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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし)

寺田淳行政書士事務所

コラム

情報の確認は徹底的に! ~相続財産の場合

業務上の実例紹介

2018年6月27日 / 2018年9月19日更新


【今日のポイント】

 前回のお墓に続いて今回は貸金庫と、取引金融機関を採り上げてみました。 こちらも情報の一定期間ごとのメンテナンスが求められるものです。



【貸金庫の場合】

 最も保管場所として安心安全といえば、貸金庫が挙げられます。 でも実際のケースでは一度金庫に保管した時点で気が緩むのか、保管時の内容は詳細に記録しておくもののその後の出し入れの記録を意外に記録していないのです。 

 これに関連した、特に極端な事例を紹介しますと、自分に時間の余裕がなかったため、同居する家族に代理人として貸金庫に書類を保管してもらったことをその後に失念、代理で出向いた家族もその後に転勤で家を離れた為、事情を知る人間がいなくなり、ある日「紛失? 盗難?」の騒ぎとなってしまいました。 

 もっとレアケースですが、通常貸金庫は貴重品を預け入れる収納ケースを自分の契約した金庫のスペースに保管します。 それがある日いつものように収納ケースを開いて保管物の確認をしたところ、今は存在しませんが、割引債という高額な債券数枚が紛失していました! この時は、常に金庫の契約者である本人だけしか出入りをしておらず、その本人が身に覚えがなかったことから一時は金融機関を巻き込んでの騒動になりました。

 この結末は、なんと当事者本人が何を思ったのか、収納ケースではなく、直接金庫室に保管していたのです! その上に収納ケースを置いて出し入れを繰り返してきた為に、発覚時には1枚1千万円の額面の債権は奥に押し込まれくちゃくちゃの状態だったそうです。

当事者の方は後から判明したのですが、若干認知症の症状が出始めていた頃だということでした。

 何らかの事情で契約者以外に出し入れを頼む際にも後のトラブルの元が発生することは少なくありません。 先に書いたように依頼された件だけを遂行していれば問題はありませんが、中には不心得者がいて中身を全てチェックし、後日お目当ての品の「生前贈与」を強要するケースや、遺産相続の際に優位に立つために保管物の一覧を勝手に作成するケースもありました。 

 貸金庫契約者数名にインタビューした範囲ですが、ほとんどの方が保管物の記録を作成していない、あるいは契約時に保管したものだけは記録してあるという状態で、定期的に中身の確認をしているという方はたった一人でした。 また全ての方が一度は自分以外の人物に貸金庫に入ってもらっているとのことでした。

 私自身も貸金庫を使用しているのですが、たまにですが「保管しているつもり」で確認に出向き、それがケース内にない!という事態に動揺したことがあります。 私の場合は、保管しに行く予定が事情により延期になり、そのまま行きそびれたにもかかわらず、スケジュール表を修正していなかった為てっきり保管したものと思い込んでいました。 実際にこういった思い込みで「入れたはず」「出したはず」が、なくなったと騒ぎ出すことは少なくありません。

 やはり、保管時だけでなく、金庫の出し入れをした際にはその時の保管物一覧を確認し、日付を記入した記録を用意すべきでしょう。 私は出入りの都度、その時点の記録メモに削除、追加の事実と日付を手書きで書き込み、半年に一度修正された記録内容を改めてパソコンで作成し、保管するようにしています。



【取引金融機関の場合】

 次は取引金融機関が分からなくなるといったケースです。

 これにはいくつかのタイプがありました。
・生前(口座を持っていると)常に口にしていた金融機関に口座がない。
・当人の記録(備忘録や日記、あるいはエンディングノート)にある金融機関(の支店)に口座がない。
・当人の記録にある金融機関(または支店・出張所等)がない。

 最初の事例は当事者が既に亡くなっているのであれば確認のしようもなく、言い間違いか聞き間違いとしか言えません。

 また二番目のケースはこれも記録にはなっているものの、本人の記憶違いというケースがかなり目立ってました。 多くの場合、口座開設時期がかなり古く(当人がまだ若い頃)、当人自身も当時の金融機関名を正確に思い出せないまま(確認しないまま)記載していたのです。 他にも金融機関の統廃合に伴う口座の集約をした際にうっかり廃止された口座のあった金融機関名を継続金融機関として誤記したというケースもありました。

 最後のケースは金融機関の統廃合、それに伴う拠点の撤収、統合、単独の金融機関の規模縮小等によって店舗自体が消滅しているケースや、店舗はあるものの、記載されていない金融機関の支店になっていたという場合です。

 どのケースでもほぼ共通していたのが、肝心の通帳が見当たらないということでした。 エンディングノートを作成していたにもかかわらず、通帳の保管場所を記載して無く、結局出てこなかったというケースもありました。

 最も多かった事例では 当事者がいずれ保管場所を教える、つもりだったものの急逝してしまった、気が付いた時には認知症が進行しており確認が出来なくなったなど等で、大切な相続財産の一つである通帳の在り処が分からなくなってしまったというのです。 

 この場合でも、前述した貸金庫の中身の定期点検と同じく、取引金融機関が統廃合等で通帳を変える必要が出た際には早急に最新のものに切り替える習慣をつけておくことで、かなりのリスクが軽減されます。

 最近ゆうちょ銀行からの案内で従来からの紙の通帳からネット上のオンラインの通帳への切り替えを推奨されました。 曰く記帳の手間が省ける、自宅で何年も遡って過去の履歴を閲覧できる等のメリットが謳われていましたが、当然ながらこのサイトへのアクセス方法を家人に伝えていなければ、「遺産となる金融資産」の把握は非常に困難になります。 家族に内緒に口座を開設していた場合は、誰にも知られることなく、「死蔵された財産」にもなり兼ねません!


 このように、相続に関連する事項というものは、日頃のちょっとした注意でスムースな相続財産の内容把握に繋がり、同時にトラブルやアクシデントを防ぐことにも効果的なのです。

 さて、貴方は関係する案件のうち、どれだけ、どこまで最新の情報にメンテナンスしてありますか? 

この記事を書いたプロ

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2018-09-19
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