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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

エンディングノートに何を書く?

2021年11月25日 公開 / 2021年11月26日更新

テーマ:終活~エンディングノートを書くということ

コラムカテゴリ:法律関連


【今日のポイント】

 このコロナ禍の中、終活に手を付けた方は多いようです。
なかでも遺言書は未だ抵抗があるものの、エンディングノート作成は
そろそろ頃合いと考えたようで、最近はまた相談事例が目立ってきました。

 ですが、相談の内容は従来と異なり、その内容や意味合いは認識しているものの
いざ作成と思ったものの、道半ばで挫折してしまったということから
ストレスなくエンディングノートを作成する為のヒントを尋ねるというものになりました。

 そこで今回は、よくある挫折のパターンを紹介すると共に、
最低限記載する内容は何かについて、紹介したいと思います。

【挫折するパターン】

 まず、どういう挫折のパターンがあるのか?
主なパターンを簡単に紹介しましょう。

1)1ページ目の1行目の記入項目から順番に記載する
 いわば王道タイプの方です。
そして挫折が最も多いパターンのひとつです。

 性格的に空白のまま次に進むことに強い抵抗を感じるようで、
項目順に徹底的に調べて記入します。
 
 場合によっては関連する項目が後半になって出てくることもあり、
再度類似の項目の調査をするといった非効率な作業になることもあります。

 その為、かけた時間のわりに遅々として進まないことが多くなり、
達成感に乏しいことから次第に意欲の減衰、作業の中断からの挫折となるのです。

2)いきなり難問から挑戦する
 1ページ目から律儀に書き込む、書きやすい項目から書き込むに並ぶのが、
最初に難問を解決して、後は楽に記載していくことを狙うタイプです。

 私の言うところの「先憂後楽」とも言え、この選択をする方は結構多いのです。
 
 ですが、
いきなり相続財産調査に取り組み、口座の確認や不動産の名義確認作業等、
手間と時間がかかる作業に予備知識なく取り組んだ結果、二度手間、三度手間を
繰り返し、あえなく作業から撤収、最初の躓きでその他の項目に取り組む気力迄
喪失してしまい、作成自体を「無かったこと」にしてしまうケースが目立ちます。

 結局何ら成果を出すことなく「先憂後憂」で終わってしまうのです。

3)自分が覚えている情報を先に記載していく。
 こちらは、逆に書きやすい項目から記載するタイプです。
当然自分自身に関する情報ですから比較的スムースに作成が進みます。
本籍地、現住所、氏名、年齢、血液型に加えて学歴や職歴はほぼ時間をかけずに
記載が出来るので、進捗度合いが目に見えて分かることからより積極的に取り組みます。

 ただ、ここでも不意に記憶の欠落部分に遭遇して急停止するケースがあります。
転勤族の家庭に育った場合は、転校時期があやふやだったり、就職後の異動時期も
案外うろ覚えで済ませてきたため、いざ正確な日時を記載しようとした時に挫折します。

 ある程度大ざっぱな性格であれば
「後回しにする」「とりあえずの日時を記載して済ませる」で次に進めるのですが、
ここでも几帳面な方は旧友に連絡をしたり、辞令を探し始めたりと本末転倒な方向に
手間と時間をかけ過ぎてしまい、その結果、ある日突然気持ちが折れてしまい、
または予定していた作成の猶予時期間が終わったことから、作業を中断、
結局そのままエンディングノートの作成自体を無期延期としてしまうのです。

 
 既にお分かりの方もいらっしゃるでしょうが、これらに共通するのは、
共に非常に几帳面な性格の方で、何事にも完璧を求めるタイプです。

 どうも終活に対しても、最初から完全な内容を目指す傾向が強く、
エンディングノートにしても、いきなり遺言書並みの完成度を求める傾向があります。

 本来は遺言作成の入門編・練習台として作成することが、
エンディングノートの役割と言えるのですが、そこをあえて必要以上に正確さを求め、
記載項目は全て記入し、かつ完璧な内容で1発で完成させることを目指してしまうのです。

 作成を思い立った時の
「とりあえず、遺言書のたたき台を作成すればいい」という気持ちが、
何故か途中から「作る以上は、完璧なものにして遺言書の作成を容易にしたい。」
に切り替わっていることにあまり自覚がないようです。

 例外的な事例としては、目次を見た途端に予想以上に記載項目が多いこと、
自分が知らないことが多すぎること(調査という作業量の多さ)に早々と戦意喪失し、
せっかく購入したニートをそのまま引き出しにしまい込んだという方もいました。

【何のために作成するのかを考える】

 そもそもなぜエンディングノートを作成するのか?

