まちの専門家をさがせるWebガイド マイベストプロ東京
風間英美子

障害者の「働きたい」を後押しする障害者就労事業コンサルタント

風間英美子(かざまえみこ)

有限会社キュベル

コラム

新規事業に挑む勇気と、その勇気を裏付ける「見える化」

事例

2017年8月7日

新規事業に挑む勇気とその源泉

先日、数年の付き合いになる障害者就労継続支援事業所「あしたね」(千葉市)の管理者から、最近取り組んだ新規事業に関して、同業の管理者や職員の方々を前に事例発表をしてもらいました。同事業所は2012年に開業。カフェ運営・受注作業・リサイクルを生産活動を行い、平均工賃月額は6千円~7千円に留まっていました。当初想定していた施設内厨房の活用が上手くいかず、工賃は低迷していました。事業者としてなんとか工賃を上げたい、そのために事業の核を作りたい。そう思い続けていたところ、千葉市花見川区役所の食堂運営事業者が撤退後、食堂運営を打診されます。工賃向上を支援するNPOのK-NET!(障がい者就労支援事業共創ネットワーク)に相談し、事業の実現可能性を検討。昨年7月に無事受託し、11か月が経って運営もなんとか軌道に乗ってきました。
食堂運営という新規事業に推し進めていったのは、利用者が輝く仕事を作りたいという思いだったということです。
NPO法人障がい者就労支援事業共創ネットワーク

その勇気を裏付ける「見える化」

順風満帆にも聞こえる新規事業の立ち上げですが、もちろん無風だったはずはなく、一番の課題は職員の不安感でした。今まで自分たちのペースでやってきたカフェ運営の経験で、本当に区役所の食堂という待ったなしの運営ができるんだろうか、利用者ができる仕事なのだろうか、支援をしながら運営できるのだろうか、なにも分からないのでなにもかもが不安・・・。こういう不安感にどのように対応していくかが、一番の課題でした。そしてその不安の解消のために、これから何が起こるか、一日の現場の流れはどうなるのか、一週間の現場の流れはどうなるのか、その中で各職員や利用者の動きはどうなるのかを表で「見える化」していきました。その見える化は、K-NET!のサポートを受けながら、自分たちで作っていきました。自分たちで作ることで、やるべき作業と流れと各人の動きが明確になり、見えていなかったものが見えることで、安心感につながりました。この安心感が新規事業に踏み出す勇気を裏付けたと言えます。

その勇気を後押しする「なぜ私たちはこの事業を行うのか」

さらにもう一つ勇気を後押ししたのは、見える化のワークに合わせて、「なぜ私たちはこの事業を行うのか」という軸をすり合わせたこと。職員が頑張っても・逆に頑張らなくても自分たちの給与には反映しないので、工賃に関連する事業に職員のインセンティブはないと言われます。しかし、そうでしょうか? 「なぜ私たちはこの事業を行うのか」を、改めて考えて、行動の指針を作ることがとても重要です。そしてこの行動指針=軸がさらに新規事業に踏み出す勇気を裏付けたと言えます。
工賃向上の3つの軸足

この事例を聞いた他の事業所の管理者の声

この事例発表を聞いて、同業の事業所の管理者や職員の方々は下記のような感想を述べています。
*思い切りの良さ、決断力にパワーを感じました。B型の利用者さんが?と偏見を抱いていたことの(差別)躊躇が、情けなく感じてしまい、我見広がりのなさに、来てよかったと、しみじみ感じました。
*「利用者が輝ける事業」「地域での雇用」を実現できており、素直にすごいなと思いました。利用者にお客様から直接フィードバックがある環境も、支援として良いです。
*はじめて食堂立上げのお話を聞けて、いろいろな工夫や今後どのように運営し、利用者さんのやりがいややる気につなげていくかを明確化されていたのですごいと思いました。
*ちょうど新事業所の構想を練っている中で、どんな作業をメインにしていくか?は大きな悩みどころでした。何をするにしても、工賃向上の観点が大切であることは理解していましたが、職員の不安が大きく前に進めずにいます。職員の不安を取り除く、覚悟を決めて前に進もうと気持ちを切り替えることができました。

ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスに共通

新規事業に挑むためのリーダーの勇気やその源泉、リーダーの勇気を推し進めるために職員(社員)の不安を解消するための作業の内容や流れや個々人の動きの見える化、「なぜこの事業を私たちがやらなければならないのか」というミッションを明確化することは、社会課題を解決するソーシャルビジネスや地域課題を解決するコミュニティビジネスに共通の取り組みです。「障害者就労」からの学びを、ソーシャルビジネスやコミュニティビジネスの経営に生かすことができます。それぞれの学びを共有し、小さいけれど力強いビジネスがどんどん生まれていくことが望まれます。
成果を重視したソーシャル事業の経営支援

=========================
成果を重視したソーシャル事業の経営支援
有限会社キュベル
http://www.cuvel.co.jp
=========================
●キュベルのコンサルティング
社会的企業の組織変革、事業計画作成・推進支援
就労事業におけるサービス品質の改善支援

●キュベルの研修
「障害者就労事業の自己評価 使命と成果」
「工賃向上に必要な3つの軸足(使命・会計・マーケティング)」
「就労事業におけるサービス品質の標準化(仕様書と手順書)」
==========================

=========================
成果志向のソーシャルビジネスをエンパワメント

有限会社キュベル
=============
Mission
何らかの「障害」があっても
張り合いをもって働ける社会を目指す
ソーシャルビジネスを支援します。
==========================

この記事を書いたプロ

風間英美子

風間英美子(かざまえみこ)

風間英美子プロのその他のコンテンツ

Share

風間英美子プロのその他のコンテンツ