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田口恭一

“心”と“身”を育む空手指導者

田口恭一(たぐちきょういち) / 格闘家

国際空手道連盟 極真会館 東京城西世田谷東支部

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コラム

第11回全世界空手道選手権大会二日目の結果と明日の見所

2015年11月21日 公開 / 2015年11月22日更新

テーマ:世界大会・全日本大会

コラムカテゴリ:スクール・習い事



昨日から千駄ヶ谷の東京体育館にて開催されている、「第11回全世界空手道選手権大会」の2日目が終了しました。

予想通り、3回戦は非常にレベルの高い、激しい戦いが繰り広げられました。

そんな中、日本代表選手は9名の選手が3日目、ベスト32に進出しました。
明日の4回戦はどの試合も目が離せない対戦になっています。

Aブロック

1 荒田昇毅(千葉中央) VS 10 ルーカス・マクキノン(ニュージーランド)

荒田選手は2回戦、中国のシャンホ・ダイ選手に4-0、3回戦はロシアの強豪、アンドレイ・ズボレフ選手に3-0の判定勝ち。2日目を終わってまだ調子が出ない様ですが、きっちり本戦で勝負を決めているのはさすが。
対する、ルーカス選手は2回戦はロシアのキリル・ブザレフ選手、3回戦はポーランドのダミアン・ガリンスキー選手を本戦で下し4回戦進出。186センチ、125キロの巨体から繰り出される下段回し蹴りは要注意です。

13 アンドレイ・リジン(ロシア) VS 19 ルスラン・アフメドフ(ロシア)

2回戦、3回戦ともに本戦5-0で勝ち進んだアンドレイ選手。186センチと長身ながら、回転の速い突きが持ち味の選手。ただ、下段蹴りを受けないので下段のダメージが心配です。
対する、ルスラン選手は2回戦は不戦勝。3回戦は竹岡選手を本戦5‐0で下し4回戦に進出。
竹岡選手はルスラン選手に対して、足を止めて強い突きで打ちあうも、突き蹴りを繰り出したルスラン選手が勢いで勝った印象です。190センチ、95キロの圧力をがっちり受け止めて戦ってしまいました。

25 高橋佑汰(城北) VS 32 ファルーク・トゥルクンボエフ(ロシア)

高橋選手は1回戦、2回戦と不戦勝で、3回戦のロシアのトルニケ・クルツオーゼ戦が初戦。若干固さが見られましたが、遠い間合いからの前蹴り、接近しては膝蹴り、そして胴回し回転蹴り等、スピードある多彩な攻撃で相手を翻弄。本戦5-0で完勝しました。
ファルーク選手は2回戦、フランスの古豪ルシアン・ゴゴネル選手を本戦で完封。3回戦は優勝候補の一角、スペインのアレハンドロ・ナバロ選手をも力でねじ伏せ本戦5‐0の圧勝。パワーのある重厚な組み手をします。
スピードの高橋選手VSパワーのファルーク選手。非常に興味深い対戦です。

41 大澤佳心(城西世田谷東) VS 48 キリル・コチュネフ(ロシア)

大澤選手は2回戦、南アフリカの177センチ、105キロのゾラニ選手を下段からのクイック下突きを効かせて本戦完勝。続く3回戦もロシアの強豪、アンドレイ・チルコフ選手を突きと下段で終始プレッシャーを与えて押しきり本戦4-0の完勝。
キリル選手は3回戦正道会館の谷川選手を本戦で下し4回戦に進出。
谷川選手は正面から真っ向勝負で打ちあうも、膝蹴りと、相手の圧力でバランスを崩してしまう場面が数回あり、印象が悪かった感じです。
昨年は似たタイプのシャルコシャン選手に完封された大澤選手。190センチ、86キロのキリル選手に是非とも勝利して欲しい。せたひがの皆さん、大澤選手に是非大きな声援をよろしくお願いします!!

