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栁田真

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栁田真(やなぎだまこと)

やなぎだ労務管理オフィス

コラム

ストレスチェックに正直に回答してもらうためには

 昨年12月よりストレスチェック制度がスタートしましたが、当初より受診者がストレスチェックの調査票に正直に回答するか、という懸念事項が存在します。

ストレスチェック制度の課題

 ストレスチェックの目的は、定期的なストレスチェックの実施により、労働者のメンタル不調を未然予防(1次予防)し、その結果から職場環境の改善につなげることです。ストレスチェックの結果、高ストレスと判定された労働者には本人の申し出により医師による面接指導を実施し、事業者は医師からの意見を聴いた上で、必要に応じて時間外労働の制限、労働時間の短縮、担当業務の変更などの就業上の措置を行わなければなりません。

 厚生労働省は、高ストレスの労働者はストレスチェック受診者のおおむね10%程度、面接指導まで行う必要がある労働者は1%程度と想定しています。全てを否定するわけではないですが、就業上の措置を受けたいために、自分のストレスチェック結果を会社に知られてもいいと考える労働者がどれほどいるのか、ということになります。自分自身の心身の不調を隠せるものなら隠したいと思う人が多いと考えても不思議ではないと思います。

 一方、全ての始まりであるストレスチェック調査票の回答の信頼性はどうでしょうか。

 回答自体が誰かに見られるのではないかという疑心がある中で、回答内容によっては、職場批判、上司批判、自分の怠慢が疑われてしまうと思えば、正直な回答が得られない可能性は高いのではないでしょうか。信頼性の低いデータに対して手間と労力を注ぎ込んで評価、分析しても、有効性の低い結果しか得られず、ストレスチェック制度自体の当初の目的を達成することは難しくなります。

ストレスチェックに正直に回答してもらうには

 前述したように、ストレスチェック制度を有効に機能させるためには、受診者がストレスチェック調査票に正直に回答することが一番重要なことになります。

 ではどうすれば正直に回答するのでしょう。すぐに効果がある方法は残念ながらありません。

 まずは労使間の信頼関係が基盤となります。良好な信頼関係は短期間では成り立ちません。日頃からの継続的なコミュニケーションが大切となります。今回のストレスチェック制度における職場環境改善についても、トップダウン型の改善ではなく、社員参加型の環境改善を行い、何のためにストレスチェックを行い、何に利用するのか、改善により自分たちの何が良くなるのかを目に見える形で示し、感じてもらうことが必要です。

 労使間の信頼関係を基盤とし、今回のストレスチェック制度の仕組みを繰り返し丁寧に説明し、ストレスチェックの結果が実施者で管理されること、決して事業者や上司に知られることがないということを周知徹底する事が最も重要な事になります。

 ストレスチェック制度を運用していく上では、単年で結果を求めないことです。例え信頼関係が成立していたとしても、いざという時に疑いが生じることもあるでしょう。ストレスチェックの実施を重ねていくことにより、結果が事業者や上司に知られることがないことを実証し、さらにその他の運用に関する事項もPDCAサイクルに則り検証を行うことで改善を図り、ストレスチェック制度自体の信頼性を高めていくことが、制度の目的を達成する近道となるのです。


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 やなぎだ労務管理オフィスは、メンタルヘルスを重点業務としています。
 ホームページ: http://www.office87.com
 (一社)産業保健法学研究会 正会員
 東京都社会保険労務士会港支部 副支部長
 社会保険労務士/産業カウンセラー/心理相談員  代表:柳田 真
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