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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし)

寺田淳行政書士事務所

コラム

固定資産税の基礎知識

最近の話題から

2018年5月25日

【今日のポイント】

 前回のコラムで固定資産の評価替えを採り上げたので、今回はそもそもの固定資産と固定資産税に関する基礎的な項目を簡単に紹介したいと思います。

【固定思案の定義】

 そもそも固定資産とは何を指すのでしょうか?

 固定資産税の課税対象となる固定資産とは、「地方税法」で定義されており、「土地」「家屋」「償却資産」の3つとされています。
 
「土地」
 宅地、田畑、山林といった「土地登記簿」に登記される土地を指します。

「家屋」
 住宅や店舗、工場、倉庫などの「建物登記簿」に登記される建物が該当します。

「償却資産」
 正確には「事業用の償却資産」が該当します。 機械設備、各種装置、ヘリコプターやプレジャーボート等の法人税や所得税で減価償却の対象となる資産が該当します。 但し自動車税、軽自動車税の対象物はここには含まれません。

 また混同されやすいのが設置の仕方で評価が変わる設備がある点です。 例えばビルトイン型の大型の空調機器は「家屋と一体構造の設備」と見做されて「建築設備」の扱いになりますが、後付けの通常型のエアコン等は「償却資産」扱いになりますので注意が必要です。
 
 また冒頭に書きましたが、「課税対象となる固定資産」とわざわざ断ったのは、「非課税になる固定資産」もあるからです。

 公共用の道路等がこれに当たりますし、宗教法人所有の寺院、学校法人の学校なども非課税扱いになります。 我々に身近な事例としては、「課税標準額に満たない」固定資産も非課税になります。 土地ですと30万円、家屋は20万円、償却資産の場合は150万円が「免税点」となっており、これに満たない資産には課税がされないのです。

【納税義務者は】

 毎年1月1日の固定資産所有者が「納税義務者」となります。
 課税は市区町村(東京は23区ではなく都が課税)が行います。

 ですから、仮に1月2日に不動産を売却し、その直後に所有者を変更したとしても「1月1日時点の所有者(売却元)」が、その年1年分の固定資産税を納付しなくてはいけないのです。

 とはいうものの、実際の不動産売買の際には当時者間の話し合い(または売買契約時の取り決め)で固定資産税を日割り計算して精算するケースが少なくありません。 

 但し、あくまでも商慣習の範疇での話です。

 

【課税対象と課税方式】

 課税対象となる固定資産は「固定資産課税台帳」に登録されているものとされています。 課税台帳には所有者の住所、氏名、固定資産評価額、固定資産の属性(地目や面積、家屋番号や床面積等)等が記載されています。
 
 課税はこの台帳に登録された固定資産に対して行われるので、逆に言えば登録されていない固定資産には課税がされないという事になります。

 固定資産税は市区町村が土地や家屋等を評価し、評価額を決めそこに一定の税率を掛ける事で課税額を算定しています。 所謂「賦課課税方式」が採られています。 

 問題は評価の誤りから実状と異なる評価額とされ、その結果事実と異なる課税がされても、又は異なる税率で算定された場合でもそのチェックは事実上所有者(納税義務者)しか出来ないのです。 下手をすれば永遠に間違った税金を納め続けることもあり得るという事です! そしてその間違いというのは圧倒的に、いやほぼすべての場合で「高く」評価されているという事です。 調べてみたら「低い」評価だったのでなかったことにしている、といった例は少なくとも私は聞いたことがありません。

 但し事業用償却資産は、登記制度が無いため所有者による申告が義務付けられています(毎年1月末までの期限)この申告に基づいて課税台帳に登録されることとなります。

【課税台帳の閲覧】

 この課税台帳に記載されてある情報は概ね4月以降に「納税通知書」と一緒に送付されてくる「課税明細書」で確認は出来ます。 ですが気になる場合は、直接市区町村役場に出向いて課税台帳を閲覧することは可能です。

 他にも同じ市区町村内であれば他の所有者の土地や家屋の評価額を見る事も出来(縦覧といいます)、自己の所有物件との評価額の対比も出来ます。 但し、縦覧の期間は限られており4月以降1カ月間程度となっているようです。 詳しくは自身がお住まいの自治体窓口に確認をお願いします。

【固定資産評価額と課税標準】

 さて、固定資産の評価額は何を基準に決めていくのでしょうか? 実は「適正時価」というやや曖昧な基準です。 その評価方法については総務省が「固定資産評価基準」を定め土地、家屋、償却資産ごとに詳細に基準が設けられているようです。 原則として、この「評価額」がそのまま「課税標準」とされます。 これに一定の固定資産税率を掛ける事で税額を算定していきます。 

 ただ、ご存知のように「土地」の場合は住宅用地に対し固定資産税の負担軽減を目的とした「住宅用地の特例措置」があります。 これによって200㎡までの小規模住宅用地の場合は通常の評価額の1/6に減額され、200㎡を超える場合は1/3に減額されるのです。 これによって課税標準も減額になる為、固定資産税自体が軽減されることになります。

 注意すべき点として、この住宅用地の特例は「1月1日に当該の住宅が存在している」ことが適用の条件となっています。そうでない場合は「更地扱い」となり、想定の6倍の固定資産税が課せられるのです。 旧住宅を解体、撤去する際、スケジュールが年末から年始にかかるような微妙なタイミングの場合は、1月1日には建物が残っていた方が適用対象となり、この逆に年末ぎりぎりに新築の物件が完成しそうな場合は、取り急ぎ年内の完成を図れば、この特例が適用されることになるので、十分な注意が求められます。 1日の差で泣くことも笑うこともあり得る、という事をお忘れなきように!

 

【評価額による波及効果】

 前回のコラムで評価替えについて今年は3年に一度の評価替えの年だから固定資産の評価額について関心を持って欲しいと書きましたが、ここでその意味するところをより具体的に紹介して終わりたいと思います。

 大した固定資産は保有していないから、そこまで神経質にならなくても・・・ では済まないのです。 実は固定資産評価額は多岐にわたる税の基準に使用されているのです!

「都市計画税」 ~市町村税
 固定資産評価額(土地、家屋)×最大で0,3%

「登録免許税」 ~土地の所有権移転登記の場合
 固定資産評価額×1,5%

「不動産取得税」 ~土地や家屋の場合
 固定資産評価額×3%

「相続税と贈与税」 ~家屋の場合 
 固定資産評価額を基準にそれぞれ課税される

 評価額のミスを見逃せば、ゆくゆくは次代にも(相続や贈与の場合)誤ったままの税金の納付を強いることになるのです。

この記事を書いたプロ

寺田淳

寺田淳(てらだあつし)

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