今回ロシアの大応援団が物凄い声援を送っています。会場にいる日本の皆さんも、自分の支部の選手だけでなく、日本選手全員にロシアチームの応援に負けないくらい大きな声援をよろしくお願い致します!!!


Bブロック

48 上田幹雄(横浜北) VS 60 エルダー・イスマエロフ(ウクライナ)

上田選手は2回戦 韓国のジャンヒャン選手に下突きの技ありを2回奪い合わせ1本。3回戦はロシアのザビド・オルズボフ選手を終始攻め続け、本戦5-0で完勝し、4回戦に進出。
対する、エルダー選手は2回戦グアムのネイサン選手を後ろ蹴りで沈め1本勝ち、3回戦はロシアのアドラン選手を本戦4-0で下し4回戦に駒を進めました。
非常にセンスのあるエルダー選手ですが、強豪アドラン選手との対戦では、持ち味のセンスあるコンビネーションが出ていませんでした。上田選手の3回戦の様なしつこい攻めは苦手かもしれません。
上田選手には是非強豪エルダー選手を封じて、勝ち上がって欲しいと思います。

66 アレクサンダー・ミハイロフ(ロシア) VS 72 イリア・カルペンコ(ロシア)

アレクサンダー・ミハイロフ選手は2回戦下突きで技ありを奪うなど、テクニックのある選手。対するイリア・カルペンコ選手は、2回戦不戦勝、3回戦は城北の清水選手を本戦3-0で下し、4回戦に進出。

清水選手はカルペンコ選手に対して、終始攻撃をし続けるも、フィジカルで勝るカルペンコ選手の攻撃の威力が上回った印象。しかしながら、気持ちで負けていない素晴らしい戦いでした。
若い清水選手はまだ伸び盛りの選手。パワーをつけて、日本を代表する選手に成長して欲しいと思います。
ロシア同士の対戦の4回戦ですが、お互いテクニシャン同士。レベルの高い攻防が見られる事でしょう。

67 ジマ・ベルコジャ(フランス) VS 84 イゴール・ティトコフ(ロシア)

ジマ選手は2回戦は上段膝蹴りで技ありを奪い完勝。3回戦は本部直轄浅草道場の原田選手を終始圧倒し、4回戦に進出。187センチ、98キロのジマ選手は、大きな体ながらフットワークも軽く、手数もかなり出ます。原田選手は圧力に耐える事で蹴りが出なくなり、本戦r5-0で敗退。2回戦、ロシアの強豪デビット選手を体重判定で下し勝ち上がっただけに、悔しい敗退です。
一方のティトコフ選手は本当に組手が上手いです。間合いは決して詰まる事無く、突き蹴りも強い。初戦で外回し蹴り、後ろ蹴りで1本を奪った様に技も多才。又、佇まいも武道家然として非常に好感のもてる選手です。
テクニシャンのティトコフ選手が、圧倒的な体格差のあるベルコジャ選手とどう戦うのか?非常に楽しみです。

85 ブラティスラブ・エキモフ(ロシア) VS 91 コンスタンチン・コバレンコ(ロシア)

エキモフ選手が2回戦は後ろ回し蹴りで1本、3回戦ではポーランドの強豪ダニエル・ブコイをくだし4回戦に進出。(ブコイ選手下段を蹴って自傷し、1本負け)

対するコバレンコ選手は3回戦、優勝候補の一角鎌田選手を延長で下し、4回戦に進出。
鎌田選手、エキモフ選手に対し、本戦の中盤までは力強い突きと下段で押し気味に試合を進めていました。コバレンコ選手も困惑した表情でしたが、コバレンコ選手が繰り出した内股蹴りで鎌田選手が体勢を崩した瞬間に、息を吹き返し、本戦1‐0と鎌田選手に旗があがるも引き分け。延長は波に乗ったコバレンコ選手が押し気味に試合を進め、鎌田選手を下しました。鎌田選手は勝利を掴みかけていただけに、非常に悔しい敗退でした。

