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新井一(あらいはじめ) / 起業コンサルタント

起業18フォーラム

コラム

売れる営業トークのコツとスクリプト 成約を勝ち取る効果的な技術

2023年1月29日 公開 / 2023年3月1日更新

テーマ:起業家紹介

コラムカテゴリ:ビジネス

起業家インタビュー(聞き手 新井一@起業18フォーラム)


今回は、営業経験ゼロで営業になった会社員に営業ノウハウを教えている木村まもるさんにインタビューしました。「営業になったばかりで、どのように話せばいいかわからない」と感じている方に向けて、明日から使える営業トークのコツやスクリプトについて語っていただきます。

木村まもる

逆転営業アカデミー 現場密着型・営業トレーナー 木村まもるさん


営業経験なしで営業職になった会社員が3か月で最初の1件を突破できる「トレーナー伴走型・営業プログラム」の開発者。現場密着型・営業トレーナー。落ちこぼれ営業社員を最下位グループからたった1か月で全国300人中トップに一発逆転させたなどの実績が豊富。営業セミナーでのノウハウ解説は「営業経験なしの私でもわかりやすい!」と高評価を得ていらっしゃいます。

逆転営業アカデミー 木村まもるさんのホームページはこちら

新井:「営業トークが下手」「商談がうまくいかない」「自信をもって話せない」とお悩みの営業パーソンは多いと思います。

木村:実は、営業トークの組み立て方をコントロールすれば、カンタンに苦手意識を克服できるのです。主語を営業から、顧客に変えただけで営業成績が3倍にあがった方もおられます。

  • 主語が営業「弊社は業務効率を3倍に上げる商品を提供しています」
  • 主語が顧客「お客様の業務効率が3倍に上がる商品を提供しています」


こんな、営業トークには200以上もポイントがあるそうです。その一部を教えてもらいました。

木村まもる

★営業トークで売れない3つの理由


新井:売れないのは営業パーソンの悩みですよね。

木村:売れない営業には理由が必ずあります。売れない理由を知ると解決策が見えてきます。売れない理由トップ3は・・・

パンフレットの順に話している


パンフレットの順番通りに話して売れないのは、典型的な失敗パターンです。営業は顧客一人ひとりに寄り添ったトークが大切です。私も、スクリプト通りに話して、ぎこちなくなった経験があります。一旦、テンプレートを忘れて顧客によって話す順番を変えましょう。最初はハッタリの自信でOK。落ち着いて話すことがポイントです。

拒否されることを恐れている


拒否されることを恐れると「拒否される→拒否されるのを恐れる→堂々と話せなくなる→さらに空回りして拒否されてしまう」という負のサイクルに入ります。秘訣は沈黙を恐れないことです。挨拶したらすかさず会話をはじめましょう。

私が同行したある営業パーソンは、拒否されることを恐れ、ロボットのように単調に説明し、顧客にまったく刺さっていませんでした。商品説明に入ったら、顧客が考えている様子なら沈黙の時間を大事にする、顧客から質問や反応があれば返事をするのがコツですね。

1回で成約にもちこもうとしている


ゴールを成約にしてしまい、失注するケースです。顧客と打ち解けて信頼してもらい、次回のアポ取りをゴールにするのがオススメです。私は過去に、焦って成約だけを意識した結果、売り込み感がでて売れなかった経験があります。顧客を理解するために、注意深くたずねることからはじめてください。

木村まもる

★営業トーク流れとコツ5選


新井:営業で成功するために、どのような商談の流れとコツがあるのでしょうか?

木村:商談は階段を登るようにトークを展開すると、成約率が格段にあがります。挨拶・雑談・ヒアリング・提案・クロージングの段階ごとの流れとコツをおさえるといいですね。

挨拶


顧客に好印象・安心感をもってもらうために、丁寧に挨拶しましょう。訪問先の顧客にお会いしたら、まず自分から挨拶を切り出して名刺を渡します。お辞儀は姿勢正しく、90度で3秒数えること。「今日は貴重なお時間を頂きありがとうございます」と、会話をスタートします。

訪問先にあわせて、大きすぎず小さすぎず、顧客が聞き取りやすい声の大きさで挨拶することがコツです。ある営業パーソンは顧客を訪問するなり、オフィスの奥まで聞こえるほど大きな声で挨拶していました。むやみに元気な挨拶はかえって逆効果です(笑)

