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小椋利文

住まいの相談の本質を見抜き、解決するコンサルタント

小椋利文(おぐらとしふみ) / コンサルタント

一般社団法人住まい・カウンセリング協議会

コラム

リフォーム後悔ランキング

2019年9月26日

テーマ:リフォーム よくある質問

コラムカテゴリ:住宅・建物

 リフォームにより、使い勝手をよくして、快適な空間を作りたいものですが、住まいづくりで難しいのは、「実際に暮らして初めてわかることが多い」ということです。

 経験者の事例を参考に、リフォームの注意点について考えてみましょう(出典:SUUMO 「間取りの失敗ランキング」)。
 住まいの中で後悔しているポイントにとして、1番多いのは「配線」です。
 コーヒーメーカーやミキサーなどの家電を使う場所にコンセントがない、生活の動きに合わせた場所に照明スイッチがないといった不満です。

 次に多いのは「収納」で、内部が暗くて使いにくいといった意見があります。そのほかキッチンや廊下、脱衣所が狭かったなど「広さ」も不満が残りやすい部分です。そして「明るさ・温度湿度」と続きます。窓からの光が強すぎてテレビが見えないなどの声があります。

 また家の中や外からの「視線」、「音や臭い」も平面図から想像するのは難しいポイントです。よく使う空間同士が離れているなど「動線」そのものを後悔したという人もいました。

良かれと思ってやったことが、実は使いにくい結果に

 不満の声について、もう少し詳しく見ていきましょう。

 「配線」については、「玄関の照明スイッチが遠く、靴を履いた状態では手が届かない。図面で距離まで確認しておけば良かった」「ダイニングにもテレビ配線が必要だった。食事中や食器洗い時にもテレビを見たいが、リビングは遠くて見えない」などです。

 次に「収納」です。「玄関やリビングに上着をかけるクローゼットがあればよかった。そのままリビングのソファや床に放置することになり散らかしやすい」「壁面収納を作りすぎた。家電や家具を壁面に置きたくても、単なる壁がなくて困る」などです。

 「広さ」については、「バルコニーの奥行きが狭すぎた。カゴを持って通りにくく、洗濯物が風で壁についてしまうことがある」「キッチンが狭い。2人が同時に作業できない」「生ゴミ置き場を考えてなかった」など。

 また「明るさ・温度湿度」については、「窓を大きくしたが、隣の家に遮られて光も風も入らない。冬は寒いので、普通の窓で良かった」「1階のLDKを仕切りのない大きな空間にしたら冷暖房費がかかるため、なるべくつけないようにがまんしている」「玄関の風通しが悪く、臭いがこもりやすく、カビも発生した」など。

 「視線」については、「リビングの窓が大きすぎて、通行人からの視線が気になる。カーテンを閉めると暗いので、曇りガラスフィルムを張った」「ソファに座った正面にドアがあり、その先に脱衣所がある。ドアを開けていると洗濯物の山が気になる」など。

 さらに「音や臭い」については「寝室の横が隣の家の駐車場で、エンジン音やドアの開け閉め、排気ガスの臭いが気になる」「玄関共用で上下分離型の二世帯住宅にしたが、それぞれのキッチンや寝室の臭いが廊下に広がる」など。

 「動線」については「洗濯関係のものをまとめて、浴室・洗面室を2階にしたが、1階に手を洗う場所がなく、帰宅後不便」「玄関近くのトイレは、来客時に気まずい」など。

 いずれの事例も「良かれと思ってやったことが、実は使いにくかった」という結果につながることが多いようです。では後悔しないために、具体的にどんな手順を踏めばいいでしょうか。

コンセントやスイッチなどの配置について

 まず「配線」について。取り付け位置と数は念入りに計画しましょう。
コンセントは、あらかじめ使いたい家電をリストアップ。いつも出しておく家電(テレビなど)、季節ごとに使う家電(扇風機、ストーブなど)、動かしながら使う家電(掃除機)などを図面に書き込みます。それらを配置する場所、また動線などを踏まえてコンセントの位置などを考えていきましょう。

