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加藤豊

資産価値を担保する中古物件売買・リフォームの専門家

加藤豊(かとうゆたか)

有限会社ミトミ

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コラム

日本の不動産は500兆円も含み損を抱える?!米国は売却益が当たり前

日本の住宅価値は500兆円も失われている!アメリカは売却益が当たり前

不動産先進国アメリカでは、例え築50年でもしっかりメンテナンスすれば住宅が値上がりすることはめずらしくありません。

これは、米国人は住み替えるライフスタイルが根付いており、住宅を「消費財」として買うという意識より、買った後に高く転売するために建物をメンテナンスして資産価値を維持・向上させる「投資」という意識の違いにも表れています。


米国の住宅資産額(国交省:「Financial Accounts of the United States」(米連邦準備理事会)、 住宅投資額累計「National Income and Product Accounts Tables」(米国商務省経済分析局)、「我が国の本格的なリバース・モーゲージの普及に向けて」(野村資本市場研究所)を基に作成)


日本の住宅資産額(国交省:国民経済計算(内閣府)、「我が国の本格的なリバース・モーゲージの普及に向けて」(野村資本市場研究所)を参考に作成)


対して日本は「約20年経つと、建物の価値がゼロとなる」という慣習が長らく続いてきました。実際に、これまで住宅に投資した金額(家を建てたりメンテナンスするために使ったおカネ)と今の住宅資産額を日米比較するとよくわかります。

アメリカでは、2010年時点で投資額(使ったおカネ)が13.7兆ドルに対して、住宅の評価額(売って手に入るおカネ)が14.0兆ドルと、3兆ドルも上回っています。グラフをみても、これまで長きにわたって投資額を上回る資産額を維持しているのが分かります。売却益が当たり前なのです。

それに対して日本は、2011年時点で投資額▲862.1兆円に対して評価額343.8兆円と、使ったおカネよりも売って手に入るおカネがなんと「▲約520兆円」も少ないのです!

含み損を取り戻す鍵は中古。メンテナンスした分、得する仕組みが普及中

日本の住宅がこれほどまでに資産評価額が小さいのは、住宅の「質」をほとんど評価していないためです。

法定耐用年数という(実際の建物価値を評価するものとはまったく関係のない)会計上の償却年数を誤用して「20年程度で建物価値をゼロと評価」する慣習がずっと続いてきたのです。


中古住宅は、取引金額の割安感や立地の選択肢の多さ、実際の住環境が事前にわかることなどのメリットがあり、アメリカでは新築よりも中古の方がリスクが小さいと考えられてもいるのです。

これまでの日本は、住宅の質を評価する仕組みがなく、住宅購入後にメンテナンスをしても「どうせ戸建ては20~25年で建物価値がゼロにになる。無駄におカネをかけたくない」ということから、資産価値の下落に拍車がかかるという悪循環になっていました。

新築の戸建てを住宅ローンを組んで購入して30年かけて返済した場合、完済時には建物価値がゼロとなり、住宅を資産としてみなせないのも無理はないという状況です。

●インスペクションで品質を見極め、善し悪しを明確に提示。リフォームしたら評価に反映
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この▲500兆円を超える含み損を取り戻すためにも、中古住宅の品質をわかりやすく消費者に提供するとともに、メンテナンスした分だけ評価額があがるという仕組みが必須です。

その為に、改正宅建業法で(中古住宅の建物状況を調査する)インスペクションを促すことが決定され、また、いわゆる「プレミアム既存住宅」登録制度で優良な中古住宅に対して認定マークを付与するなどわかりやすい仕組みが整いつつあります。


さらに「既存住宅価格査定マニュアル」の改定など、これまでの法定耐用年数に依存した評価方法をあらため、リフォーム・リノベーションして家をバリューアップすればそれを住宅の資産評価に反映するものに、国も金融機関も積極的に改めようとしています。

中古住宅市場活性化ラウンドテーブル」(2013年、国土交通省資料)によると、これらの動きが功を奏し、中古住宅が適正に評価されるようになれば住宅の価値向上・評価改善によって資産価値が上昇、中古物件の流動化(取引が活発化)につながるとみています。

中古マンション・戸建てが適正な水準(高値)で取引されると実感できれば、さらに中古住宅やリフォームの投資が進みます。売主は売却資金(キャッシュ)を手に入れますので、消費も促される好循環が生まれるのです。

最大の課題は、消費者(売主・買主)が中古住宅の資産価値を信じるか

アメリカの中古住宅が高値で取引されるのは、多くのアメリカ人が「中古にはこれだけの価値がある」と信じているためです。

日本でも「中古の建物はメンテナンスすれば値上がりするんだ」とみんなが信じる必要があります。


極端な話、現状では米国では高値で取引される築50年の家をそのまま日本に持ってくれば、その家の価値はゼロとみなされるのです。

どんなに質の高い家であっても、それを築年数志向が強い日本に持ってきただけで、その住宅の価値が評価されないという状況なのです。

●国が主導して、家を長く大事に使った人が得をする健全な中古市場を形成している
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日本でも、インスペクションの仕組みや、インスペクター(建築士)やリフォーム業者、不動産会社、金融機関などが一体となって住宅を調査・診断する「住宅ファイル制度」があり、安全・安心な取引を推進する制度があります。

一方で、買主が5~10万円程度要して建物調査や耐震診断をするか、売主に16万円程度を負担して住宅ファイル制度を利用するかは、多くの消費者が中古に価値を見出すことにかかっているともいえます。


「わざわざおカネをかけて定期的に修繕・リフォームして本当に将来の値上がりにつながるの?」「どうせ建物に価値なんてつかないんだから」と信じてしまえば、これらは破綻してしまいます。

だからこそ、中古住宅の評価手法を国が肝いりで正そうとしており、今後の健全な市場形成を作っていこうとしているのです。

住宅着工戸数をみても今後主流となるであろう中古住宅、大切に使った人が得をする仕組みが整うことを期待します!

P.S.
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