 もしもの時に家族に無駄な時間や手間と言った負担をかけたくない為のはずです。
では自分の家庭の場合は、何を優先して記録しておくべきかを考えればいいのです。

 エンディングノートに記載する項目、
家族に伝えるべき情報、必要な情報は時間の経過によって優先順位が決まります。


 仮に自分が不慮の事故や急病で入院した場合は、どんな情報が家族に必要になるか?
次に亡くなった場合に、まず葬儀に関して必要な情報は何か?
エンディングノート自体は未完成だとしても、早急に必要とされる情報だけでも
記載されていればその役目は十分に果たしたことになるのです。 

【優先すべき記載項目とは?】 

 大別すれば、記載項目は「自分の為に重要な項目」と
「遺される家族にとって重要な項目」に分けられます。



 私のところでの相談に限りますが、
相談時にどういう内容を優先して記載しますかと尋ねたところ、
相続財産に関する情報という答えが断トツのトップでした(2位は相続人情報)。

 確かに万が一となれば、相続問題は重要な手続きではありますが
あくまでも対象は遺された家族となります。
遺される家族の為の情報が最優先ということになります。
 
 これに対し、自身が記録して家族に伝わるようにしておかないと、
家族を悩ませる項目であり、即断が求められるものは何か?
緊急性で言えば、間違いなくこちらが優先されるべきものでしょう。

 この観点から、個人的に優先順位をつけてみたのが以下の内容です。

1)自分が事故や病気で斃れたら? その時の対応の希望
 事故や急病でも、意識がある場合は別にして、意識不明な状態となれば話は別です。
その後の対応は全て家族が責任を負うことになります。

 投薬や緊急の手術が必要な場合は、
本人の病歴、既往症、アレルギーの有無、常用薬等の情報は最優先事項になります。
家族にも話していない過去の病歴や最近発症に気付いたようなアレルギー症状等は
本人に意識がなければ誰も気付かないままの処置となり、深刻な事態を招き兼ねません。

2)医療に関しての延命措置や尊厳死についての考え、又は要望 
 前項に続き、そのまま要介護になった場合の対応についても
自分の意思を示す必要があります。
誰に介護を頼みたいか、どこで介護されたいか?といった項目です。

 さらに、その後の経過で判断能力を喪失した場合は財産管理などを誰に頼むか? 
もし事前に任意後見や家族信託を締結しているのであればその旨を明記しておきます。

 延命治療や尊厳死宣言についての考えを遺しておけば、家族としての決断の際にも、
当人の想いを知ることで、より納得出来る選択が出来ることになります。
 
3)亡くなった後は? =本人としての希望
 これは主に葬儀に関することで、基本的な情報を網羅しておきます。

 念のために、ごく基本的情報から記載します。

・自分の家の宗派は何か?
・菩提寺はどこか?
・郷里に墓があるかどうか?

 自分が本家の跡継ぎであれば、祭祀承継に関しても記載する必要があります。

 次に葬儀をどうするか(どうして欲しいのか)を記載します。
一般葬から0葬まで、現在は多様な葬儀の形式があることからこれも自分の想いを
事前に家族に伝えておくことで、家族の悩みを一つ解消することに繋がります。

 同様に喪主を立てるなら誰にするか? その人物には話しているか?
さらには既にその人物の承諾を得ているのかどうか等も記載したい項目です。

 一般葬ならば、参列して欲しい人物、訃報連絡だけはして欲しい人物を
 リストアップしておけば、家族の負担はさらに軽減することになります。

4)遺産相続の為の情報=家族の為の情報
 個人的には、上記の3項目だけでもエンディングノートの役目は果たすと思いますが、
書かなくていいというものでもありませんので、紹介しておきます。

 但し、遺言書ではないので記載内容が正しくても、法的な拘束力はありません。
当人の意向を確認することには役立ちますが、あくまでも備忘録的な位置づけです。

 まずは相続人情報ですが、正式な家系図が必須となりますし、
存命中の親族の最新の連絡先も更新しておきたい情報です。
 
 次に相続財産情報となります。相続人からは最も関心が高い情報です。
預貯金、有価証券、各種保険証券、それぞれの連絡先と作成時の残高や評価額
不動産があれば名義人や所在地の情報等です。

 ローンや借入金、連帯保証人情報は「負の財産」情報として漏れなく記載します。

 他には、遺贈や寄付の希望があれば併せて記載しておくといいでしょう。

 さらに、本人確認用の重要書類として、
マイナンバーカード、保険証、パスポート、公的年金の情報も欠かせません
年金についてはその種類と基礎年金番号も明記しておけば効率よく対処出来ます。

【結び】

 繰り返しになりますが、個人的には4)を除く上記3項目だけで
十分エンディングノート作成の意味はあると考えています。

 これも何度も書いていますが、
自分の最期に関することを直視する事は、今でも抵抗感がある。
ましてや、その時の対応を文書化することにはなかなかの決断が求められます。

 ですが、
何の情報もないまま治療や介護、葬儀に関することを決めなくてはいけない家族は
より重い責任を感じるのです。

 正解を聞こうにも既に聞ける状況ではないのですから、
必ずと言っていい程「あれで本当に良かったのか?」「お父さんは満足したかしら?」
といって永遠に答えが出ない自問自答を繰り返すのです。

 
 さらに言えば、必ずしもエンディングノートという形に拘ることもありません。
先の項目だけを日記帳に記載しておくとか、便せんにしたためて保管するだけでも
情報として、効果は発揮します。

 家族にとって必要不可欠な情報を優先して作成するという基本が決まれば、
派生する情報は後回し、あるいは省略してもいいと割り切れますから、
完成させる為の手間と時間を集中する事にも繋がります。

見栄えや見てくれではなく、
自分と家族に有益な情報を優先し充実を図る事


 エンディングノートに取り組む際には、まずこの思いを持つことを推奨します。

 
 

この記事を書いたプロ

寺田淳

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寺田淳(寺田淳行政書士事務所)

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