エキモフ選手24歳、コバレンコ選手20歳と勢いのある若手ロシア選手二人の戦いになりました。

Cブロック

97 森善十朗(東京城西) VS 108 ラシャ・ガバラエフ (ロシア)

森選手は2回戦、中段回し蹴りで技あり、3回戦、ルーマニアのニコラエ・ストイアン選手を4‐0で下し、危なげなく4回戦に進出。
対するガバラエフ選手フランスの強豪、トゥセウ選手を下し、4回戦に進出。
実は、森選手は前回の世界大会3回戦、最後の延長まで戦い、最後の最後に動きが止まってしまい、ガバラエフ選手に敗れています。この敗戦をバネにこれまで森選手は戦ってきました。森選手にとっては、4年前の借りを返す試合となります。
森選手の気合いの入った戦いを楽しみにしています。

109 ザハリ・ダミヤノフ(ブルガリア) VS 120 小沼隆一(下総)

ザハリ選手は3回戦で193センチのロシアの新鋭イバン選手を下し、4回戦に進出。堅実な組手でここまで勝ち上がってきました。
対する小沼選手の3回戦は素晴らしい戦いでした。小沼選手に体格で勝る、ロシアの強豪マゴメド選手(180センチ、87キロ)と互角以上に打ちあう小沼選手。日本代表のテーマであった機動力を駆使し、打ちあいながら相手の横にずれて翻弄します。本戦1‐0で小沼選手に旗が1本あがります。延長は相手の手数が落ち、小沼選手が攻め続け、4-0の完勝。会場が大きな拍手に包まれました。
4回戦、再び小よく大を制する戦いを小沼選手に期待したいです。但し、サイドに回る際に、上段膝蹴りを合わされない様に注意です。

121 澤村勇太(総本部) VS 132 セルゲイ・ウヴィッキー(ロシア)

澤村選手は2回戦、終始試合をコントロールするも、カナダのマーク選手の力強い下段蹴りに苦戦し、延長まで戦い、体重判定で辛くも勝利。3回戦は韓国のデーユー選手を終始攻めて、相手の押しの減点もあり完勝。
対する、ウヴィッキー選手は同じくロシアのバレリー・リゾフ選手を下し4回戦へ。

テクニックのある両者の戦い。95キロと体重の重いウヴィッキー選手の圧力を澤村選手がどの様に封じるか?

133 イヴァン・メゼンツエフ(ロシア) VS アンドレイ・コロゾフ(ロシア)

メゼンツエフ選手は2回戦、開始3秒 後ろ蹴りで1本勝ちを奪い、3回戦は城北支部の山川選手を本戦5-0で下し、4回戦に進出。
山川選手、2回戦はフランスのマクシム選手を手数で圧倒し本戦で勝利。3回戦はメゼンツエフ選手と打ちあうも、パワーで劣ってしまった印象です。21歳とまだ若い山川選手。フィジカル面を強化して、今後の日本を背負う選手に育って欲しいと思います。

一方のコロゾフ選手はあのイエロメンコ選手を延長で下し、金星をあげました。個人的な印象ですが、イエロメンコ選手足を怪我していたのでは無いでしょうか?本戦から動きに生彩が無かったです。また、延長では焦って明らかに2度顔面を叩いてしまい、減点一。終盤猛反撃するも及びませんでした。

レベルの高い、過酷なトーナメントです。やはり試合を重ねるうちに削られていき本来の力を発揮できずに強豪選手が敗退するケースもあります。それも、実力のうちです。コロゾフ選手は19歳。鎌田選手を破ったコバレンコ選手も20歳。勢いのある若手選手が強豪選手を破る場面が明日もあるかも知れません。

対するメゼンツエフ選手も21歳・・・。ロシア恐るべしです。

Dブロック

145 安島喬平(茨城常総) VS 156 アショット・ザリヤン(ロシア)

