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風間英美子

障害者の「働きたい」を後押しする障害者就労事業コンサルタント

風間英美子(かざまえみこ)

有限会社キュベル

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コラム

工賃向上の共同受注で見落としがちな点は?

工賃向上

2016年2月29日 / 2017年1月14日更新

障害者が働く就労継続B型事業所(非雇用型)の月額平均工賃は約1万4千円。この工賃を上げるには必要な利益を生み出す事業が必要で、個々の事業所(とくに規模の小さい事業所)の努力では限界がある。行政等の優先発注に対して、事業所が共同して大きな発注を受けられるようにしよう、というのが、工賃向上に関する共同受注の考え方です。

今回はこの共同受注について、経営の立場から考えてみます。
たとえば中間支援団体等から「〇〇という共同受注の案件があるのだけど」と打診されたとします。
そのとき何を検討課題にしますか?

・その事業の継続性 - 今回だけなのか、今後も継続する可能性はあるのか?
・事業規模 と収益性 - いくらの事業なのか、その収益性は?
・必要となるスキル - 今までのスキルで対応できるのか? 新規のスキルが必要なのか?
・必要となる人員 - 何人での対応が必要か、利用者の数は?職員の数は?
・他の作業への影響 - 施設外作業の場合、残った人員で既存作業ができるのか?
・工賃への影響 - その事業は工賃にどれだけの影響があるのか?
・事業所にとっての意味 - 工賃以外に事業所にとって何か良い影響が望めそうか?

ざっとこれらのことを考えて収支シュミレーションを作成し、数値的にも良いものであれば、具体的な話し合いの段階に進むものと思います。

しかしこの時に意外に見落としがちな点がいくつかあります。
・実は1事業所でできる規模の案件ではないか - 「共同受注ありき」で小型案件を分け合う形になっていないか?
・その事業を行うのにかなりの経費投入が必要なのではないか?
・新規で行う場合、そのスキルは今後、施設の中に残る可能性が少ないのではないか?

そしてなによりも一番大きな見落とし課題として、
・立ち上げから安定稼働まで「時間」がかなりかかるのではないか?
があります。

共同で行うことは、目に見えないコスト、特にコミュニケーションにかかる時間コストがかなりかかります。
事業所それぞれで仕事に対する考え方や品質に対する基準が違います。しかし発注元にとっては同じ品質で納品してもらわなければ困るので、共同で行う事業所が統一基準に合意してそれらを守っていく努力が必要です。
共同事業参加事業所間のコミュニケーションがスムーズに行くか行かないか、それによって時間コストが大きく左右するので、ここはかなり重要なポイントになります。

上記での収支シュミレーションを作成するのと同時に、この時間コストがどれくらいかかるのかを見積もって、GO/NO GOを判断すると良いでしょう。結局時間ばかりかかって全然儲からなかった/むしろ持ち出しだったということがありませんように。

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