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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし)

寺田淳行政書士事務所

コラム

ご存知ですか? 7月は相続税の税務調査開始月です!

最近の話題から

2018年7月13日 / 2018年9月19日更新

 


【今日のポイント】

 通常7月と言いますと、夏のレジャーシーズンの始まり、なんとなく浮かれ気分になる方も多いかと思いますが、実は相続税の税務調査はこの7月からが新年度となり、一斉に税務調査を始めること、ご存知でしたか?


【相続税の税務調査】

 通常官民共に会計年度は4月~3月です。 但し、税務署だけは7月から会計年度と言いますか事業年度がスタートするのです。 これは2,3月には確定申告の業務という年間最大の繁忙期があるためで、その業務が片付く7月からを新年度と設定したということだそうです。

 所謂「臨宅」という税務署からの連絡は7月の中旬、来週辺りから本格的にスタートします。 ご存知かもしれませんが、相続税の時効は5年ですから、相続発生後の1,2年までは相続人もそれなりの心構えや、備えを固めているのですが、さすがに5年目ともなると、不意打ちの様相を呈してきます。 それを狙ってか相続税の調査は相続発生後3年目以降に入るケースが多いとも聞きます。 納税者側からすれば、油断したところを見計らってやってくるのが税務調査?というイメージでしょうか?

 特に相続税の非課税枠の改定後は、所謂一般家庭のレベルでも相続税納税対象になる可能性が高まっています。

 ですから過去5年以内に相続を経験した方にとっては、今月からいつ何時、税務署からの「臨宅」が入ってもおかしくないということを肝に銘じて下さい。


【税務調査について】

 国税庁の「国税総合管理システム」通称KSKというものがります。 ここには国民一人一人の過去の所得、不動産売買履歴、株や債券等の売買記録等が蓄積されており、死亡届が自治体に出されるとその自治体は届けのあった翌月までに所轄の税務署にその旨の報告がされます。 ここで早くも相続発生の事実と故人に関する蓄積データから推定遺産総額や相続人の人数までを把握されることになります。

 相続税の申告と納付は、相続発生から10カ月以内です。 そしてこの期間内に納付された税額が正確かどうか? 申告が正しい内容かどうかを5年間の間にじっくり調べ上げてから、税務調査の要ありと判断すれば、動き出すのです。

 この場合、税務署からは2種類の「通知」が届けられます。 ひとつは「相続税についてのお知らせ」といい、相続税の申告の必要性の確認を国税庁のHPにある特設サイトで判定を受けることをお奨めするものです。 いわば「親切心」からの通知とも言えます。

 もうひとつが「相続税の申告等についてのご案内」で、こちらは相続人全員の住所氏名、故人名義の不動産、有価証券、現金預金、生命保険等を可能な限り詳細に提出することを求める内容となっています。 完全に「事情聴取」的な意味合いを持つ通知です。  この時点で「身に覚えのある」ような方はかなり動揺するそうです。 ご案内という言葉のイメージとは程遠い、質問状、尋問書? といったほうが的確かもしれませんね。


【過失、故意? 今一度申告内容の精査を!】

 いくら探られてもちっとも痛くない腹をお持ちという方でも、思い込みや解釈のミスは避けられません。 

 よく指摘されるのが、「相続税課税ゼロ」と「相続税非課税」の混同です。 小規模宅地の特例を例にしてみましょう。今場合例え確実に特例の適用対象の案件であっても、税務署への申告は必須なのです。

 税務署に相続税の申告をすると同時に、この小規模宅地の特例の適用を受ける為の申告もしなくてはいけないのです。この結果、適用が妥当と認められて初めて相続税課税ゼロの「お墨付き」を得られるのです。

 結果的に課税ゼロだから、手続きもゼロでいい、訳では無いのです!

 生半可な知識で相続税計算をし、特例の適用でゼロ申告と独断すれば、結果としては税務署からは「無申告」と判断され当然特例の適用は受けられずに最悪な場合先の税務調査の対象とされるのです。

 この他にも起こしやすい人為的ミスの例として
・「評価額のミス」~不動産の評価額を最新の基準で算定していなかった。
・「要件のミス」~相続人の人数が間違っていた(疎遠な相続人を失念、あるいは故意に?)
・「相続財産のミス」~相続人も知らなかった遺産の存在、独断で未申告にした遺品など

 相続人の人数隠し?の場合は悪意ありと見做される場合が多く、この結果から相続人間にも不信と関係悪化を招くという二次被害に繋がるケースもあるのです。

 また最後の財産の記載ミスは、本当の意味の財産隠しは論外ですが、なかには汚らしい茶碗など記載することもなかろうと勝手に判断していたところ、実は骨董の名品でとんでもない取引額の品だった、一品づつでは数万円の価値の品であってもそれが50~100種類とコレクションしていれば、当然これらも相続財産とカウントされます。 趣味の品というものは親子や夫婦間であっても価値の共有がし難い財産です。 とはいえ、知らなかったで済ますような組織ではありません、税務署は。 ここでも素人判断、生半可な専門知識、最新情報の欠如等といった自己責任に属する原因については厳しい判断を覚悟しなくてはいけません。


【唯一の救いは 宥恕規定?】

 ここまで見てくると、税務調査の前には一刀両断されるしかない? と思われがちですが、実は「情の一面」も持っています。
 
 国税通則法(国税に関する基本的事項および共通的事項について定めている法律)に、宥恕規定とも言われる規定があります。

(災害等による期限の延長)
第11条  国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、※「災害その他やむを得ない理由」により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令(※国税通則法施行令第3条)で定めるところにより、その理由のやんだ日から二月以内に限り、当該期限を延長することができる。

 ※災害その他やむを得ない理由の例としては
① 震災、風水害、雪害、凍害、落雷、雪崩、がけ崩れ、地滑り、火山の噴火等の天災
② 火災その他の人為的災害で自己の責任によらないものに起因する災害
③ 災害に準ずるような状況又は当該事業者の責めに帰することができない状況にある事態

 と規定されています。

※誠に遺憾ながら、今回の西日本の大災害はまさにここにある①に該当するものです。 被害に遭われた方々には心からお見舞い申し上げます。


 先に書いた小規模宅地の特例の解釈のミス等は悪意がないと認められれば、この規定の(おそらくは③で)対象と判断される場合もあるそうです。 過失、錯誤によるものであるならばまずはその旨を当該税務署長あてに申し出てみて下さい。

この記事を書いたプロ

寺田淳

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2018-09-19
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