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「異次元の少子化対策」で、人口減少は食い止められるか?

宮崎重明

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テーマ:少子化

「異次元の少子化対策」で、人口減少は食い止められるか?

サマ女性の高学歴化
より手厚リー

  • 人口減少には歯止めがかからない。
  • 少子化の主たる原因は晩婚化・未婚化であるが対策は取られていない。
  • 「異次元の少子化対策」は子育て支援なので効果は限定的。
  • 時の政権がその場その場で打ち出す「こま切れ」政策では人口減少は止められない。
  • それゆえ人口減少を前提とした社会の構築を目指さざるを得ない。
  • 各人が人口減少を意識したライフプランを立てる必要がある。

はじめに「異次元の少子化対策」についてみておく

コンパクトにまとめたサイトがありましたので、こちらを参照してください。
https://kurashi.yahoo.co.jp/procedure/contents/childcare_support/

次に人口減少の見通しを見ておく

国立社会保障・人口問題研究所の令和5年「基本推計(出生中位・高位・低位(死亡中位))」の結果
出生中位推計:2056 年9,965 万人  2070 年8,700 万人
出生高位推計:2064 年9,953 万人  2070 年9,549 万人
出生低位推計:2052 年 1 億人を割り、2070 年8,024 万人
https://www.ipss.go.jp/pp-zenkoku/j/zenkoku2023/pp202311_ReportALL.pdf