雑談・アイスブレイク


雑談では緊張をほぐすアイスブレイクが欠かせません。笑うと緊張がほぐれて話しやすい雰囲気をつくれます。「木戸に立てかけし衣食住」の話題が、当たり障りなく場を温めるのに最適です。

  • き 季節「今月に入ってから寒い日が続いていますね」
  • ど 道楽「お休みはどのようにお過ごしですか?」
  • に ニュース「タレントの◯◯さん、ご結婚されるのですね」
  • た 旅「最近はどこかご旅行などいかれましたか?」
  • て 天気「先週の大雪は御社に影響ございませんか?」
  • か 家族「お子様はおいくつになられましたか?」
  • け 健康「お体の調子の方はいかがですか?」
  • し 仕事「お仕事はお忙しいですか?」
  • 衣 ファッション「今日のネクタイの柄、素敵ですね!」
  • 食 食べ物「ご出身の地域で名産品といえば?」
  • 住 住まい「会社までの通勤は?」


初対面で政治・野球の話は思想・信条により対立した意見になりやすいため、避けた方が無難ですね。

場の雰囲気が和らいだら、顧客に関する話題で心をつかむことが大切。つかみに使える5つのスクリプトをご紹介します。

顧客が気軽に答えられる話題

親子一緒にご自宅前におられる場合「こんにちは。いま何年生ですか?」とお子様に声をかける。親御さんが「◯◯ちゃん、きちんと挨拶してね」と促してくだされば、自然と会話がつながりやすいです。

顧客がよろこぶ話題

「芝生のお手入れが行き届いていますね」芝生をほめるのではなく、お手入れしている顧客をほめることが大事です。

顧客に関することに自社を関連させて、仲間意識をつくる

「御社と同じ地下鉄◯◯線の■■駅が最寄りの会社です」「御社のお取引先である◯◯社様の近くに弊社がございます」などの共通点を探しましょう。

顧客所在地の近くでの導入実績の話題

「実は、先週お近くの企業様に納品でお伺いしておりました。」親近感が湧いて顧客に安心してもらいやすくなりますね。

顧客が心がけていそうな話題

「引き締まって見えますが、何か運動しておられるのですか?」顧客の外見・企業エントランスの第一印象にアンテナを張り、素朴な疑問をなげかけると効果的です。

昔訪問した、ある大手広告系企業のエントランスには、社員一人ひとりのフィギュアと、全社員が抱負を書いた大きな壁掛けボードが飾られていました。訪問したある営業パーソンは商談冒頭でその話題に触れると、顧客は「社員一人ひとりが互いに尊敬と仲間意識を共有するためです」とおっしゃり、場が和んだそうです。

新井:会話が盛り上がりそうですね。

木村:盛り上がって顧客との話が長くなったら、続きを次回にするか顧客の予定を確認します。

「次のご予定があると思いますので、あらためてお伺いします。」

私は「来週の◯曜日か◯曜日にお近くに来る予定でして…ご都合いかがですか?」と、たまたま近くに来ると口実をつけて、「近くに来るなら会ってもいいよ」と高確率でアポを取っていました。今すぐ顧客が聞きたいならば、商談に移るといいですね。

商談に移る場合、顧客に商談目的を認識させます。質問を投げかけ、顧客を商談に集中させましょう。

営業「ところで、なぜ今日はお時間をとっていただけましたか?」

顧客「弊社の経費削減が必要で、見直したいと考えていまして」

営業「ありがとうございます。経費の見直しについてお役に立てるお話ができると思います。」

ヒアリング


新井:雑談で場が和んだら、どのように進めるのでしょうか?

木村:現在の状況を聴く・どうなりたいかを聴く・解決策を話す、の3ステップでヒアリングを進めます。

STEP1.現在の状況を聴く

顧客の話に食いつき聴き役に徹し、現状を把握します。「今は、どのようなご状況ですか?」と投げかけ、「なるほど」と興味・関心をもって聴きましょう。材料を集める気持ちで、ヒアリングシートを活用するのがオススメです。

顧客の話のペースにあわせて、深くあいづちを打ちましょう。

  • さ「さすがです」
  • し「知りませんでした」
  • す「すごいですね」「すばらしいですね」
  • せ「センスいいですね」
  • そ「そうなのですね」「そうでしたか」


