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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし)

寺田淳行政書士事務所

コラム

2019年 相続法改正へ? 

終活~相続に関する問題

2018年2月23日 / 2018年9月25日更新

【今日のポイント】

 この3年間審議が重ねられてきた相続法の改正ですが、順調に進めば来年2019年に施行される見通しが立ってきました。

 今日は改正相続法で 特に一般の家庭に影響する内容について紹介したいと思います。



【遺留分による問題とは?】

 遺産相続の場合、遺言書があれば原則はその内容に従って相続人が財産を引き継ぐことになり、遺言書がない場合は相続人全員による遺産分割協議によって作成された遺産分割協議書に従って財産分与が行われます。

 これまで相続争いの火種となったケースで意外に多いのが「遺言書があった場合」なのです。

 まず、自筆証書遺言の場合、記載内容の不備があれば、その法的効力は損なわれます。 また記載内容には不備が無くてもそこに記された財産分与の内容に問題があることで相続人同士のトラブルの火種となるのです。

 仮に相続人が配偶者と子供2人の場合、ご存知のように法定相続では配偶者に1/2、子供に1/2(2人なので各1/4づつ)の遺産が相続されます。 この時、遺言者が一人の子供だけを溺愛し、1/2全てをその子供に相続させると遺言に書いた場合でももう一人の子供には法定相続分1/4の半分、1/8だけは相続できる権利があります。 これが遺留分と呼ばれるものです。

 遺留分自体は上記のような親の勝手で不公平な相続にならないような抑止力を持つのですが、逆にどうしようもない道楽息子や放蕩三昧の子供であっても 1/8の財産は相続の要求を出せるのです。

 ここまで極端な例でなくとも、勘違いや思い込みなどで財産分与は明記してあったものの、その額が遺留分を満たさないといったケースは少なくないようで、この「不足分」を巡って相続人間でトラブルに発展するのです。

 そして現行法での最大のネックが、「遺留分の権利を侵害された人が遺留分を取り戻す為の請求を申し立てた場合、全部の遺産が相続人全員の共有とされること」なのです。

 正確には「遺留分減殺請求」と言いますが、これによって自宅や土地、預貯金等全ての遺産は「共有財産」になるため
勝手な引き出しや売却契約などは出来なくなってしまいます。

 これによって解決までに時間がかかればかかるほど相続人間の亀裂がより深刻化してしまうという悪循環に陥るのでした。



【主な改正ポイント】

 多くの実例では遺留分請求の場合、現金、預貯金での提供を希望するケースが殆どということから、遺留分に満たない部分について現金で受け取れる「遺留分侵害額請求権」を新設し、全財産の共有という事態を未然に防ぐことが可能なようにしました。 

 すべての財産の中から不足分を捻出するのではなく、現金預貯金からの捻出ですから結論も早期に出しやすく、解決までの時間短縮も図れます。

 遺留分以外の改正点としては以前にも一部紹介してきましたが、ここでまとめて紹介しておきましょう。

1)自筆証書遺言の改正
  これまでの全文自筆作成から、財産目録等一部の内容についてはパソコン等での作成も可とした。
  ~金額記載ミス等の単純なミスからの全文書き換えの手間がなくなります。
  ~財産内容が変わった場合も「上書き」して印刷すれば済むようになります。

2)遺言書の保管制度の新設
  自筆証書遺言を法務局での保管制度を新設し、保管分については検認が不要になる。
  ~法務局での保管によって遺言書の紛失やねつ造、改ざんが防ぐことが出来ます。
  ~従来の家裁による検認が省かれるので、相続手続きの時間短縮が図れます。

3)配偶者居住権の新設
  財産の所有権とは別に自宅に終身住み続けられる権利。
  
4)配偶者保護
  20年以上の婚姻関係がある夫婦間で贈与された自宅は遺産分割の対象外に。
  ~3)と併せて今後の配偶者の生活に支障が出ないような救済措置として。

5)介護貢献の認定
  子の配偶者(息子の嫁など)にも介護の貢献に対して金銭要求が可能に。
  ~従来の寄与分では十分な対応出来なかった問題への対応として。



【その他の改正ポイント】

 他にも、遺産分割協議中に故人の葬儀等で一定の金額が必要な場合、今までは「相続人全員の合意の下」、金融機関で一部の引き出しが可能でしたが、今回の改正ではこれに加えて、「相続人一人当たり預金額の1/3を法定相続分を上限として換金が可能」になる「仮払い制度」が新設され、より迅速かつ簡便な換金が可能になります。


 以上、これまで現状にそぐわないまま継続されてきた制度の見直しが図られた内容となっていると私は考えます。 まだ修正や追加案件が入るかもしれませんが、これからも施行までの間に関連する情報が公開された時点で、改めてこの場で紹介していきたいと思います。

この記事を書いたプロ

寺田淳

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2018-09-25
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