少子化の原因とそれへの対策

出生率減少の原因として考えられること

出生率減少の原因として考えられることについて、巷間いわれているところを挙げてみます。

[太字]乳児死亡率が低下して多産である必要性が減少した

乳児死亡異率の低下は好ましいことです。現在でもたくさんの子を育てられる方はいらっしゃいますが、少子化の背景には、高い乳児死亡率を前提とした社会ではなくなった、という側面はあると思います。子供の死亡リスクに備えて「もう一人子どもを」と考える人はいないと思われますので、長期的には、乳児死亡率の低下は少子化の要因の一つといってよいと思います。
女性の高学歴化と高収入化
女性が高学歴化し、収入も増えてくると未婚となる割合は上昇するようです(荒川和久「超ソロ社会」PHP)。日本の結婚においては男性の経済力が重視される傾向がありました。女性でも安定的に高収入を得られるようになると結婚によって経済的な安定を得るという意図は少なくなります。高学歴女性が上位婚以上を希望した場合、それにふさわしい男性が供給されないこと、下位婚を選ばす未婚を選択する傾向があるとの調査もあります(筒井淳也「未婚と少子化」PHP)
女性の社会での活躍を推進することは、一方では少子化につながる要因ともなっているようです。
手厚い教育のために、「少なく」生んで「大事に」育てるという価値観の浸透
子供に手厚い教育を受けさせる前提であれば教育費を織り込んで子供を産むこととなります。この観点から教育の無償化は重要な政策になります。また、次に掲げるグローバル競争の中で、社会でより良いポジションを得てゆくためには、より高度な教育を受けさせる必要がある、と考える親世代が増えてゆけばこの傾向はますます強くなるでしょう。
グローバル競争によって、労働や教育が競争的な環境になっている
グローバル競争が激しくなるにつれて、出生率が減少することは世界的に認められる傾向のようです。輸出依存度が日本よりはるかに高い韓国の合計特殊出生率は、2023年では0.72になりました。また中国やシンガポールでも同様なことが言えるようです。後述するように日本は、GDPに占める輸出割合は2018年時点で18%と高くありません。今後縮小する国内市場を、輸出により補ってゆく、という戦略をとるならばグローバル競争は厳しくなることが予想されます。
経済的に不安定な状況の労働者の増加、賃金が上昇しないこと
非正規雇用や有期雇用により安定的に収入を得ることを期待できない労働者が増加した、という問題もあります。グローバル競争を勝ち抜くために、安く調達できる労働力はとにかく安く調達する、ということがスタンダードであり続ければこの問題の解決は容易ではありません。
結婚と年収については様々な調査があります。女性側からは結婚相手の条件として年収を重視する傾向が強く、近年では男性側からも女性の収入る重視する傾向も強くなっているようです。女性にも稼いでもらいたいたい、と希望する方が増えているようです。男女双方が、結婚の条件として希望するレベルの経済力を持てない、ということが未婚化の原因ということになると、少子化問題は日本経済の現状に起因する、ということになります。
経団連の発表では、2024年春闘の平均賃上げ率は5.58%、33年ぶりの大幅引き上げだそうです。2023年「労働組合基礎調査」の結果によると、労働組合に加入している人が雇用者に占める割合を示す「推定組織率」は16.3%だそうです。16.3%はあくまでも労働組合に加盟している労働者の割合ですから、平均賃上げ率5.58%の恩恵が及んだ方は、全労働者の16.3%を下回ることになります。このような数字を見ると平均5.58%の大幅賃上げの恩恵を被ったのは一部の「労働エリート」であり「労働者間での大きな格差の存在」が少子化の一因ではないか、との感を強くします。
子育てと労働の両立が難しい労働環境
男は仕事、女性は家事育児という役割分担意識がある場合には、女性の労働参加の障害となりますし、労働参加しても女性への家事育児の負担が大きくなってしまうことになるでしょう。広範な働き方改革が必要になるでしょう。使用者側だけでなく労働者側の意識が変わることも必要になるように思います。
女性にとって、出産・育児のキャリアの中断が不利になる労働慣行
すでに述べたように、女性が社会で活躍するようになるにつれて、未婚率の上昇傾向が強まるようです。社会で活躍してもらうことと出産子育てを両立させる政策が求められます(これも子育て支援になってしいますが)。
キャリア中断に関して男性のケースですが、ある大手企業では会社負担による海外留学をした場合、留学に要した期間は昇進を遅らせる、という人事運用があるそうです。この話を私にしてくれた方は、留学後の最初の昇進時に、このような運用があることを会社から説明されたことをきっかけに、転職してしまいました。会社負担により本人が留学というメリットを受けていることを考えれば、一概に不合理とまでは言えないようにも感じます。
同様に考えると、出産・育児でキャリアを中断した期間があることを、一時的に昇進等が遅くなっても不合理とは言えませんが、それが後々まで響くのであればその方の活躍の機会を奪い、使用者側としても貴重な労働力を失うことになるでしょう。
評価の公平性という部分からの制度設計だけではなく、時代や環境の変化に対応した、全体最適を考慮した制度設計が必要になるように思います。
地方から都市部への労働移動と都市部での出生率低下
人口戦略会議の議論では、ブラックホール型自治体と言っています。人口流入で人口を維持しているものの出生率は低い傾向を、ブラックホールという表現で端的に表したようです。
東京都の2023年の合計特殊出生率は0.99(厚生労働省2023年の「人口動態統計月報年計(概数)の概況」)になりました。
ただし、これには少し注意が必要なように感じます。東京都隣接3県への人口流入は東京都からが最も多い、というデータもあるからです(後出筒井淳也さん「未婚と少子化」)。東京都に居住し東京都で働き、結婚出産を機に東京都から隣接県へ住居を移すという動きあることも考慮する必要があります。
また、都市への人口流入にはそれなりの理由があるものと考えられます。私も地方出身、それもかなり田舎の出身です。私の経験からしても、地方の親世代やその親世代は、自分たちの考え方が標準で、若い人達も自分たちと同じ考えである、またはそう考えるべきだと、暗黙のうちに考えているように感じます。このことを親世代の価値感の押し付けと感じる人もいるでしょう。そのように感じる方には、地方は生きにくいところだと感じるでしょう。後に述べるエマニュエル・トッドさんのいう「直系家族」の悪い面「老人支配」という考え方が色濃く残っている、ということかもしれません。地方の自治体が若者の地元定着にいろいろな施策を打ち出しても、若者の求めるものでなければ、若者は流出します。若者が流出してゆくか地元にとどまるかを決めるのは、首長でもなく議員でも親でもなく、若者本人です。
ニッセイ基礎研究所の天野馨南子さんは、地方から東京都への女性に流入について、女性活躍推進法に基づく一般事業主行動計画を策定している企業の4割は東京の企業であり、厚労省により策定企業が公表されていることを指摘されていました。また正規雇用の増加は東京圏が一番多く、地方に仕事はあっても地元にある仕事ではなく、違う仕事がしたいということになると、「地方vs大都市」ではなく、「働きたくない仕事・企業vs働きたい仕事・企業」という構図になっているのかもしれません。
都市への人口流入を地方の首長が批判しても、それは「自分が行きたくないお店であっても、そのお店がつぶれると困るから、そのお店にも行ってください」という話のように聞こえます。地方の衰退を容認してよいというつもりは全くありませんが、憲法22条は、公共の福祉に反しない限り居住、移転および職業選択の自由を保障しています。都市への人口流入を止めることはできなように思います。人口減少を前提とした地域社会を構築せざるを得ないでしょう。
未婚率の上昇、晩婚化
2020年の「50歳時の未婚率」は男性が28.25%、女性が17.81%(国立社会保障・人口問題研究所)でした。
平均初婚年齢は、2022年で男性31.1歳、女性29.7歳(e-Stat統計で見る日本)でした。晩婚化により20代の出生率の減少が少子化を加速しているようです。

