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乾利之

技術とビジネスとの両面から経営をサポートする弁理士

乾利之(いぬいとしゆき)

IPNJ 国際特許事務所

コラム

料理レシピのネット無断転載に潜む法的問題

著作権

2016年3月18日 / 2016年4月21日更新

料理レシピの無断転載が増える現状




料理レシピを投稿するサイトが大人気を博しているなか、料理研究家等の料理本に掲載されているレシピが無断で転載されるケースが増えているようです。
料理レシピは基本的に著作物ではないため、著作権保護の対象にならない場合がほとんどです。
そのためレシピの無断転載が著作権侵害になることはほとんど無いと思われますが、法的な問題が全く生じないということではありません。

また、レシピ開発者の側から見れば、やはり釈然としない、という心情面の問題があります。
料理レシピが掲載されたサイトを利用して楽しく料理を作った人や、その料理を食べて満足した人が多くいる一方で、レシピ開発者の苦労が無断利用されているという側面があるといえます。

レシピ無断転載で法的問題が生じるケースも


上記の通り、レシピの無断転載が著作権侵害になることはほとんど無いと思われますが、法的な問題が全く生じないということではありません。
料理レシピを無断転載した人に対しては、悪意は無かったとしても法的な問題が生じる可能性もあります。
次に、レシピを転載する側から見た、レシピ転載について生じ得る問題や、注意・配慮すべき点について、レアケースも含めて簡単にメモしてみたいと思います。

まず、レシピだけでなく、料理本に掲載されている写真、イラストや、料理研究家の独特な説明や感想をそのまま転載すると、こちらは著作権侵害になる可能性があります。
レシピは機能的な説明書であって著作権の保護対象から除外されると考えられていますが、写真、イラストや独特な説明等は、思想または感情を創作的に表現したものであるとして、著作物として保護される可能性があります。
このような場合には、レシピの転載は著作権侵害になる可能性があります。

次いで、レシピが、例えば、老舗の料理店で“口外しないことを条件に特別に教えてもらった秘伝のレシピ”であるような場合、このレシピをサイトに掲載すると、営業秘密の不正開示等になる可能性があります。
このような場合には、不正競争防止法違反になる可能性があります。

また、あるレシピで作られた料理やその製造法が他人の特許発明であった場合、この料理を飲食店や店頭で提供することは、特許権侵害になる可能性があります。
レシピの転載自体は侵害にならないのですが、例えば、掲載したレシピで作った料理を提供します、というビジネスをあわせて行っているような場合には、特許権侵害になる可能性があります。

さらには、多くのレシピを無断転載し続けた場合、客観的に不正な行為に見えてきますので、民事上の不法行為とされる可能性もあると思われます。
特に、無断転載したレシピを集めて料理本を出版、となると不法行為になる可能性はどんどん高くなると思われます。

レシピを開発した人への心情面の配慮が大切


そして、上記の法的な問題についてはもちろん最重要で考慮すべきですが、レシピを開発した人の心情面を考慮することも大変重要であると思います。
他人のレシピをサイトに転載する際には、レシピを開発した料理研究家等から了承を得ること、これが肝要であると思います。
レシピを開発した人の心情に配慮すると共に、不要な問題が生じることを防ぐことにもなります。

上述のように、他人のレシピを転載する場合、全く問題が生じないから安心、ということではなく、やはり相応の注意と配慮が必要です。これは、法的な面だけでなく、レシピを開発した料理研究家等に対する配慮という面についても必要なことであると思います。

料理のレシピを開発した人も、そのレシピを見て料理した人も、そのレシピで作られた料理を食べた人も、みんなが幸せになることが望ましいと思います。
料理レシピは、そのためにあるといっても過言ではないですよね。
というわけで、料理レシピをサイトに転載する際には、注意と配慮を忘れずに!

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