私は受講生に上半身を前後に傾けながらあいづちを打ちましょうと教えています。「私のことをよく分かってくれる営業だ」と顧客に好印象を与えられると好評です。

次に「話題を広げる5つのネタ」で、間口の広い一般的な話しで顧客の興味を探るようにします。

業界内で共通する最大の問題

「他社さまも揃って頭を抱えている問題が…」「どのお客様も口を揃えておっしゃるお悩みは…」

同じ業界・部門の取り組み事例

「同じ部門で興味深い取り組み事例がありまして…」「先週聞いた同業界のおもしろい事例は…」

業界で注目されているトレンドや話題

「他社さまにお会いしたとき、よく話題にあがるのが…」「最近お客様から、実際どうなの?とよく聞かれるのが…」

業界初の取り組み事例

「斬新なアイディアの手法がありまして…」「昨夜のニュース番組に◯◯社様が取り上げられたのはご存知ですか?」

自社の直近の導入実績

「つい先日、ご導入いただいたばかりの企業様のお話しで…」「直近で購入いただいたお客様の事例ですと…」

STEP2.どうなりたいかを聴く

現在の状況を聴けたら、どうなりたいか深掘りの質問で課題を明確にします。顧客が言葉にしていない潜在ニーズを言語化するのがコツです。

「どのような課題があるのでしょうか?」「なぜ、その課題を解決できていないのでしょうか?」「顧客が悩んでいるのはコレが原因ではないか」と立てた仮説が正しいか、確認するために質問します。

「ということは○○でしょうか?」顧客のゴールを確認し、何を満たせば受注になるか判断材料を集めましょう。

「今回のサービス導入で優先的に解決したいことは何ですか?」「さまざまな課題があるなかで、何が一番の課題なのでしょうか?」

STEP3.解決策を話す

新井:顧客の現状とどうなりたいかが聴けましたね。

木村:はい、その先、顧客の理想と現実のギャップを明確にするため、解決策について次のように聴くのが大事になります。

「今どのように取り組んでおられるのでしょうか?」「どのように解決していきたいですか?」私の経験では、解決策を話す段階で、顧客がとくに真剣に考え出すことが多々ありましたね。

顧客の課題解決のヒントを事前準備し、情報提供して顧客満足度を高めます。

1.顧客の課題にあわせた個別の具体策

「御社の場合、ベストな選択肢は何かといいますと…」「◯◯様のお話をお伺いしたところ、最適な方法は…」

2.同業他社がどのような方法で課題を解決したのか

「同じ業界の他社さまで似たような事例がありまして…」「他の企業様がどう解決されたかお話ししますと…」

3.異なる業種でも解決策の手がかりになる事例

「参考になりそうな他の業種の事例で…」「何かのヒントになればと思いまして…」

ある営業パーソンは自分から解決策を話しすぎて、顧客の考えとズレが生じてしまったそうです。顧客に話してもらったうえで、付け加えて営業から話すのがベストだと私は思います。

提案


新井:提案はどのように進めるのでしょうか?

木村:「解決策のために私どもの商品が役立ちます」と、次の3ステップで提案を進めましょう。

1.顧客ニーズの重要度の高い順で伝える

営業ツールに書かれた順ではなく、顧客ニーズの重要度の高い順に話すのがコツなんです。説明は商品の特徴ではなく、もたらされるベネフィット(恩恵)について語らないといけません。

  • 顧客が使った言葉を使い「先ほど、おっしゃった〇〇は△△で解決できます」と話す。
  • 「では、〇〇はどうなのか、といいますと…」と、惹きつけてカタログの該当箇所を指し示す。


導入実績、利用者のレビューを交えて話し、金額・アフターフォローまで詳しく伝えると良いです。私は実際に利用した第三者のナマの声を顧客に伝えたところ、響いていると感じたことが多々ありました。

2.商品を買った後の未来を描かせる

「商品を購入すれば、自分の悩みが解決できる・生活がよくなる・未来がイメージできる」と、顧客に商品を買った後の未来を描いてもらうことが重要です。

バッドエンドとハッピーエンドを語り、比較させるんです。「もし仮に、このまま賃貸アパートで暮らした場合、1か月の家賃は◯円で、生涯にかかる家賃総額は◯円です。実際にマイホームを建てられて◯年後に旦那様が先立たれたお客様は、総額◯円の住宅のローン返済が0円になりました。残されたご家族の生活費が月◯円で暮らせるので…」みたいに。