「異次元の少子化対策」は子育て支援

上記サイトを見ていただければお分かりいただけると思いますが、「異次元の少子化対策」は、「子育て支援」です。
日本は今までも子育て支援に力を入れてきましたし、子育て支援は成果を上げてきましたが、少子化(出生率の低下)には歯止めがかかっていません。
上記の出生率減少の原因すべてが「子育て支援」政策だけで対処可能とは考えられません。

少子化の主たる要因は「未婚化」「晩婚化」

少子化の一番の要因が「未婚化」「晩婚化」にあることは研究者の間では共通認識となっているようです。お二方のご意見をご紹介いたします。

学習院大学の鈴木亘教授の指摘(2023年IBJ成婚白書)

  • 「異次元の少子化対策」として対策に本腰を⼊れ始めた。
  • その内容をみると、児童手当の対象拡大や増額、育休給付金の支給率引き上げ、こども誰でも通園制度の創設など、「既に結婚した夫婦」に対する子育て支援策ばかりである。
  • これでは学術的に見て、出生率を高める効果はほとんど認められない。
  • なぜならば、日本の少子化の主因は、「未婚化」にあるからである。
  • 結婚した夫婦の出生率(完結出生子ども数)は現在も 1.90(2021 年)とかなり高い。
  • 少子化に⻭⽌めをかけられる合計特殊出生率は 2.06 とされるから、1.90 との差はわずかである。
  • 現在の合計特殊出生率が 1.26(2022 年)と低迷している理由は、結婚した夫婦が子どもを産まなくなったのではなく、若者が結婚しなくなった、できなくなったことにある。
  • 特に我が国は非嫡出子の割合が低い(約2%)文化のため、結婚しなければ子どもは生まれない。
  • 異次元の少子化対策の中心に据えなければならないのは、未婚者に対する「婚活支援」である。

立命館大学 筒井淳也教授の「未婚と少子化」での指摘

  • 50年に及ぶ出生率低下の大きな部分が晩婚化・未婚化によるものだというのは間違いない。
  • 少なくとも2015年までは、年齢別の有配偶出生率は大きな低下を見せていないどころか、年齢によっては上昇して来たのだった。
  • さらに強調しておくべきことは、この晩婚化・未婚化の水準は、出生率の低下が始まる前、1970年代の水準とはかけ離れたままだ、ということだ。
  • 未婚率は徐々に上げどまりつつあるが、持続的に下がっていく局面には入っていない。
  • つまり直近でも晩婚化・未婚化は少子化の大きな影響力であり続けている

なぜ「少子化対策」は「子育て支援」になってしまうのか?

「子育て支援」は一定の支持が見込める、と期待しているのだろう

政権としては、財源を確保、予算化して「子育て支援」策を策定すれば、少子化対策にとっての効果は限定的でも、「政策」を実行したことになります。
つまり財源を確保して予算化すれば、その時点で「これだけのことをやりましたよ」とPRできます。
これだけで政権の支持率が劇的に上昇することはないでしょうが、子育て世代からは一定の支持が得られるであろうことは期待できます。
言い換えると、社会で関心の高い問題への「対策」として「お金を配る」政策は取り組みやすく(財源問題はありますが)、政権与党の「実績」としてPRしやすく、結果として選挙対策上からも有利となることが期待されるから、ということになるのではないかと考えています。
「強くなった官邸」が、政権のための政策を主導している、ととれなくもありません。

