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渡部典子

アメリカの博士号を持つ心理セラピスト

渡部典子(わたなべのりこ)

インテグラルカウンセリングサービス

コラム

海外赴任から帰国後、「日本になじめない」と感じるのはうつなのか?

海外赴任と夫婦関係

2018年6月27日

海外から帰国後、日本になじめないと感じる人は意外と多いものです。これはリバースカルチャーショックと呼ばれ、海外で順応したぶん、母国で適応できなくなってしまった状態です。良き理解者を見付け、焦らずゆっくりと回復を目指すことが大切です。

帰国して「日本になじめない」と感じる場面

海外生活はあなたを精神的にたくましくし、進歩的な物事の考え方を育て、視野を広くしました。それだけに、帰国してみると自分が知っていたはずの日本が見知らぬ国のように感じたり、失望させられたりする場面が多くなってしまいます。

例えば、日本では他人に迷惑をかけないことを重視しすぎる傾向があり、何をするにも窮屈に感じます。公共施設や交通機関で赤ん坊が泣けば眉をひそめられ、レジで戸惑っているお年寄りにも冷たい素振り。お年寄りや子どもなどの弱者に対し寛容でないことから、社会全体に息苦しさを感じることもあるかもしれません。

お店の対応も同様です。礼儀正しく懇切丁寧。ですが、少しでもマニュアルから外れたことを頼むと、冷たく断られる場合もしばしば。木で鼻をくくったような通り一遍の対応に、味気無さを覚えることもあるでしょう。

流行の移り変わりの早さも帰国者を戸惑わせます。毎年総入れ替えする流行語をはじめ、人気の番組、俳優、話題のお店もあっという間に顔ぶれが変わります。定番商品も仕様やパッケージが変化しています。数年前と変わらないものを見付けることが難しいほどです。帰国して昔なじみの友人と語らっていても、知らない話題のオンパレードに一人取り残されたような寂しさを感じることもあるでしょう。

日本ではリバースカルチャーショックを引き起こしやすい

リバースカルチャーショック(逆カルチャーショック)とは、海外生活に順応した日本人が、帰国後に母国での環境になじめなくなったと感じることです。島国文化が色濃く残る日本では、独自の文化や習慣が根強いので、他の国に比べ「リバースカルチャーショック」を引き起こしやすいのです。

これは海外にいる間、自分でも気づかないうちに、母国である日本を美化してしまうことに原因があります。異国でカルチャーショックを受けて苦労すると、日本ではこんなことはなかったと母国への思いを募らせます。ところがそれがいつの間にか実像との間にズレを生じ、帰国後そのギャップに衝撃を覚えるのです。

何をしても、言葉にしようのない違和感が付きまといます。海外で身につけた価値観や行動を実行すると、日本社会の中では浮いてしまいます。他人と違う行動をとったり、単独で動いたりすれば、周囲の日本人は遠巻きに眺め距離を置きます。自分の持つ個性や能力を主張したり、目立つことをよしとしない日本社会。海外で広い視野を得た人たちには、日本の狭さが耐えられないと感じることも多いのです。

このような辛さを抱えていても、残念ながら、周りの人に理解されることは稀です。それどころか、「あなたは変わった」と言われ疎外感を感じるのです。なかには、数年海外にいただけで国際人を気取るのかと批判する人も出てきます。人間関係も変わってしまい、いつしか住んでいた外国に戻りたいとまで切望するようになるのです。

「隣の芝生は青い」と言うように、海外に移り住んですぐの頃は日本の良い点ばかりが思い起こされたのを覚えていますか。帰国後にはそれと逆の事態が起こるのです。このような場合は、少しずつ時間をかけて自分が暮らしている環境に順応していくことが大切です。

リバースカルチャーショックには焦らずじっくり適応していく

リバースカルチャーショックに悩みながらも日常の雑事に追われ、気安く打ち明ける場もありません。

友人に相談したとしても、同じ体験をしたことのない人にとっては贅沢な悩みと真剣に受けてもらえない可能性もあります。海外で良い暮らしをしてきたのだから、少しくらいの苦労は仕方がないだろうと批判を受け辛い思いをする方もあると思います。

では、同じく海外生活経験者の友人ならば相談相手として適任かというと、そうばかりとも言えません。同じ苦労をしているはずの女性が、帰国後あまり葛藤もなく軽やかに日本社会に適応している様子を目の当りにすればどうでしょうか。原因は自分にあるのではないかと、中には必要以上に劣等感にさいなまれる人もあります。

海外にいた期間が長くなるほど、リバースカルチャーショックの影響が長く続く可能性が高くなります。早く日本に順応しなくてはと焦れば焦るほど、不必要に自分にプレッシャーを与えてしまいます。長いスパンで物事をとらえ、焦らないことがとても大切です。

行き詰まりを感じたら深呼吸して、冷静にそれぞれの国の長所・短所を思い起こしてみてください。するとどちらにも良いところ、悪いところがあるのを再認識します。物事を一面からではなく多面的に捉える力が、海外生活を経験したあなたには備わっているはずです。

悩み苦しんだ経験は人を強くします。海外生活で得た経験を今後の人生にポジティブに活かしていきましょう。一人では解決が難しい場合は、心理セラピストなど専門家に相談されることをお勧めします。

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