から2000年後半にかけて、マイナスになっています。(図-2)この間、有効求人倍率も2010年代初頭にかけて1を下回る時期が続いていますが、バブル期や、リーマンショック前の景気の上昇局面でも、現金支給額が消費者物価を下回る傾向が強い時期が続いていることがわかります。




《非正規雇用が増えている》
この間は、バブル景気を経て、その後の失われた20年といわれる時期にあたり、特に2000年以降グローバル化、IT化の波が押し寄せ日本の企業も、好むと好まざるにかかわらず海外の企業との戦いを強いられることになった時期でもありました。その戦略のキーワードは、企業体質の強化=コストダウンでした。
企業は、最大のコスト人件費を、非正規雇用によって削減を図ります。1986年施行の派遣法がこの動きを牽引しました。
この後、非正規雇用が企業の雇用を満たし、2017年には雇用全体の37.3%を占めるまでになります。(図-3)



非正規雇用の拡大は、働き方の選択肢を増やし、男性労働者の21%が非正規雇用で働いています。さらには、女性の労働市場への参加を拡大させ、就労数で3.4倍、56.4%が非正規雇用となります。(図-4)




《景気だけではない事情》
この現象は、どうして起こったのでしょうか?この頃の求人と求職者の関係をみてみましょう。政府統計の関係で、1996年からのデータですが、有効求人倍率が、0.5付近で上下する時期に、求職数上昇し、求人数が下降しています。(図-5)
私の子供たちもその波の中にいる第2次ベビーブーム世代の出生のピークが1973年の209万人、幼年期をバブルと共に過ごした彼らが大学を卒業する1995年の求職者が195万人となり、2002年には求職者数がピークを迎えます。



失われた20年といわれる時期と、我が国の人口動態上の求職需要の時期が重なり、労働市場の需給が買い手市場を演出し、企業体力の強化に寄与していました。そして、その主役が、パートタイマーに象徴される非正規雇用だったのです。

《非正規雇用が給料を支える》
給料と物価に話を戻しましょう。図-2で見られるように「失われた20年」に、給料が物価を下回ったのは何故なのでしょうか、今まで述べた事実を踏まえもう少しだけ詳しく見てみましょう。
図-6をご覧ください。JIJICOで述べた給料と物価との関係を、非正規雇用の典型のパート労働者と一般の労働者の給料を指数化(政府統計から筆者が指数化)したものを比較すると。一般労働者の給料はバブル崩壊以降むしろ低下しており、パートタイム労働者の給料アップによって全体数値が保たれていた実態が見えてきます。先に述べたように、この時期の労働市場は、非正規雇用で維持されており、図-2にあるように、正規雇用の有効求人倍率は、現在に至るまで1を超えるに至っていません。




《人口減少時代に向けて》
その後、景気拡大が本格化し、コスト削減効果が企業の内部留保を増加させた頃、我が国の人口は2010年の12,800万人をピークに減少に転じ、生産年齢人口も2000年代に入り減少しており、労働市場の逼迫状況が強まってきています。
今後しばらくは、労働市場はこの売り手市場が続いていくと思われます。今後は、正規雇用の有効求人倍率も遠からず1を超えてくると思われますし、働き方はますます多様化していくものと考えられます。
IT化によるコストダウン、生産性の向上への動きは、ますます加速するでしょう。そのなかで、個別の企業として、勝ち残っていくためには、目先のIT化に目をとらわれるのではなく、会社組織の強みをどうも求めていくのかが問われる時代になるのではないでしょうか。
そうでなければ、生産性競争による低価格競争の波に沈んでしまうことになってしまうでしょう。
※一致指数:景気の動向とほぼ一致して変化するといわれる指数。有効求人倍率以外に、商業販売額、営業利益、大口電力使用量などがある。
注)図-2~6:政府統計(有効求人倍率、消費者物価指数、毎月勤労統計調査から筆者作成)

中小企業にとって最大の経営資源、「人と組織」から考えます。
http://www.oka-masa.info/

外国人研究者のための法人を立ち上げました。留学生やワークショップにも大手不動産会社と連携して支援します。
また、地域文化と外国人、地元企業と首都の企業の協働をプロデュースして、地域から日本を発信します。
http://www.glcc.or.jp/

私の愛読書が紹介されました。よろしかったらどうぞ。
https://my-best.com/lists/324/

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