政治が「少子化対策」に正面から取り組むのは相当な困難を伴う

仮に時の政権が「合計特殊出生率を●●年に●●」にしますと打ち出した場合、少子化には様々な要因が関わっていると考えられますので、政策は相当に大掛かりなものになります。成果を出すには時間がかかります。もちろん目標を達成できなければ批判にさらされます。
少子化が「未婚化」「晩婚化」による部分が大きく、「未婚化」「晩婚化」が経済上の問題により引き起こされている、となれば過去の政府の経済政策の失敗、少子化対策への不作為を指摘されかねません。事実、ある国会議員が国会で質したように、日本の経済成長率、賃金の上昇率は他の先進国と比べて著しく低くなっています。
また少子化に伴う労働力不足を補うため、女性の社会での活躍を推進することが未婚の加速、子供を少なく生んで大切に育てる価値観を加速しているのであれば、取るべき政策は簡単ではありません。
それらの結果として、未婚率の低減、婚姻数の増加を目標とするのではなく、結婚した人に子育て支援をして子供を生み育ててもらう、という政策にならざるを得ません。「合計特殊出生率を●●年に●●」にしますという目標設定は、しない方が政権にとっては得策と言えます。残念ならがそれが日本の現状です。
少子化問題は社会の関心は高くても、国民の間に広く危機感が共有される、ということにまではなっていないということでしょう。少子化の危機感を認識していればマタニティ・ハラスメントは起こらないように思います。
少なくとも少子化対策が、国家戦略レベルに位置付けられない限り、出生率の向上は望めないと思います。

子育て支援策は「有配偶者」の出生数増加には貢献している

誤解されないように申し上げておきますが、子育て支援政策をするなと言っているわけでもなく、子育て支援策が効果がないといっているわけではありません。完結出生子ども数は、2021年で1.9ありますので、子育て支援策は「結婚されている方」への支援としては効果を生んでいます。
ただし「子供を産める環境にある方々」への支援であり、「結婚により子供を産める環境になる人を増やす」という政策ではない上に、子供を産まない選択をされる夫婦が増えている可能性がある中では、成果は限定的にならざるを得ません。それゆえ少子化に大きな歯止めはかからない、と考えられるということになります。

「出生率低下は未婚化・晩婚化の問題」それへの対策も閣議決定によって政治的に共有されている

前記筒井淳也さん「未婚と少子化」から引用させていただきます。
「こういった子育て支援策とは一線を画して、有識者は「出生率低下は主に晩婚化・未婚化の問題である」という認識を確認し、それに基づいた提案をするようになった。2003年の「少子化社会対策基本法」に則って制定されるようになった少子化社会対策大綱は、2004年に第1次大綱が閣議決定され、その後も継続し、2020年には第4次大綱が閣議決定された。」「大綱の策定メンバーには有識者が入っており、また行政も豊富なデータを資料として準備するため、エビデンスに基づいた議論が展開さたれた。そのこともあって、晩婚化・未婚化の流れを止めるための若者支援の課題(「若者の自立支援」「若年層経済基盤の安定」などが盛り込まれるようになった。」
それでは、閣議決定されているにもかかわらずなぜ晩婚化、未婚化への対策が取られないかというと、
「専門家や行政は、それなりに少子化の主因である晩婚化・未婚化を意識して、持続的な取り組みの必要性を、少子化社会対策大綱などを通じて訴え続けてきた。だが、その都度の政権やメディアはこの動きにほとんど注目してこなかった。やってきたことと言えば、何かしらショッキングな数字が発表されるたびに、その場しのぎ的に対策を掲げて来ただけだ。」

東京都の「TOKYOふたりSTORY」は意味のある政策

政府が、晩婚化・未婚化を少子化の要因と認識しているにもかかわらず、晩婚化・未婚化対策を全く講じていない現状を考えると、東京都の「TOKYOふたりSTORY」は意味のある政策だといえいます。政府が行わない政策について、地方自治体が先鞭をつけたことは意味あることだと感じています。
その反面、「結婚したいけれども経済的に難しい」という方への対策は取られていません。

