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中島雅生

伝統的な「数寄屋建築」の技法を受け継ぐ現代の工匠

中島雅生(なかしままさお) / 一級建築士

株式会社工匠常陸

コラム

工務店の経営者になって思うこと

2019年8月9日

コラムカテゴリ:住宅・建物

 私は昨年末に法人を立ち上げ、大工から工務店の経営者という立場にかわったことで、新たに色々なことが見えてきました。

 現在の建築業界では適正価格で見積もりを出していたら大半の工務店は仕事が取れません。工務店同士がお互いに無理な価格で競争をして仕事を取り合い、その結果、竣工してみたら利益が全くなかったなんて話はあちこちで聞きます。

 中堅の住宅専門の工務店が建設中の住宅を十棟以上もかかえた状態で倒産した話も聞きました。大手ハウスメーカーの請負を専門にしている工務店で、着工件数が関東地方で長年トップクラスだった工務店がトップクラスのまま倒産した話も聞きました。大手ハウスメーカーの請負を専門にしているベテランの一人親方の大工は年間11棟手掛けても年収400万円にとどかないこともあるそうです。
 これは、十分な仕事があるにも関わらず、会社を倒産させてしまういい加減な経営者がたくさんいるのだろうと、簡単にかたづけてよい話ではないのです。

 建設業にかかわる働き手の犠牲のもとに成り立っている価格重視の建設を減らさないことには「大工の給料の改善」も「社会的地位の向上」もあり得ないと私は思います。しかし、これは個人でどうこうできる次元の問題ではありません。ただし、適正価格よりも低い価格の工事が当たり前のように適正に進められているはずがありません。値切り倒すお施主様のために心を込めて丁寧に仕事をしてくれる大工もなかなかいません。
「ものづくり」において最終的な完成度を決めるのは「心」です。お施主様の大工に対する「感謝の心」と大工の腕を信じて依頼して下さったお施主様に対する「感謝の心」が良い建物を造ります。心を込めて何か物を造った経験のある方であればこれが単なる綺麗ごとではないことを理解して頂けると思います。嫌いな人のために手の込んだ料理など誰も作りませんが、その真逆の方向には無限の可能性が広がっているのと同じです。

 私は工務店の経営者として、大工が自然と心を込めて仕事ができる環境をつくり、その仕事に見合った収入と社会的地位を勝ち取ることができるように若輩者ながらにあがいていきたいと考えております。そして大工という職業が今以上に夢のある職業へと発展していくことを願っております。

これまで6回にわたり、一介の大工の小話にお付き合い頂き誠に有難うございました。ご意見やご感想をお持ちの方は、是非、メールして下さい。
info@kousyou-hitachi.com

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