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栁田真

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栁田真(やなぎだまこと)

やなぎだ労務管理オフィス

コラム

メンタル不調により無断欠勤をする社員を解雇できない?(最高裁判決より)

メンタルヘルス

2013年1月28日 / 2015年8月21日更新

 会社がメンタル不調による被害妄想から、問題が解決されない限り出勤できないとして約40日間にわたり欠勤を続けた社員を論旨退職処分としましたが、最高裁は、その処分を無効とする判断をしました。(日本ヒューレット・パッカード事件:最2小判平成24年4月27日)

 論旨退職処分を受けたシステムエンジニアのXは、被害妄想など何らかのメンタル不調により、そのような事実がないにもかかわらず、社内で日常生活を監視されたり、嫌がらせを受けているとして使用者である株式会社Yに対して調査を依頼しましたが、納得できる回答を得られませんでした。
 そのためXは、この問題が解決するまで出勤できないとして、有給休暇を使い切った後、約40日間にわたり欠勤を続けました。

 そのためYは、無断欠勤を理由にXに対して論旨退職の懲戒処分(以下、本件処分)とする旨を通知したところ、Xは処分の無効を求める訴えを起こしました。

 そして最高裁は、Xの主張を認め、本件処分を無効とする判決を下したのです。

☆判決のポイント☆

・精神的な不調のために欠勤を続ける労働者は、精神的な不調が解消されない限り引き続き出勤しないことが予想される。
・よって欠勤の原因や経緯が上記のとおりである以上、使用者は精神科医による健康診断を実施するなどした上で、その結果等に応じて、必要な場合は、治療を勧めたのち休職等の処分を検討し、その後の経過観察をするなどの対応を採るべきである。
・このような対応を採ること無く、直ちに論旨退職の懲戒処分の措置を執ることは、精神的な不調を抱える労働者に対する使用者の対応としては適切なものとはいい難い。

 つまり、メンタル不調が原因で欠勤を続けている労働者に対して、即時の懲戒処分は出来ないということになります。
 
 この最高裁判決は、会社に対して、メンタル不調者に対する懲戒や解雇などの不利益処分を検討する前に、まずは判決のポイントに記述した内容に沿った対応を検討すべきことを求めています。

 そして注意しなければならないのは、これが最高裁の判断ということで、今後の類似事例の「判断基準」となる可能性が高いといえるでしょう。


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 やなぎだ労務管理オフィスは、メンタルヘルスを重点業務としています。
 ホームページ: http://www.office87.com
 (一社)産業保健法学研究会 正会員
 社会保険労務士/産業カウンセラー/心理相談員  代表:柳田 真
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