マイベストプロ東京
  1. マイベストプロ TOP
  2. マイベストプロ東京
  3. 東京のお金・保険
  4. 東京の資産運用
  5. 吉住俊彦
  6. 学校法人向け情報一覧
  7. 学校法人様向け 資産運用入門講座 第5回:コロナ・ショックを考える
吉住俊彦

圧倒的な経験を持つ独立系ファイナンシャルアドバイザー

吉住俊彦(よしずみとしひこ) / ファイナンシャルプランナー

IFA法人エチュード株式会社

学校法人向け情報

学校法人様向け 資産運用入門講座 第5回:コロナ・ショックを考える

NPO法人 学校経理研究会様発行の月刊誌『学校法人』にて運用担当者様向けに「資産運用入門講座」を連載しております。
第5回は「コロナ・ショックを考える」です。

 学校法人関係者の皆様方におかれましては、新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、安全管理はもとより、学校行事、講義カリキュラムの調整等で大変なご苦労をされている状況かと存じます。
さて、資産運用においても今回のコロナ・ショックは大きく影響しているのではないかと考えます。今回は、リーマンショック以来ともいわれる危機的状況での、資産運用で大切なことを確認していきたいと思います。

 
【長期的視点にもとづく投資の重要性】
危機的なショック時には、「Cash is king」と形容されるパニック的な現金化が起こり、株式、債券、REIT(不動産投資信託)、金とあらゆるアセットクラスが売却され、その結果アセットの分散効果も効かなくなります。しかし、過去のショック時をみてもそれは一時な現象です。長期で見れば分散効果は効いてくるということです。
 今回のコロナ・ショックでは、米国株式(NYダウ)が2月12日の2万9568ドルから3月23日には1万8213ドルと短期間のうちに1万ドル以上も暴落する局面で、株式以外の資産も売却されました。世界の決済通貨であるドルという現金通貨を確保しようという動きも背景にあります。足元(執筆時点4月10日現在)パニック売りは一巡して、NYダウは2万3000ドルを超え、戻りを試す展開ですが、当面コロナ・ショックによる経済の見通しは楽観できる状況にはならないでしょう。引き続き、新型コロナ感染の世界の動向を注視する必要はあります。今後は世界景気の急減速の影響を確認していくステージに入っていきます。その時の株価等のアセットの水準と実態経済との乖離(ギャップ)に留意していくことが大切です。
 急速かつ大幅な市場変動は、投資家のポートフォリオにとって大きな痛手となり得ます。不安や恐怖から保有資産を減少させようとする投資家も少なくないと思います。しかし、過去のショック時を見ても、市場の混乱や急激な下落局面の後にこそ絶好の投資機会が訪れることがあります。
 運用において最も避けなくてはいけないのは、「一度に大きな金額の損失を出してしまい、ポートフォリオの継続的な運用に支障をきたすこと」です。そのためには、ポートフォリオのリスク許容度を再チェックして、最大ドローダウン(評価損失)を想定したポートフォリオ管理をすることが大切になります。安易なロスカット(損切り)をせず、分散効果を検証して戻りをとれるポジションを検討し、ポートフォリオを調整できるように管理することです。
もちろん現在のポートフォリオがリスク許容度を超えた状況であれば、ポートフォリオのリスクを減らすべく現金化も選択肢にはなるでしょう。当然、デフォルトリスクが高まった資産であれば売却するという判断もあるでしょう。
 しかしながら、学校法人の資産運用においては、「返済の必要のない資金」での「長期的な運用」をできるという強みがあります。
 基本的な投資方針にぶれがなく長期(かつ分散)の視点で運用ができれば、短期的な市場の急変で最悪の時期にロスカット(損切り)をすることもなく、また必要のない早期の利益確定をすることも避けられます。


【リーマンショックとの違い】
 今回のコロナ・ショックと2008年のリーマン・ショックとの違いは、金融システム不安ではないということです。もちろん経済の急激な悪化が拡大すれば、金融システム不安につながることもあり得ます。
 リーマンショック時に、アメリカの政府、中央銀行はリーマンブラザーズへの公的資金投入に消極的であるなどリスクを過小評価していました。そして危機の連鎖を引き起こしてしまいました。この時の反省が活かされ、ボルカールールにより米国商業銀行はリスク資産への運用から切り離されています。当時より金融システムのリスクが波及しにくい環境にはあります。
 また、政策面においては、類を見ない大規模な財政支援の出動を決定したことに加えて、政策金利ゼロ、大幅な金融緩和というマクロの金融政策、そして企業支援の社債、CP(コマーシャルペーパー)の買入れにまで踏み込みました。各国の中央銀行がこういった動きに追随してきています。
 コロナ・ショックは金融システム不安ではないので、金融政策は効かないといわれます。しかし、先行きのリスクを考えこのような大規模な流動性供給をしたことの意味は過小評価できません。また逆に言えば、それだけコロナ・ショックの世界経済への影響の大きさを危惧したということでもあります。

【ポスト・コロナの運用】
 資産運用を考えるうえにおいて、リーマン・ショックのような危機的状況で「どう対応すればよかったのか」、歴史から学ぶことは大切です。
 マーケットの変動は避けられるものではなく、長期的にはこれからも幾度となく大きな変動は起こると考えられます。
 マーケットの変動を乗り越え実績を上げているアメリカのエンダウメント運用がその答えを示唆しているように思います。長期分散投資の精度をあげながら運用を継続していくことが大切だということです。  
 過去に例を見ない金融緩和や超低金利の更なる長期化見通しで、学校法人運用の中心にある債券による運用環境は益々厳しいものとなります。運用年限の長期化や信用リスクのエクスポージャーを拡大するにしても限界があります。
 従来よりも一層、債券以外の資産で運用利回りの確保をすべく注力していく必要がでてくるでしょう。債券代替資産の再検討も課題となります。パニック時に大きく値を崩したREIT(不動産投資信託)への投資戦略、ヘッジファンドなどのオルタナティブ(代替資産)への選別投資などです。いずれにしても、内外株式、外国債券など伝統的資産に加えて、多様な資産への分散投資(投資信託やETFの活用を含む)に取り組む必要があるでしょう。
 コロナ・ショックによる経済への影響は大きく、マーケットもまだしばらくは楽観できる状況にはならないと思います。しかし、ポスト・コロナを見据えて、学校法人運用の強みを活かす長期分散投資の視点で基本的投資方針を確認し、現状のポートフォリオを再検証することは、とても大切なことだと考えます。

 
運用のご相談、お問い合わせはこちら⇒IFA法人エチュード株式会社

NPO法人 学校経理研究会のHP はこちら⇒学校経理研究会

Share
その他の学校法人向け情報

吉住俊彦プロのコンテンツ