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寺田淳

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寺田淳(てらだあつし) / 行政書士

寺田淳行政書士事務所

コラム

その後の2022年の生産緑地問題について

2021年7月22日

テーマ:最近の話題から

コラムカテゴリ:法律関連


【今日のポイント】

 前回のコラムで今年の路線価をテーマにしましたが、その関連で思い出したことがありました。それは約3年半前の2018年の2月に、このコラムで採り上げた不動産(=大都市圏の生産緑地)の2022年問題です。

 掲載後に法改正があり、それによって当時掲載した内容から若干変更された項目が出てきましたので、今日はその点を中心に改めて生産緑地の2022年問題について紹介したいと思います。

【来年に迫った生産緑地問題】

 この問題を簡単に紹介しますと、1992年に施行された「生産緑地法」によって東京23区など大都市圏の市街化区域内の農地が「生産緑地」とされました。

 この法律によって、当該の土地所有者は農業を続けることで固定資産税、相続税面で優遇されることになったのです。

 ですが、同時にこの法では以下のことも決められました。

・生産緑地の指定から30年を経過した場合
・所有者の死亡により農業の継続が出来なくなった場合
・農地として買い取りを希望する営農者が出てこなかった場合


 この場合には、生産緑地の指定が解除されます。

 ちなみに、2019年12月末時点でこの生産緑地は全国に12,100㌶あるということです。

 来年2022年は、上記にある「指定から30年経過」にあたる年となります。特に、大都市圏の生産緑地がこの規定に則って一斉に指定解除を選択した場合、「農地の宅地化」が一気に拡大する可能性が出てきます。
 
 その結果は、当然ですが周辺地域の不動産価格の下落、資産価値の低下を招くことになるのではと囁かれているようです

 これが「2022年の不動産問題、生産緑地の宅地化による価格下落問題」と言われるものです。

【宅地化によって変わる不動産売買事情】

 これまで農地だった土地が一斉に宅地として売り出されたらどうなるか? 売却側、購入側の立場で見てみましょう。

 まず焦点となるのは大都市圏にある生産緑地です。特に東京23区内の存在するものが大きな意味を持ってきます。具体的には練馬、世田谷区に生産緑地が多く存在しています。

 例えば、この地域に現在宅地や不動産を所有しており近い将来に売却を検討している場合、2022年以降になると「競争相手の急増」によって実績売価が下方修正を余儀なくされ、当初目論んでいた売却収益が大きく減少することが考えられますし、それを理由に仲介業者から買いたたかれる可能性が高まる可能性が出てきます。
 
 特に家庭の事情で早急に現金収入が必要な場合等は、いわゆる「足元を見られる」形での売買交渉となり、結果的に不本意な内容での買取交渉を進められる恐れが出てきます。

 今度は逆の立場から見た場合ですが、何も焦って当該のエリア内で不動産を購入することはなくなります。2022年以降の「購入候補の不動産の急増」「それに伴う実勢売価の低下」を待てばいいのです。選択肢は増えて、予算は低く抑えられれば購入側は万々歳です。

 どちらの場合も、この道のプロである不動産業者並みの地域の不動産事情や市場売価などの情報を積極的に入手して、交渉に臨まなくてはいけませんが、その価値はあると言えます。

【その後の推移】

 ですが、その後生産緑地法は改正され、「改正生産緑地法」では「一定条件を満たす農地を特定生産緑地として指定できる」こととなり、税制優遇措置がさらに10年延長して適用されることとなったのです。~以下は当該箇所の抜粋になります。

(特定生産緑地の指定)
第10条の2 市町村長は、申出基準日が近く到来することとなる生産緑地のうち、その周辺の地域における公園、緑地その他の公共空地の整備の状況及び土地利用の状況を勘案して、当該申出基準日以後においてもその保全を確実に行うことが良好な都市環境の形成を図る上で特に有効であると認められるものを、特定生産緑地として指定することができる。
2 前項の規定による指定(以下単に「指定」という。)は、申出基準日までに行うものとし、その指定の期限は、当該申出基準日から起算して10年を経過する日とする。


 この他にも生産緑地の賃借をした場合でも「納税の猶予を適用する」といった法律も整備されてます。詳細を述べる紙数もないのでリンクを貼りますので、興味のある方は参照にして下さい。
都市農地の賃借の円滑化に関する法律

【選択・決断には十分な検討を】

 上記のように、いざその時が近づいてきたときに事前に想定できる問題に対しての対応は現時点ではかなり評価出来るものと思えます。これらの対応により、来年に一斉に生産緑地を売却するといった雪崩現象の可能性はかなり低くなったと言えます。その結果、これまで言われたような急激な土地価格の下落や競合激化といった問題はほぼ起こらないのではと言われ始めてます。

 もちろん、場所によってはこの限りではないでしょうから自身が持つ不動産の動向がどうしても気になる方や、当該地域での土地購入を考えている方などは、最寄りの不動産業者等へ実勢売価の見通しなどを問い合わせてもいいでしょう。


 最期に、この話題の詳細については、前回のコラムにリンクを貼りましたのでそちらを参照して下さい。
2022年の生産緑地問題

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