ある営業パーソンは「顧客と似たような状況の事例で、数字を用いて比較させると、信憑性があり受け入れられやすい」と語っておられました。

3.不安の先出しをする

顧客が不安や疑問に思いそうなポイントは、顧客より先に説明します。先に解消することで、購入で悩む理由を消せるからです。私の場合、一通り説明した後によくある質問と回答を話すことで、購入で悩む理由を解消していました。「お客様からよくいただくご質問なのですが…」

クロージング


新井:いよいよクロージングですね。

木村:クロージングはカンタンです。テストクロージング・不安の解消・最終クロージングの3ステップで進めます。

1.テストクロージング

最終クロージングの前に、顧客の購買意欲を確認します。「ご説明を聞かれ、どうお感じになられましたか?」「いいですね」と言われたら、具体的に「何がいいと感じたのか」を聴くようにするんです。くれぐれも営業から畳み掛けないことが大事です。ある営業パーソンは「いいですね」と言われて畳み掛けるように説明し、顧客から拒否反応を示されたそうです。

2.不安の解消

顧客のもつ疑問点・不安ごと・心配ごとは放置せず解消します。「ここまでで聞いておきたいことはありますか?」「他にご質問はありますか?」

3.最終クロージング

不安の解消が済んだら最終クロージングに入ります。購入判断を顧客に任せるのがコツですね。「進めていくということで、よろしいでしょうか?」ムリな押し込みは禁物。ゴリ押しする営業パーソンが失注する事例を、私は数多く見てきました。

新井:未経験から営業職になる方でも営業がうまくいきそうです。

木村:流れとコツをおさえれば営業経験ゼロの営業パーソンでも飛躍的に成果を上げられます。安定して成果を上げ続けるために、成約した顧客を大切にすることが秘訣。新規顧客獲得には費用と時間がかかります。同じ顧客に、関連商材の購入・継続利用・見込み顧客を紹介してもらうことに焦点を当て続けましょう。

セキュリティ系企業のある営業パーソンは成約した顧客に、商品導入の前後について聞いたそうです。顧客は「我々がやれば6か月かかる業務を1か月でやってくださった。間に入ってもらうことで業務効率があがり本業に専念できた。資料が説得力のあるビジュアルでわかりやすいと従業員からも評判で、我々にはできない作業。御社は私たちの働き改革に貢献してくれた。」と喜んでおられたそうです。その後、顧客から新たな顧客を紹介してもらったといいます。

福利厚生サービスの企業のある営業パーソンは、運輸大手の地方の顧客から信頼され、本社の重役を紹介してもらった事例もあります。既存顧客からの紹介は営業の成績を安定させるカギになるのです。

木村まもる

★営業トーク7つの切り返し話法(応酬話法)とスクリプト


新井:商談の流れがつかめても、顧客の反応の切り返しに困る営業パーソンがおられますよね。

木村:顧客の反応や表情・性格や関係性によって使い分けられる切り返し話法を、営業トークに入れることがオススメです。商談の流れごとに話法を1つ覚えて磨きをかけまるといいんです。組み合わせながら使える7つの切り返しがあります。

未知ニーズ発見法


質問して本質的ニーズに気づかせる話法。アイスブレイク・ヒアリングに効果的です。

顧客「営業トークで顧客に説得を試みるのですが、受注できなくて…」
営業「そうでしたか。顧客ニーズを把握する質問は用意できていますか?」
顧客「押し売りトークばかりで、質問は用意できていないです…」
営業「では、ヒアリングの場面を振り返ってみましょう。詳しくいうと…」
顧客「はじめて知りました!いきあたりばったりでやっていただけでしたから。」

お手伝い法


課題を話してもらえたら、深くあいづちをうち、解決に向けて一緒に「お手伝いさせてほしい」と話します。ヒアリングで顧客の気持ちに寄り添い、顧客のメリットを話す際に役立ちますね。

顧客「毎月の住宅ローンを70歳まで支払えるのか不安で…」
営業「なるほど。定年が65歳だと、残り5年の返済が不安ですよね。◯◯さまが安心できるプランをシミュレーションしてみましょう。ぜひお手伝いさせてください。」

ネガ・ポジ法


ネガティブをポジティブなイメージに変える話法。意外性・ギャップがある話を提案しましょう。

顧客「時間が無くて忙しいから、躊躇してしまいます…」
営業「ご安心ください。時間が無くて忙しい営業職の方向けのサービスです。スキマ時間で営業ノウハウが学べます。いま行動すれば、3か月後、売れる営業に変わりますよ」