安島選手は非常に調子が良いです。2回戦は中国のシャビオ選手、3回戦はロシアの強豪、アリム・ユヌソフ選手にともに本戦5-0の完勝。
対する、ザリアン選手は3回戦、千葉中央支部の樋口選手から後ろ回し蹴りで1本を奪い4回戦に進出。
樋口選手は2回戦、ブラジルのリカルド選手をクイックでの下突きと三日月蹴りで本戦で下して臨んだ3回戦、いい感じで攻めていましたが、高速の後ろ回しに反応できず、1本負けを喫してしまいました。

安島選手には、是非とも樋口選手のかたきを取ってほしいと思います。

157 南原健太(東京城北) VS 163 イアロスラブ・スタニスラヴェンコ(ロシア)

高校生ながら4回戦に進出した南原選手。186センチの長身から繰り出される、とどまる事を知らない突きと下段と膝蹴りに、相手は徐々に失速していきます。2回戦はセルビアのバンジャ選手、3回戦はロシアのガリエフ選手をともに本戦で完封しました。
対するスタニスラヴェンコ選手は3回戦、オーストラリアのデイビット・トッカー選手を下段蹴り合わせて1本で下し4回戦に進出。
187センチ110キロと、体重で勝るスタニスラヴェンコ選手を南原選手は縦横無尽に動いて制したい所です。

174 デビット・シャルコシャン(ロシア) VS 180 ゴデルジ・カパナーゼ(ロシア)

シャルコシャン選手は3回戦、強豪中村選手から上段ひざ蹴り2発、合わせて1本を奪って4回戦に進出。
中村選手は、2回戦も南アフリカの選手を寄せ付けず好調でしたが、シャルコシャン選手の正面で打ちあってしまい、上段ひざ蹴りを貰ってしまいました。非常に悔しい敗戦です。

一方のカパナーゼ選手はイタリアのジュゼッペ選手、ブラジルのエデール・ガマ選手を本戦で下し、4回戦へ。
久々に見るカパナーゼ選手の組手は、非常に力強く、切れもあり見事です。

長身で、圧倒的なパワーがあるシャルコシャン選手とどの様な戦いを見せるか?非常に楽しみでもあります。

186 ソウタ・ナカノ(アメfリカ) VS 192 ダルメン・サドヴォカソフ(ロシア)

非常にスピーディーな動きで初日に唯一ロシア選手に黒星をつけたナカノ選手。2回戦も回転の速い組手でハンガリーのデビット選手に本戦勝利。3回戦は本部直轄浅草道場の荒木選手と対戦。

ナカノ選手がスピーディな動きで手数で勝り、荒木選手が力強い攻撃を返すという展開。試合終了間際に荒木選手の突きがナカノ選手の顔面に入り試合が中断。

次の、ダルメン選手とポーランドのシピエン選手の試合終了の5分後に再開。

開始と同時に小豆袋が投げられ、試合終了。反則前までの動きの評価で、副審の判定が2本ナカノ選手にあがり、主審もナカノ選手の動きを支持し荒木選手は悔しい敗退となりました。

一方、ダルメン選手は2回戦は下突きで技ありを奪い、3回戦でも強豪シピエン選手を本戦で完封。
全く隙の無い組手です。

盤石な組手のダルメン選手に、ナカノ選手のスピードがどこまで通用するか?ナカノ選手の健闘に期待したいです。


いよいよ明日、世界一が決まります。

4回戦全ての試合が非常に高いレベルの戦いになります。観戦に来られる方は途中からではなく、必ず第1試合から来て下さい。

タイムスケジュールはこちらから。

http://www.kyokushinkaikan.org/ja/news/2015/11/14/1120-23/

また本文でも書きましたが、今回、海外の応援団(特にロシア)が多数観戦に来ています。
海外の応援に負けないぐらいの、日本選手への大きな声援をよろしくお願い致します!!

この記事を書いたプロ

田口恭一

“心”と“身”を育む空手指導者

田口恭一(国際空手道連盟 極真会館 東京城西世田谷東支部)

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