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古川弘恵

おもてなし術と心の磨き方を伝えるおもてなしエバンジェリスト

古川弘恵(ふるかわひろえ)

サロン・ド・英華

コラム

お花に込められた“おもてなし” の心

2018年11月1日

テーマ:日本の”おもてなし”の心

自宅へお客様をお招きするとき、お花が飾ってあるとお客様の心を和ませてくれます。今回は、おもてなしの心や美を愛する心が込められた日本の伝統文化である華道(いけばな)についてご紹介します。

“おもてなし” の心が込められたお花を生ける華道の歴史について

花を飾る文化は太古の昔、仏前へ草花をお供えする供花から始まったと言われています。インドでは仏前にお花が散りばめていたそうですが、日本への仏教の伝来とともに供花と結びつき、お花を容器に指して供えるようになり、生活の中でもさまざまな場所に飾るようになったことが、日本の華道や生け花の始まりだったのです。

その後、室町時代の東山文化の頃に床の間が備わる書院造りの建築様式が完成しました。それによってお花は決められた型で生けられ、床の間において正面から見て最も美しく見える位置へ飾られるようになったのです。

この頃から草花には人間と同じ「命」をもつものという思想が生まれ、そして華道が完成されたのです。

西洋でも似た考えとして、生「命」あるものを身近に飾るという考えは、周りにも良い気が宿るということから、「生」の花を飾ることが良いとされ身近に飾るようになりました。また古来より花は美と富の象徴でもあったわけですから、貴族文化の発展とともに花の存在価値も大きくなっていったのでは、と思います。

一方、造花のように「命」のないものは飾らないようにしているようです。フランス発祥のプリザーブドフラワーは実はヨーロッパではあまり広まらなかったのは、その考え方が根底にあると言われています。

江戸時代の中期以降は、庶民でも気軽に生けられる生け花が始まり、さまざまな流派が生まれました。

明治以降は礼儀正しい女性のたしなみとして、床の間や玄関にお花を生けてお客様をおもてなしすることが広まっていったのです。

一方、シノワズリーの流行によりジャポニズムとして華道や生け花はヨーロッパに紹介され、ヨーロッパのフラワーアレンジメントに影響を与えたと言われています。さらに、国内では型にはまらない投げ入れや盛花などが生まれました。

戦後、高度成長期、バブル崩壊などの時代の流れとともに、建築様式の変化や趣味、ライフスタイルの多様化で華道や生け花も変化していったのです。

花の命を愛でる心、“おもてなし”の心が込められた華道の礼儀作法

華道は四季の樹枝や草花などを切って、花器に生けることで、その姿の美しさや命の尊さを表現・鑑賞することです。茶道のように礼儀作法を大切にする日本の伝統芸術のひとつです。

古典的なものからモダンなものまで、幅広いスタイルがあり、それぞれの流派によって表現の仕方は実に様々です。
ですが、花を飾るという作業の中に、景色や心の状態などを匠に表現するのは日本ならではの繊細な文化の象徴です。芸術としての難しさもありますが、一人ひとりの個性や感性が重視されています。そこには日本人が花の美しさを愛でる心が表現されているのです。

そして、華道には「花は人の心である」という言葉があるのですが、花を生ける時は、その花を見つめてその時に湧き上がる感情や理想とする美しさを探究する、もしくは、花に託して表現するという意味があります。

ですから、その心を感じるために、自分がお客として訪問した際には、床の間に飾られた花を拝見するお作法があります。

まず、床の間から畳一帖を隔てた位置に座ります。そして、花に向かい一礼してから拝見しましょう。次に、全体の構成や花材の取り合わせ、花器、花台までじっくり眺めます。最後に花を生けられた方へ感謝の一礼を行います。

気さくな集まりなどでしたら特別な作法は必要ありませんが、改まった席に招かれた場合は生けた方へ挨拶してから拝見することが礼儀とされています。

身近にお花で“おもてなし”の心を表現する

日本の家には和室や床の間があり、床の間においてはお花を飾る際にはさまざまな決まりごとがあります。
昨今は生活様式も変わり、お花を飾るスタイルも変わってきているのが現状です。

キチンとした花器や花瓶がないと飾れない、と思っていらっしゃるかたも多いと思いますが、自宅にある身近なもの、生活用品に花を飾ることからでも、花のある生活に触れてみましょう。

実際にいけばなの「自由花」では、コップや杯(さかずき)、空き缶、お皿や小鉢、急須やティーポットなどを活用して活けるのですが、大切なのは花や器の豪華さではなく、その取り合わせ方なのです。

実際にいけばなの花器の原点は、昔の中国や日本の生活の中から身近な生活用品を用いられていた経緯があります。

玄関の靴箱の上やリビング、洗面台などの小さな空間にも飾ることが出来ますので、花を通して、自由に自分の思いを表現し「おもてなし」の場に花を咲かせていただきたいものです。

玄関を開けた時に漂う香りが“おもてなし”に

例えば、おもてなしの際に大切なポイントとされるお出迎えやお見送り、その場となる玄関に季節の花が生けられているのは場の設えとしてのおもてなしです。特に良い香りのする季節を感じる生のお花を飾りましょう。おススメとしては、薔薇やユリ、ラベンダーやライラック、フリージアなどが良いでしょう。扉を開けた時漂うほんのりとした香りは、おもてなしの第一歩です。

飾るポイントとしては、特に人の出入りの多い玄関では、花や枝に体が触れてしまって花瓶を壊したり、花粉が衣類について落ちなくなってしまったりすることが無いよう、除去しておいたり、ゆったりした空間に邪魔にならないように飾るようにしてください。

狭いスペースであれば、一輪挿しなどもおススメです。場所も取らないですしお花もたくさん必要ないので、とっても重宝します。生のお花は一輪だけでも、その存在は周りに心地よい雰囲気を出し、可憐なもの、艶やかなもの、凛としたものなどお客様を迎え入れるための、感謝の気持ちが伝わるものです。

決して豪華な花を格式張って生けることをしなくても、季節感に合った身近で親しみやすい花を、シンプルにまとめるのも良いものです。玄関を明るい雰囲気にしてくれることでしょう。
気軽に身近にお花を楽しんでいただきたいものです。

より花を美しく見えるようにと追求された心が
見る人への想が伝わる、“おもてなし”へとつながるのではないでしょうか。

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