【CFP監修】<2024年12月>金相場・株式市場・ドル円ウィークリーコメント

水野崇

水野崇

テーマ:金相場価格

ファイナンシャルプランナーの水野崇(CFP認定者/1級FP技能士)が、金・貴金属買取を全国展開している「なんぼや」HPに、平日は毎日「金相場価格」の専門家コメントを提供しています。また毎週末は、NYダウ・ドル円(USD/JPY)を含めた金相場価格のウィークリーコメントを提供しています。


2024年12月、全4週のウィークリーコメントをまとめました。

金相場価格・2024年12月のウィークリーコメント

■12/23〜12/27

2024年12月23日〜12月27日週のNY金相場は、2,631.9ドルで週間の取引を終了しました。クリスマス週であったことで欧米市場の取引参加者が減少し、マーケットではポジション調整が中心の小動き推移となった1週間です。ドル建て金価格の11月以降はレンジ相場が続き、上値の目処としては直近高値の2,760ドル近辺が、下値の目処では2,600ドル近辺が意識され、ここもとの上下の値幅は限定されています。NYダウ平均株価は4週連続で値下がりし、43,083.6ドルで週間の取引を終了しました。12月上旬までは株式市場への資金流入が続き、連日のように過去最高値を更新してきましたが、12月4日(水)の終値45,024.2ドルが今年つけた最高値となり、12月以降は利益確定の売りに押される展開です。同じく、堅調な展開で過去最高値を更新し続けたナスダック指数は、12月16日(月)の終値が、S&P500指数に関しては12月6日(金)の終値が今年の最高値となりました。外国為替市場では、12月以降はドルが買われ円が売られる状況。ドル円の27日(金)の終値は157円台後半に位置し、1ドル=160円が再び視野に入る水準です。ドル円は7月1日(月)に162円直前まで歴史的円安が進みましたが、その後は円安進行に落ち着きが見られ9月16日(月)に140円台を下回るも、足元では円安の流れが再び強まっています。円安が進む背景には日米の金利差が意識されていることが挙げられます。2025年は米連邦準備理事会(FRB)が追加利下げペースを鈍化見通しであり、さらには日銀も利上げを急がないスタンスを示していることから、日米の金利差縮小には時間がかかることが想定されます。また、2025年1月20日に第2次トランプ政権が発足します。前回のトランプ政権時と同様、2025年の世界マーケットはトランプ次期大統領の発言や政策動向に関心が集まることになりそうです。国内金価格はドル円の影響を受けることから、円安進行は価格上昇要因となります。ドル建て金価格と同様に11月以降はレンジ相場で方向感のない推移が続いていますが、2024年の国内金価格は14,000円を超えて過去最高値を更新し、歴史的な上昇を遂げました。年間では約40%という驚異的な上昇率を記録するなど、金の存在感は一層高まっています。

■12/16〜12/20

2024年12月16日〜12月20日週のNY金相場は、2645.1ドル(前週終値比:1.1%下落)で週間の取引を終了しました。ドル建て金価格は前週後半からの下落の流れを引き継ぎ、16日(木)まで6営業日連続で値下がり。17日(金)は大幅な値上がりに転じたことで、週間の下落幅は縮小しています。12月16日週は市場で注目を集めていた日米の金融会合が開催され、共に事前予想通りの結果であったことから主だったサプライズはなく、無難に通過しています。ドル建て金価格をテクニカルで見ると、10月30日(水)に過去最高値をつけた後、12月11日(水)高値は前回高値を下回り、右肩下がりのレジスタンスラインで目先の二番天井を確認。一方の下値については、11月14日(木)の安値から12月19日(木)の安値がサポートライン。日足チャート上では、レジスタンスラインとサポートラインに挟まれ三角保ち合いを形成し、上下の値幅が限定されていることからレンジ相場が見て取れます。この週にマーケットに影響を与えた要因について、時系列に沿って確認してみましょう。16日(月)、17日(火)は米FOMCの結果待ちで投資家の様子見姿勢が強まり、ドル建て金価格は買いが手控えられ続落となりました。18日(水)の米FOMCでは、FRBが0.25%の追加利下げを決定しました。FRBの3会合連続利下げによって、利下げ幅の合計は1%に達しています。FOMC後の会見でパウエルFRB議長は、「今後は利下げペースを緩めるのが適切」と発言し、2025年の利下げペースが鈍化見通しであることが示されました。パウエルFRB議長の追加利下げ慎重発言を受けて、株式市場ではNYダウ平均株価が大幅下落し、およそ50年ぶりに10営業日連続の値下がりとなっています。19日(木)は国内で金融政策決定会合が開催され、日銀が政策金利の現状維持を決定しました。13日(金)にはすでに利上げ見送り方針であることが伝えられていたため、市場では想定通りの結果として受け止められています。決定会合後の会見で、植田日銀総裁から利上げを急がない姿勢が示され、外国為替市場では円売りドル買いが急速に進みました。ドル円は一時1ドル=157円台後半をつける場面がありましたが、20日(金)にはスピード調整で円安進行は一休み。国内金価格は円安局面では上昇要因となりますが、円高進行時は上値重く推移するため、値幅の狭い14,000円台での推移です。

