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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし)

寺田淳行政書士事務所

コラム

高齢おひとり様の住宅事情 ~賃貸住宅を借りるには?

おひとり様の終活

2017年11月22日 / 2018年10月15日更新

【今日のポイント】

 おひとり様にとって「死後に周囲に迷惑をかけないこと」は必ず考えるべき「終活」のひとつです。 
特にこれから賃貸物件を探す場合などはこの点についての「備え」も考えなくてはいけない時代になりました。


【孤独死の現状】

 嫌なデータですが、東京23区内在住で、65歳以上の方の「孤独死」は2014年で2,885人だったそうです(孤独死の現状レポート:日本少額保険協会資料より)
 死亡の確認(遺体発見)迄の時間が、男性で23日、女性で7日、平均して経過しているとありました!
この中には家族と別居中の「孤独死」も含まれているとは思いますが、多くは「おひとり様~身寄りのない高齢者」のケースと思われます。 

 男性が女性の3倍近く時間がかかっているのは、やはり近所付き合い、社会との接点の多少から来るものと思われますが、仕事一筋、会社一筋で生きてきて、リタイア後は周囲との接点もないまま過ごすことになった企業戦士の末路がこうなるのでは何ともやるせないものですね。


【孤独死から生じる問題】

 さて、孤独死からの放置死によって生じるもののひとつに遺体の状態からくる様々な問題です。 自宅の場合であれば家族間で対処すべき問題であり、おひとり様であれば家自体の処分という最終手段も選択は可能です、ですが賃貸物件で暮らしていた場合、隣室や階下の入居者への影響や その後の入居者の募集にも多大な影響を与えかねません!

 まだ別居中の親族や相続人がいるならば、現状回復に必要な費用を請求することも可能ですが、おひとり様となれば結果的に後始末は全て「家主」負担となってしまいます。

 多額の費用をかけてリフォームしても、次の入居者が入る保証はありません。 先のデータによりますと、遺品整理から部屋のリフォームまでで60万円前後の費用がかかっているとあります。

 こういう事態を避けたいとなれば、高齢者、特におひとり様の高齢者に新たなに部屋を貸すことに難色を示すのも仕方ないこと、と考えてしまいます。

 生涯持ち家は避け、賃貸一筋、「宿借り人生」で生きてきた方にとって、これは深刻な事態と言えるでしょう。


【宿借りおひとり様向けの新保険】

 事情により今の賃貸物件から退去しなくてはいけない、でも新たな入居先は高齢おひとり様ということでなかなか見つからない。 あるいは現在居住している物件の家主からやんわりと今後の契約更新について見直しを促される・・・

 とはいえ、私を含め非婚のまま高齢になっていく傾向は年々拡大の一途です。 このまま何もしないまま過ぎていけば借りてほしい物件と家主は増え、借りたい対象は皆高齢、さらにおひとり様ばかりという究極のアンマッチに陥るでしょう。

 こういった背景から新しいタイプの各種保険が誕生してきました。

1)家主側が備えるタイプ

 まず用意されたのは貸主である家主向けの新保険「家主費用・利益保険」と呼ばれるもので遺品整理等の「事故対応費用」で10万円、清掃や修繕等のリフォーム対応で「原状回復費用」として100万円を支払うというサービスです。 他にも次の借り手が決まるまでの補償(但し賃料の80%を最大12か月)で減収分をある程度カバーするというサービスもあるようです。 さらには「お祓いや供養」といったセレモニーにも対応するというプランまで用意されているとありました。

2)入居者が備えるタイプ

 上記の保険は「家主側が費用を負担して、保険に加入」しなくてはいけないものですが、最近は入居者が予め加入し、保険料を負担する「孤独死保険」が用意されました。

 ある保険会社のサービス「孤立死原状回復費用特約」は発売3年で15,000件の受任件数となっています。補償は最大で50万円ですから遺品が多い、発見が遅れた場合にはやや不足するかもしれません。 それでも家主側の持ち出しを軽減することに変わりはありませんね。

 今後予想されることとしては、高齢おひとり様には「保険契約」を入居条件とするケースが普及するのではないでしょうか? 

3)新しい視点の生命保険

 上記2つの保険サービスは「損害保険」ですが、生命保険でもニュータイプが用意され始めています。
死亡時の保険金を家主、物件管理会社などの赤の他人である第三者を受け取り人に指定出来るというものです。
 通常の場合生命保険の保険金受取人は二親等以内の法定相続人に限定するケースが多く、おひとり様の場合加入自体が難しいというのが今までの通例でした。

 ですがこの保険では死亡時保険金を50万円程度の少額に抑えることで受取人の範囲を拡大することとし、身寄りのない方の悩みでもあった死後の葬儀代や遺品整理代の足しにしたいというニーズに応えられるものにしたのです。

 生命保険と言えば、自分以外の親族の為のもの、というのが当たり前と思われてきましたが、今の時代、「自分の為の保険」または「第三者への配慮としての保険」という性質も持ち合わせるようになったのです。 

 
 「立つ鳥跡を構わず」、ではいかにも無責任。 やはり跡は濁さないで去っていきたいものですし、その為の備えは特におひとり様の場合は欠かせない「終活」と言えるでしょう。
 

この記事を書いたプロ

寺田淳

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2018-10-15
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