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寺田淳

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寺田淳(てらだあつし)

寺田淳行政書士事務所

コラム

負動産処理の幕開けか? 所有者不明地の公営利用認可

空き家・空き地問題

2018年6月11日 / 2018年6月29日更新



 【今日のポイント】

 2018年6月6日の参院本会議において、所有者不明の土地の利用、活用を促す特別措置法が成立しました。 今日はこの法律の概要について、紹介していきます。



【特別措置法の内容】

 これまでもこのコラムで採り上げてきました「無主の土地=所有者不明の土地」によっておこる問題として、所有者の同意がなければ何も手が出せなかったという点に尽きます。

 この為、生活道路の建設が宙に浮いたり、公共施設も建設場所に苦慮したりという不都合が生じてきましたし、場所によっては崩落や周辺環境への悪影響を与えるような状況の土地もあり、打開策が急務とされてきました。

 今回の特措法の成立により、都道府県知事の判断によって最長で10年間の利用権を設定し、公益に即した目的物~公園や仮設道路、文化的施設等の設置を認めることが可能となりました。 因みにこの特措法は来年の6月迄に施行されるとされています。

 法律の主な内容は、以下のようになっています。

〇 対象となる土地
  ・建築物がないこと。
  ・利用に反対する権利者がいないこと。
 
〇 利用内容
  ・市町村による公園や仮設道路の建設。
  ・公益目的であることを条件としたNPO法人による直売所や駐車場などの設置。


  仮に、持ち主が判明した場合は期間終了後に原状回復して返却し、10年の期間を過ぎても持ち主が現れない場合は利用期間の延長も認める方向とのことです。


【続く土地問題対策】

 これまで所有者不明の土地の存在の為に、都市計画や道路などの公共工事が進められないという場合には、最終的には都道府県の「収用委員会」の審理を経てからでないと土地の収用といった具体的行動は出来ませんでした。

 それが今回の特措法成立によって、この審理を経ずに収用が出来るような対策も織り込まれました。 詳細は不明ですが、大幅な時間短縮に繋がるのではないでしょうか?

 さて所有者不明の土地対策は、これだけでは根本的解決には至りません。

 第一弾となる今回の対策(特措法)を再度まとめると次のようになります。

「公益目的に利用」
 知事の判断で最長10年間の利用権を設定。
 公園や直売所など公益目的の利用が可能になる。

「公共事業の妨げになる土地の収用手続きを簡素化」


 これに続く第二弾としては2020年までに現行法の改正などによって対応する予定だそうです。 具体的事例としては、以下のようなものが検討されるようです。

 ・所有者の把握、実態確認
 ・地籍整備の加速
 ・登記官の調査権限の強化
 ・登記簿と戸籍の情報の連携


 これらに加えて、今後の新規発生の抑制を図るべく、「相続登記の義務化」も予定されています。 ~今まで相続登記を行わなくても何のお咎めもなかったことが相続登記による名義人の変更を怠るケースが多かったこと=所有者不明の土地の拡大を助長した事実から、今後は死亡時の土地所有者の把握を徹底することになりそうです。



【(補足) 所有権放棄を認める制度の検討】

 現状に対応する施策のひとつとして検討され始めた土地の所有権放棄の認可ですが、無制限に認める制度にしては固定資産税、都市計画税が大幅に減収になる恐れがあります。 当然その減収分は他の財源の負担増に直結します。 一部の土地持ちの意向を汲み上げた結果を、大多数の第三者が肩代わりするのでは本末転倒です。

  安易な放棄は認めずに、合理性のあるケースのみ所有権放棄を認める「限定承認」とすべきでは?
  放棄された土地は誰が管理するのか? 
  その管理費用をどこが負担するのか? 

  まだまだ解決すべき項目は山積しています。 
今後どういった対応策が用意されるのか?注目していく必要があります。 

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寺田淳

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