メリ・デメ法


顧客の言葉を否定せず一旦受け入れ、メリット・デメリットを提案する話法。客観的・中立的な立場で話すのがコツ。

顧客「安さが理由で△△社のシステムを導入しているので、御社を検討するのは…」営業「△△社さんは安価でお値打ちかもしれません。しかし、サポート体制が手薄です。弊社は高額ですが、アフターサポートを選任のコンサルタントがきめ細やかに対応します。◯◯様がより優先すべき業務に専念できると考えています」
顧客「たしかに。その通りだね」

顧客が「理想に近づきたい」なら「…すればメリットがありますよ」と伝え、「リスクを避けたい」なら「…しないとデメリットがありますよ」と伝える。どちらに顧客が関心をもっているかで使い分けましょう。

付け足し法


顧客の反論に共感し、あいづちを打ったあと、メリットを付け足して提案する話法。

顧客「御社の福利厚生プログラムを導入すると、毎月の固定費がかかりますし。」
営業「おっしゃる通り、プログラムの導入には毎月の固定費がかかります。コストを最優先で考えるのであれば、現状のまま何も変えないのがよいと思います。」
顧客「そうですね。とはいえ離職率が高いのも悩みのタネでして…」
営業「従業員の満足度が上がれば、離職防止につながり、結果的に採用コストを軽減できますよ。固定費はかかってしまいますが、プログラムの導入が離職率改善のカギになると思います。」
顧客「なるほど。そうかもしれないなぁ。」

オセロ法


真正面から顧客の言い訳に「ご安心ください」「おまかせください」とひっくり返すように反論する。提案場面で、心配ない理由を明確に伝え顧客の心配ごとを打ち消す。

顧客「サービスがいいのはよく理解できました。成果が上がるのか心配です。」
営業「ご安心ください。成果を上げるためのステップを組んで進められます。個別に相談に応じていて、困りごとをすぐ解決できますよ。」
顧客「バッチリですね!もう何も心配する必要ないですね。」

営業トークの前半であれば、顧客に共感して信頼を得ます。クロージング段階で、顧客の不安に共感すると失注に向かいやすいので避けましょう。

タイムマシン法


「もし、仮に…」「たとえば…」「想像してみてください」を使って、導入後の未来のイメージを湧かせ、購買意欲を高める話法。クロージングにオススメ。

営業「もし仮に、◯◯を導入したとしたら、どのようなことが起こりそうですか?」顧客「営業成績がみるみるうちに上がっていきそうですね。営業が楽しくなりそうです。」
営業「たとえば、上司からはどう言ってもらえそうですか?」
顧客「◯◯さん、今月から調子あがってきたね!と、いってもらえそうです。」

私の経験上、マウンティングするような切り返し方は反感を買い、うまくいった試しがありません。顧客の表情をみながら使うよう心がけましょう。

営業コミュニケーション力をあげるテクニック
新井:営業とコミュニケーションは密接に関係しているのでしょうか?

木村:営業は「顧客とのコミュニケーション」といえるでしょう。コミュニケーションがニガテでも、テクニックを知ると成約できる確率が高まります。顧客の表情の変化や場の雰囲気を総合的につかみとる、営業コミュニケーション力があがるテクニックを解説します。

木村まもる

★ヒアリングのテクニック7選


1.すりあわせ法


顧客の話をまとめて伝えつつ、「まったく問題ないですか?」と営業が聴くテクニック。「実は問題がある」と話しはじめる顧客は多い。

「念のため確認です。現状の月々の支出金額についてまったく問題ないとお考えですか?」

2.ドミノ倒し法


売上金額の大きな導入事例を語ることで、顧客の購買意欲を引き出す。予算感の把握に役立つ。

「全国300店舗を抱える上場企業の事例で、一律の基準で本部集中の管理体制を◯千万円のコストで導入いただきました。御社ではどのように管理されているのでしょうか?」

3.2択法


2択質問を投げかける。権限・裁量・決裁など権利を誰がもっているのか明確にしやすい。

営業「全国店舗を一括管理する権限が本社にあるのでしょうか?または、地方拠点ごとに権限や裁量をもたせているのでしょうか?」
顧客「本部で方針は決めます。細かいルールは地方拠点に裁量をもたせています。」