 照明スイッチは、外から帰ってきたときや寝る前などの人の動きを確認。開けたドアの裏側に、照明スイッチが隠れたりしないように、スイッチの位置も考えましょう。

 これらは、あらかじめ創造力を働かせ、事前にシミュレーションしておければいいのですが、残念ながら人間の能力には限界があります。
 こうしたとき、優れたリフォーム事業者では、施工を始める前に、関係者全員で図面をもとにすべて工事個所の位置を指さし確認をしています。そうすれば、思い違いがあっても事前に気が付くことができます。

収納は物を使う場所に、人が行きかう場所は広さも確保

 次に「収納」。実は収納は、くらしの永遠のテーマと言ってよいほど難しいものです。
たとえば、一般的には収納は、物を使う場所の近くに作るのが基本ということで、洋服をしまうクローゼットは寝室に設置されますが、実際にはリビングで着替えをしたりすることが多いので、リビング周りに衣類があふれてしまったりします。

 「モノ」は人と一体で、人の活動があるところについて回ります。趣味のものや仕事や勉強の道具など、人がリビングに集まればモノもリビングに集まります。そしてモノは増え続けます。これを収納するのは容易ではありません。
 収納する前には「片づけ」が必要ですが、実はこれも簡単なことではありません。片づけの本が世界中でベストセラーになり、その過程を記録したテレビ番組がこれまた世界中で感動を呼ぶほどなのです。
とくにリフォームでは、すでに何年かの生活の蓄積がある住まいでのモノを相手にしなければなりません。
 時には専門家のサポートを得ながら、原状の生活とモノとの関係にじっくり取り組む必要があります。収納の場所や形態を考えるのは、その先のプロセスとなります。

 「広さ」で後悔しないためには、限られた空間をバランスよく配分することが重要です。ベッドやソファ、テレビなど、置きたい家具や家電を実際に図面に書き込んで確認してみましょう。これらは意外と場所をとるものです。一般に人が通るには50センチ以上、人と人がすれ違うには90センチ以上の幅が必要とされています。これぐらいなら大丈夫と思いがちですが、これらの寸法が本当に確保されるか、よく確認しましょう。

明るさや温度、視線、においなどは環境を把握して計画を

 想像するのが難しい「温度湿度」について。
 これは実はリフォームの専門家でも難しい分野です。単に窓を断熱サッシに変えただけで温熱環境が改善できるわけではありません。リフォームの失敗事例でも、断熱リフォームをしたのに前より寒くなったなどという笑えない話が少なくありません。
 依頼しようとするリフォーム事業者がこの分野の専門知識を持っているか、また持っていない場合コンサルティングを受ける先があるかなど、確認しておいたほうがいいでしょう。

 「明るさ」に関しては、条件の良くない敷地であったとしても、光を取り入れる工夫はできますが。温熱環境とのバランスで考える必要があります。また開口部は、風の通り道として有効な関係にあるかを考慮する必要があります。

 「視線」については、隣の家と自分の家の「窓」の位置関係を把握するのが大切です。道路側から室内がどのように見えるかも確認してください。トイレや洗面・脱衣所のドアが開いている時、玄関や外から見えないようになっているかも注意しましょう。

 「音や臭い」については、どこから音や匂いが発生して、どう伝わるのかを確認する必要があります。視線と同様に、隣家の駐車スペースやお風呂、トイレなどがリビング、寝室に面していないか。また一つの建物の中でも、子ども部屋の下にリビングを作ると子どもの足りまわる音がリビングに、また静かに勉強しているときにリビングの音が伝わるため注意しましょう。

動線は家族の行動パターンや生活スタイルをふまえてプランニング

 「動線」を考えるときはまず、家事動線を中心に、家族の行動パターンに合わせて考えてみる必要があります。

 洗濯ものを家族や来客がくつろぐリビングを通って干さなければならない、子ども部屋が玄関横にあり、学校から帰ってそのまま部屋に直行してしまうなど、気になる点をかき出して動線、間取りを考えていきましょう。

 このとき、家族全員の行動パターンをチャート化しておくと有効です。だれがどこでいつ何をしているかが一目瞭然となります。
 当協議会では、リフォームのコンサルティングなどのとき、このチャートを作成することにしており、生活上の課題を評価する際の重要な手がかりとしています。

この記事を書いたプロ

小椋利文

住まいの相談の本質を見抜き、解決するコンサルタント

小椋利文(一般社団法人住まい・カウンセリング協議会)

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