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寺田淳

シニア世代が直面する仕事と家庭の問題解決をサポートする行政書士

寺田淳(てらだあつし)

寺田淳行政書士事務所

コラム

「負動産」と化す所有者不明の「不動産」問題

終活~相続に関する問題

2017年11月6日 / 2018年10月22日更新

【今日のポイント】

 全国にはどのくらいの所有者が分からない土地があるでしょうか?

先日発表されたデータから見えてくる今の日本における「不動産=土地の意味合い」を考えてみました。



【所有者不明土地問題研究会の報告】

 昨年2016年時点で、全国で所有者が不明、特定出来ない土地の総面積は410万㌶だったそうです。 数字ではピンときませんが、概ね九州の面積に匹敵すると言いますと、その広大さが分かるのではないでしょうか?

 さらに、今の傾向に歯止めがかからないと、2040年~23年後 には総面積で約780万㌶にまで拡大するという試算が出ていました。 この広さを置き換えますと、今度は北海道の面積に匹敵するそうです。

 この面積は基本的には「民間の所有地=私有地」です。 国や地方自治体、企業の所有地を除いた土地の中でのこの面積ですから実際にはさらに広大な土地を意味すると言えます。


【所有者が分からないとは?】

 そもそも所有者が分からないとは、どういうことでしょか?

 まず思いつくのは、土地の相続登記をしていない場合です。 
祖父の代から父親に代替わりした際に故意か偶然かは別にして、土地の相続登記がされないままに子の代になった場合、下手をすれば土地の存在自体、子は聞かされていないケースがあります。 相続登記したくても土地の存在を知らないのですから、所有者不明になるのは当然の結果と言えます。

 また、土地の存在は知っていても、現時点の名義人である亡き祖父に子が何人もいれば、存命中の子のすべてに相続権があります。 子も亡くなり孫の代になっていれば、相続人の数はどんどん増加し、誰がその土地を相続するのか?で話し合いが始まります。 価値のある土地であれば、皆が相続を主張しますし、無価値の土地であれば固定資産税の負担等のリスクは避けたいと、今度は押し付け合いになります。 どちらにしても解決までの間は「所有者不在」の土地となります。

 他にも、私の様な正真正銘の「おひとり様」名義の土地の場合、後を継ぐような相続人がいませんから亡くなった時点で「無主の土地」確定です。

 

【所有者が分かっていても問題な土地】

 さらに、所有者は判明していてもその所有者が認知症や昏睡状態等で自分の意思を発揮できない場合、その土地には手が出せません。その地区の再開発の計画があっても、所有者の了解が事実上得ることは出来ません、手が出せない土地ということから、これも「所有者不明」に加えてもいいのではと私は思います。


【無主の土地が招くこと】

 無主の土地によってどういった不具合、不都合が生じるでしょうか?

 先にも書きましたが、地域の再開発計画のエリア内にあった場合には買収も収用も出来なくなります。 同様のケースでは道路整備(バイパスの計画、高速道路建設等)にも波及します。 また街中にあった場合には商業施設や分譲地としての再開発にも支障をきたします。 何も手が付けられないまま放置しなくてはいけなくなる、ということになるのです。

 放置すれば土地は荒廃しますから住環境の悪化や、、治山治水事業にも影響が及びます。 この様な理由から生じた2016年の経済損失額は、約1,800億円(同研究所報告より) の試算が公表されています。


【土地の持つ価値】

 つい最近までは、土地を持っていることはステイタスでした。 家で言えば、持ち家が男の甲斐性と言われてきたことと相通じるものがあると思います。 ですが今では自分たちの生活圏にない土地や郷里に残る実家等は場合によっては「手に余る」厄介な代物という扱いにされています!

 では、使いみちのない土地だから、買って(活用して)くれるなら誰に売却して構わない、たとえその売却先(購入者)が外国資本であっても?  さすがにそれは土地所有者が了解したとしても、国や自治体が認めないでしょう。

 このコラムでも何回か「空き家問題」について紹介してきましたが、空家に続き、土地の所有も「お荷物な財産」となってきているのが残念ながら現状のようです。

 とはいえ、相続登記を自己都合だけで怠ることは、結果的に相続人を始め周囲の住人や地域に多大な負荷と迷惑をかけることになるのは間違いのないことです。 

 相続について考える際には相続財産の中に不動産があるかどうか、あったとしてその名義が誰になっているかの確認だけは必ずするようにしましょう。 そうすることで少しでも「所有者不明な土地」の増加を未然に防ぐことに繋がるのです。
 

この記事を書いたプロ

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2018-10-22
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