4.パズル法


パズルの欠けた部分を埋めるように、質問を投げかけるテクニック。きっかけや背景を把握できると、顧客のおかれている全体像が見える。

「5年間ご利用になられた福利厚生プログラムを見直すにあたり、何かきっかけがあったのでしょうか?」

5.小さなイエス法


顧客のつまずきやすいポイントに焦点をあて、顧客が喜ぶプレゼントを語ると、敷居が低くなり同意(イエス)を得やすくなる。

営業「◯◯様が稟議をあげやすいよう、3枚の資料にまとめてお持ちしましょうか?」
顧客「はい。ぜひお願いします。」

6.採点法


100点までの差を明確化すると、顧客の問題意識が増幅する。

営業「理想の状態を100点だとすると、現状は何点でしょうか?」
顧客「100点満点とはいえない。70点くらいかな。」
営業「では、30点はどのようなことが?」

7.要約法


顧客の伝えたい要点と営業の認識にズレがないか、自然な流れでオウム返しする。

「なるほど。〇〇なのですね」
「〇〇とお考えなのですね」

木村まもる

★提案のテクニック3選


ビジュアル法


口頭説明より、ビジュアルはパッと顧客の印象に残る。

  • サンプル品
  • 実演、デモンストレーション
  • イメージ図解
  • インタビュー動画
  • 事例写真


証拠法


公官庁データ、新聞記事で証拠・根拠を伝えると信頼度が高まる。

今でしょ法


「早ければ早いほど成功確率が高まる」「遅ければ遅いほど失敗確率が高まる」と、根拠を交えて数字と事例で解説する。

ウラをとるテクニック2選

顧客の話しが出来事か・感想か・推測かを明確にするテクニック。提案で失敗を避けるため、顧客の関連組織の方やキーパーソンに、実態をつかむ視点で働きかけるのも効果的。

近道ウラどり法


「一つ、おたずねしたいのですが、部長がお話されたDX化のシステム導入のお話は、来年度予算案に盛り込まれているのでしょうか?」

遠回りウラどり法


「◯◯様、先日、部長からDX化のシステム導入についてお聴きしました。来年度の予算案の内容は実際のところどのように…?」

ある営業パーソンはテクニックに偏りすぎて空回りし続けていました。営業はマインドのうえにテクニックが成り立つことを忘れてはいけないと私は思います。


木村まもる

★営業トークで成約を勝ち取る効果的な技術3選


新井:営業トークを身につける効果的な技術はあるのでしょうか?

木村:営業トークを作っても、身につかなければ成果はあがりません。高確率で成約を勝ち取る技術を使って、営業トークを使いこなしましょう。

営業トークスクリプト作成術


営業で顧客に話す流れをまとめた営業トークスクリプトは、営業マニュアルと同じ。論理的にノウハウを理解し、頭にあらかじめ入れることが大切です。次の3点をおさえましょう。

  1. 顧客について事前に下調べ
  2. トークスクリプトをパソコン・スマホ・手書きで書き出し
  3. 自分の業界・顧客・営業場面に合わせて2~3のパターンをつくる(例:新規顧客・既存顧客)


一人ロープレ術


「いきなり商談で実践して失敗した」とならないように、一人でロープレすることが重要です。次の3段階で行動しましょう。

  1. 何回も自分の口でしゃべって、しっくりくるまで繰り返し練習する
  2. スマホ・ビデオカメラ・ボイスレコーダで録画・録音し自分で見る・聞く
  3. 気づいた点をメモしてトークスクリプトを修正する


私は、朝の出勤時に自宅を出発して最寄り駅まで歩く10分間で一人ロープレを毎日のように練習していました。

ブラッシュアップ術


営業トークと一人ロープレができたら、3つの段階でブラッシュアップします。不安な点は、上司や先輩に自分から聞くことも心がけましょう。

  1. 共通の原理原則を認識している同僚や仲間とロープレし、相互レビュー
  2. 営業トレーナーや実績のある人からのレビューを繰り返す
  3. 顧客との商談実践で一つずつ試し、話し方や聴き方を修正し、定番化


新井:実際にどのような成功事例があるのでしょうか?

木村:物流系企業のある営業パーソンは、オンラインで私と何度もロープレ練習を重ねました。ヒアリングの場面だけを繰り返し練習したり、ニガテな場面を区切って練習したりすることで彼の発する言葉が洗練され成功されました。実際に、彼は「本番の顧客との商談で、練習でやったことと同じような会話になり、自然と言葉が浮かんできた」といいます。

ある営業パーソンは私のセミナーを受講したあと「商談に行って断られるはずがないという感覚になりました。営業トークが身についた成果だと感じています」と自信をもって語っておられました。

新井:木村まもるさん、貴重なお話しをありがとうございました。

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