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コラム

やはり戸建住宅は新築も既存も耐震等級3が必須か?(2)

2016年11月7日 / 2016年11月9日更新

前回に続き、戸建住宅の耐震性能について取り上げていきます

既存住宅にも求めたい、耐震等級3レベル

住宅性能表示における耐震等級3(現行基準法の1.5倍の強度)で設計施工された住宅は無被害が多かったことを考えますと、既存住宅取得をする際に「耐震等級3への性能強化が可能か、コスト的に見合うものか、その場合プランに支障をきたさないか」など、耐震性検討の余地がありそうです。

既存住宅を購入後に建て替えを検討しているのであればよいのですが、一定期間利用するのであれば、まず推奨基準の安全性確保をお勧めしたいです。住まいの安全性について新築、既存の区別をする必要はありません。

木耐協の調査では、2000年以前の木造住宅の80%以上が2000年基準に適合しておらず、何らかの補強対策の必要がある旨のレポートをまとめていますので、築16年以上の既存住宅は耐震診断や補強が必須と考えられます。国交省でも今回の熊本地震を受けて、平成28年度中に2000年基準以前の建築物の接合部などの点検方法を明示していく方針です。

制度も認める、既存住宅の耐震性能向上は難易度が高い


耐震性能の強化法として、耐力壁の追加(筋交いより面材での強化が有効とされています)、接合部の金属補強などが考えられます。しかし、元になる基礎の強度や劣化状況次第では、基礎自体の補強や、耐力壁追加による基礎の追加も必要になるかもしれません。

さらに、インスペクション(建物現況調査)より高度の調査になりますが、基礎が建築地の地質、地耐力に対し適切に設計され、施工されているか否かも、既存住宅の購入や利用にあたって、重要な判断要素になると思います。

基本的に躯体の補強に関してはその周囲をスケルトン状態にする必要もありますので、外皮部分の補強工事では防水、断熱気密性能低下にも注意を払う必要があります。既存戸建住宅では、躯体補強、断熱性能向上工事を伴い、リフレッシュ工事をするとなれば、建替えに近いコストになりかねません。

政策的な補助は1981年以前の旧耐震物件に対し、耐震診断費、補強工事費の補助が設けられ、さらに平成28年度補正予算では旧耐震建物から現行基準の建物への建替えも補助の対象となりました。さらに新築長期優良住宅の要件を満たした建替えには補助の割増があります。

政府では既存住宅流通の普及にあたり、その性能向上をさせる目的で「既存住宅長期優良住宅化リフォーム事業」での補助事業を実施しています。しかし新築の長期優良住宅には耐震等級2が条件のところ、既存住宅長期優良化では耐震等級1に性能条件を緩和されています。それだけ、既存住宅の耐震性能向上は難易度が高いことの現れと思います。



前段でもお伝えしましたように、熊本地震被害の実態から既存住宅購入の検討にあたっても、耐震性能3を取得済み物件か、コスト的、プラン的にも耐震等級3に改修可能な物件か否かがまずは判断の分かれ目になりそうです。

耐震性能を上げるポイント


耐震性能を上げるには、設計初期段階(スケッチプラン段階)から、耐力壁線の位置を想定した計画が必要になります。さらに基準法には規定はありませんが、上下階の耐力壁、柱の直下率を上げた計画は構造的にも安定してきます。

それは直方体の面白みのない外観シルエットになってしまう可能性もありますが、躯体シルエットをシンプルにし、ビューポイントとなる方向からのデザインを工夫することや、外構計画でのアレンジでもデザインの質感は変わってきます。単純に窓の上下階位置を揃えることでもデザイン性を上げ、耐力壁の直下率を向上させることになります。

さらに耐震性の余力を高めるには厚み12.5㍉の石膏ボードの採用で準耐力壁化することや、むやみに吹き抜けを設けず、剛性の高い水平構面を構成する意識も耐震性能を上げるポイントとなります。

構造を理解したプラン要望は理想ですが、一般的ではありません。設計者に施主として、構造的に無理のない設計を前提とする前置きを伝えるだけでも、方向性が違ってくるのではないでしょうか。

最後に建築地の地盤強度に注目することも、住まいの安全性向上につながります。軟弱地盤では、地震時の揺れが増幅されます。建築基準法施行令第46条、第88条第2項では軟弱地盤の場合、必要壁量を1.5倍とする内容が規定されています。指定を受けていない軟弱地盤エリアでも、その考え方を踏襲することも有効と思います。

2017年より、超高層建築物(20階建て、高さ60m以上が目安)の長周期地震動に対する評価も取り入れられます。オフィスビルなどの事業用の既存建築物のビルオーナーはすでに費用をかけ対策を講じ始めています。実需中心の既築タワーマンションの管理組合でも長周期地震動評価、対策決定、費用捻出などの取り組みは避けて通れません。

大きな地震が発生するたびに注目され、基準強化される耐震性能。家族を守るためにも、基本的な知識を習得し、誘導基準がどのような方向性であるか理解したいものです。

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