■12/9〜12/13

2024年12月9日〜12月13日週のNY金相場は、2675.8ドル(前週終値比:0.6%上昇)で週間の取引を終えました。3週間ぶりの上昇週です。ドル建て金価格は週初から値幅を伴った上昇が続き、11日(水)には2759.7ドルの高値をつけました。しかしながら、週末にかけては利益確定の売りに押され、上げ幅を徐々に縮小する展開となっています。ここもとの金相場は、レンジ相場内の推移が続き、上下いずれにも方向感が出づらい状況です。この週にマーケットに影響を与えた要因について、時系列に沿って確認してみましょう。9日(月)は前週末の米雇用統計を受けて、FRBの利下げ期待が高まり金相場は買い優勢となりました。10日(火)にはイスラエルがシリア各地で空爆を実施したことが伝えられると、マーケットでは地政学的リスクが意識され大幅に続伸。中国が金融緩和を拡充するとの期待感も買い材料視されています。11日(水)はインフレ指標である米消費者物価指数(CPI)が発表され、事前予想通りの結果であったことから、市場では12月の米FOMCでの追加利下げを確実視。また、ロシアがウクライナに新型弾道ミサイルを発射する可能性が伝えられたことで、安全資産への投資資金シフトの動きで金は堅調な展開でした。12日(木)には、CPIと同様インフレ指標として重視される、米生産者物価指数(PPI)が発表されました。PPIは市場予想を上回り、依然としてインフレ懸念が示されたことで、金相場の下落要因になっています。13日(金)は主だった材料がないものの、欧米市場のクリスマス休暇や年末を控えた利益確定売りで続落しました。12月16日〜12月20日週では、17日(火)~18日(水)に開催される米FOMCが最注目イベントになります。FRBは0.25%の追加利下げが予想され、金利のつかない資産の金にとっては、実需買いが入りやすい相場地合いです。外国為替市場ではドルが買われ、円相場はやや円安方向で推移しました。国内金価格は円安要因で底堅さが見られ、14,000円台での推移が続いています。

■12/2〜12/6

2024年12月2日〜12月6日週のNY金相場は、2659.6ドル(前週終値比:0.8%下落)で週間の取引を終え、2週連続の下落となりました。11月25日(月)の大幅下落で短期的な二番天井を形成したドル建て金価格ですが、11月26日(火)以降は限定的な値幅内で小動きが続き、12月に入ってからも積極的に上値を追う動きは見られません。この週にマーケットに影響を与えた要因について、時系列に沿って確認してみましょう。12月2日(月)に発表されたISM製造業景況指数は市場予想を上回り、米国経済の好調さが示されたことで金相場は売り優勢となりました。ウォラーFRB理事から12月の米FOMCでは利下げを支持するとの発言が伝えられたことで、外国為替市場ではドル売りが進んでいます。3日(火)は、尹韓国大統領による非常戒厳令の宣布を受けてリスク回避の動きが強まり、安全資産への資金シフトから金相場は買い優勢で推移しました。非常戒厳令は4日(水)未明に解除されましたが、ドル円は円買いドル売りで反応し148円台中盤をつけた後、韓国の政情不安で日銀が12月利上げを見送るのではといった思惑から円売りに転じ、ドル円は151円台にまで一時的に円安が進行しました。5日(木)にはパウエルFRB議長が利下げに慎重姿勢を示したことが伝えられ金は売られました。6日(金)は、市場予想通りの米雇用統計を受けてFRBの追加利下げ期待から外国為替市場でドル売りが再開。週末時点のドル円は、1ドル=149円台中盤の水準で推移しています。重要イベントである12月17日(火)~18日(水)の米FOMCを控え、マーケットでは0.25%の追加利下げを織り込む動きが見られますが、国内でも12月18日(水)~19日(木)に日銀金融政策決定会合が開催され、0.25%の追加利上げ観測が高まっています。国内金価格は11月26日(火)から12月4日(水)まで、7営業日連続して値下がりとなりました。日米の金利差縮小見通しから円が買われやすく、重要イベントを前にした円高要因で国内金価格の大幅上昇には期待しづらい状況です。


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