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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし)

寺田淳行政書士事務所

コラム

相続税改正で遺言書にも影響が!?

終活~相続に関する問題

2018年5月11日 / 2018年9月19日更新

【今日のポイント】

 4月からの税制改正に伴う相続税の節税対策の修正について相談されるケースが最近目立ってきました。 特に、既に遺言書を作成している場合、内容によっては節税対策になり得ない場合が出てきました。

 今日はこのような注意事項を中心にまとめてみました。


【家なき子の特例の注意点】

「家なき子特例の見直し」
  これまでも幾度かこの場で紹介してきた「小規模宅地等の特例」ですが、その中にある「家なき子の特例」が今回の改正で狙い撃ちにされました。

 以前に書いた私のブログ「新・先憂後楽」に改正に関して紹介していますので、興味のある方は以下のリンクからどうぞ。
  2018年度の税制改正

 ごく簡単に説明しますと、相続発生前の3年間、相続人が「家なき子」として暮らしてきたことが認められれば、堂々と相続税80%減額の恩恵を享受出来たのです。
  
  問題は、この「家なき子の判定」が、従来はかなり「ザル」でした。 

  主な事例を紹介しますと   
  
1)子の持ち家を孫に生前贈与し、孫の名義の家に子が「間借り=家なき子」する態で、家なき子の認定を受ける。
2)子の自宅を親に「売却」し その家に「家賃なしで賃貸」暮らしをする。
3)親が建てた物件(無論、親名義)に子が「無料で賃貸」する。 
4)子を飛び越して孫に親の土地を「遺贈」する。
  
 今回の改正によって、ここに挙げたような節税対策は全て適用除外とされることになったのです。

 親と別居して、賃貸暮らしを継続してきた場合のみこの特例の適用とする。 極めてシンプルかつ、付け入る隙のない制度になったのです。

 ※家なき子の特例の見直しについては、次回のコラムで改めて紹介していきます。


【貸付事業用宅地等の特例も要注意に】

「貸付事業用宅地等の特例見直し」
 この特例の適用条件は親から相続した「貸付事業用宅地等」のうち、200㎡を上限として評価額は5割減とするというもので、従来はこの貸付事業の運営期間に規定がありませんでした。

 ですから、相続発生が確実になった時点で泥縄式に駐車場やアパート経営を始めてもこの特例が適用されました。

 ですが今回の改正で、「相続発生の3年以上前から」当該事業を運営していないと特例適用から除外されることになりました。 事業開始3年未満の土地を相続した場合には、通常の相続税の対象になります。

 私感ですが、今までが「お目こぼし」だらけの制度だったことにここに来てようやく気付いて、一気呵成に見直しを図ったような気がします。


【銀行と結んだ遺言信託にも要注意!】

 前述したような「旧方法での節税対策」を織り込んだ遺言書の場合、そのままでは節税効果は期待出来ないので、新たな節税対策を盛り込んだ遺言書としての書き換えが求められます。
  
 ただ、遺言信託は無償で遺言の書き換えに対応してはくれません。 大手の場合では書き換えで5万円台の「変更手数料」が発生します。  
 加えて、改めて公正証書遺言として作り直すのですからその為の作成費用が新たに発生しますし、戸籍謄本等の必要書類の収集費用、場合によっては旅費交通費も発生しますからそれなりの「費用」が発生します。

  概算ですが、10万円前後は必要と思われます。

 おカネで済む問題ならまだしも、それ以上に問題になりがちなのが、再度相続人間で遺言書作成の為に協議する事です。 仮に前回の公正証書遺言作成時に、相続人間に多少の不満を残したままに作成していた場合です。

 「前回はよくわからないまま流れのままに判を押したけど、今回は兄貴の言う通りにはさせない!」等、この機会を逃さじと権利主張や議論の蒸し返しを図ってくる相続人が出ないとも限りません!  

 肝心の遺言書の作成自体が暗礁に乗り上げるケースもあるのです!


 【この他の注意事項のまとめ】

「年間110万円の生前贈与非課税の落とし穴」
 非課税枠内での生前贈与であっても絶対とは言えません。
仮に、年間110万円の生前贈与をきっちり10年間継続した場合、又は春、夏、秋、冬の4回に分けて110万円分を10年間贈与した場合でも、税務署判断で「1,100万円の生前贈与の分割贈与」の意図ありきと見做されればそれまでです。

 却って、今年は110万円、昨年は90万円、というように変動額での生前贈与の方が適当です、さらに言えば、2年に一度くらい意図的に120万円とか115万円といった「微妙に贈与税課税」ラインであえて生前贈与して、微々たる贈与税を納付しておくことです。

 こうすることで「生前贈与枠の抜け道を悪用していない」ことを、実績として残しておくこととなり、厳しい追及から逃れることが出来るのです。


「名義預金・タンス預金はほぼ摘発されます。」
 国税総合管理システム(KSKシステム) ~詳細は以下のリンクを参照。
  KSKシステムの概要
によって個人でも法人でも、株取引や不動産取引の事実、給与支払調書、確定申告等の財産に関する情報はほぼ完全に把握されるようになりました。

 この結果、配偶者や子供の名義で口座を開設し財産を移したとしても、双方の口座の入出金履歴から財産の出どころは一目瞭然ですから、財産隠しととられても文句は言えません。

 では、履歴に入出金の足跡を残さない「タンス預金」や「床下預金」ならば? この場合でも結果として名義人が自分の口座から引き出した履歴は残りますから、一括で大金を引き出していれば即発見され、長期にわたってコツコツと「定期的に」引き出したとしてもその履歴を不自然と判断されれば後日使途を追及してきます。

 当然、税務署の指摘(お尋ねという追及)に対し正当な理由を明示出来なければ、最悪の場合加算税の追徴を覚悟しなくてはいけません。

この記事を書いたプロ

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