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  1. 障害者の工賃を具体的に議論する「対話」は、可能性に向けた第一歩
風間英美子

障害者の「働きたい」を後押しする障害者就労事業コンサルタント

風間英美子(かざまえみこ)

有限会社キュベル

コラム

障害者の工賃を具体的に議論する「対話」は、可能性に向けた第一歩

2019年1月21日

テーマ:組織変革

ビジョンや目標は「ある」というけれど


障害者の働く場所の一つ、就労継続支援B型事業所の研修で、働く障害者の工賃向上に向けた新規事業創出や既存事業の研修を行っています。

考えるステップとしては、ビジョンの明確化→目標の設定→計画の立案→実行→振り返り・修正となるので、まずはビジョンの明確化と目標の設定ということで、自分たちの事業所が目指す方向性やありたい姿、B型事業所として働く障害者(利用者)に払っていきたい工賃(目標工賃)をまとめることになります。

このように書くと「それはそうでしょう」とさらっと受け止められて、何の問題もないように言われることが多いのですが、問題は同じ事業所の中でも一人一人の理解や受け止め方が違うこと。その違いを一つのテーブルに出して、その違いについて話し合うこと(対話すること)がないことではないかと思います。ややもすると、組織の長が言った事や考えていることが事業所の方針になっていて、それ以外の人たちは何らかの違和感を感じながらも、とくに発言はしないという、少し冷めかけた、ある意味安定した関係になっていたりします。


「対話」は可能性に向けた第一歩


ある事業所でこの安定に変化が生まれました。きっかけは、研修の課題として「目標平均工賃はいくらを目指すのか」を問われたこと。働きに見合った工賃を払いたいという意見もあれば、支援の方が大事だという意見もあり、年齢や障害程度が様々ある中で「平均工賃」という考え方に賛同できないという意見もあり。「障害者のやりがいのある仕事と社会参加の機会を作る」という大きなところでは合意できていても、具体的に、いくらの工賃が稼げるように支援するのかとなると、一人一人違った意見が出てきます。

しかし違った意見が表に出たというのは、大きな一歩です。それぞれの意見をつないだり、貼り合わせたりすることで、発見が生まれます。そしてそれを行うのは長である必要はなく、ここから何かが生まれるかもしれないと気づいた「あなた」から、始めることができます。

対話を重ねていくことで、本当に自分たちのやるべきことは何なのか、が見えてきますし、それは大きな自信につながります。結果として、障害福祉サービスを行っている就労継続支援B型事業所として成果の出せる事業所になっているのではないかと思います。

組織として可能性を追求している事業所
https://mbp-japan.com/tokyo/cuvel/column/1364000/


議論を生む「工賃」。誰にとって、どう必要?


障害者就労の分野で長年議論を生んでいる「工賃」。生産活動から経費を引いて、残った分が生産活動に関わった利用者の工賃になる、という仕組みから、生産活動の収益が大きく影響します。毎月決まった額がもらえる勤め人とは大きく異なるところです。だから工賃が増えるとか減るというのは、頭でわかっても実感としてなかなか分かりにくいのかもしれません。
しかし、だからこそ、何度も何度も自分たちに問いかけてみるのが良いのではないでしょうか?

工賃は誰にとって必要なのでしょうか?
工賃は何を、どう変えるのでしょうか?
工賃にはどのような意味があるのでしょうか?
工賃によって何が、どう変わるのでしょか?

時々感じるのですが、この「工賃問題」は、私たちに「働くって何ですか?」「お金って何ですか?」と問いかけているようにも感じます。

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この記事を書いたプロ

風間英美子

障害者の「働きたい」を後押しする障害者就労事業コンサルタント

風間英美子(有限会社キュベル)

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