先進国で少子化対策に成功しているのは2か国

先進国の中で少子化対策に取り組み成功しているのは、フランスとイスラエルくらいだそうです。なぜこの2国が成果を上げているのかというと、「安全保障上」の理由から兵力を維持・増強するために出生数を増やす必要性があり、出生数の維持増加が国民に支持されいるからだそうです。
フランスは長らくドイツと戦争を繰り返してきましたし、第二次世界大戦では親ドイツのヴィシー政権の樹立も許しています。イスラエルは国内に非ユダヤ系の国民を抱えていますし、アラブ諸国とは戦争を繰り返してきました。今も戦争をしています。
日本も戦争に備えて出生率を増加しなければならない、などといういうのではありません。国民に出生率低下による危機感が共有されていなければ、政府は総合的な出生率押し上げ政策を打ち出そうとしないし、打ち出しても国民にも受け入れられない、ということは言えるでしょう。国民が期待していない政策、国民が容認しない政策を、選挙の洗礼を受ける政権が打ち出す動機は乏しいと言えます。

国会議員がフランスに視察に行かれましたが・・・

日本の婚外子は約2%程度のなので、子供を設ける前提は結婚になります。フランスは婚外子の割合が5割を超えるいるそうです。婚外子であってもシングルではなく、きちんとパートナーはいるものの、結婚すると離婚が大変(裁判所の許可が必要)なので結婚という形をとっていない人が多い、ということのようです。
またフランスでは、結婚に近いメリットの得られるパートナー制度があるそうです。本来パートナー制度は同性婚のために作られたようですが、異性婚の利用の方が多いとのことです。
「エッフェル姉さん」達は、せっかく少子化対策先進国のフランスに視察に行かれたのですから、フランスでの取り組みを報告すれば、マスコミをも取り上げ、少子化議論に一石を投じることになったかもしれません。
フランスが少子化対策で成功していて、日本に直ちに移植可能とは言えないまでも、少子化対策の参考例としてきちんと国民に報告すべきであったと思います。自民党の費用と自費での視察とはいえ、国会議員として視察したわけですから。
浜田敬子さんは、トヨタ(ダイハツ)の認証不正に際しては「女性役員が少ないから」、少子化問題に際しては「性別役分担の解消」を訴えて、女性の活躍を訴えていらしゃいましたが、女性の活躍を先導することを期待される女性議員さん「エッフェル姉さん」達は、「昭和のオヤジ議員」化してしまっていたのかもしれません。

人口減少の影響

年金財政のひっ迫

出生率低下、人口減少は、年齢構造を逆ピラミッド型にします。より少ない労働人口で、増えてゆく年金受給者への年金を負担しなければなりません。すでに日本の税負担と社会保障負担の国民所得に占める割合=国民負担率は、2022年度で47.5%に達しています(財務省)。「異次元の少子化対策」の財源は保険料に上乗せして徴収するとのことですので国民負担率は上昇します。
政府はすでに、準備を始めているようです。労働人口の減少、高齢化から導かれる1つの答えは、女性に加えて高齢者にもっと働いてもらうことです。大企業でも役職定年制を見直す動きが出ているようです。役職定年制の廃止により高齢者の継続雇用を図る狙いのようです。

国内市場の縮小

人口が減少すれば当然国内市場は縮小します。国内向けの製品の消費額や販売額は減少してゆきます。内需向けの産業は厳しくなります。
日本は一般的に輸出立国と思われていますが、GDPに占める輸出の比率は高くはありません。少し古いデータですが2018年時点では、ドイツ47%、韓国44%に対して日本は18%です。日本は内需の方が圧倒的に大きいのです。その内需が人口減少によって徐々に縮小してゆきます。
訪日観光客増大によりインバウンド需要を取り込むことも、縮小してゆく国内需要を補う目的があるものと思われます。

国内市場の大きさの意味するところ~日本の芸能界と韓国の芸能界

ある芸能事務所代表の性的虐待報道をきっかけに、当該芸能事務所のメディアへの影響力行使が取り上げられました。抱き合わせでの出演交渉や、要望に従わない場合の出演の取りやめを示唆したり競合するタレントを使用しないよう圧力をかけたのではないか等の疑惑が取りざたされました。これらの行為は、大きな国内市場を背景とした、芸能事務所とTV局のウィンウィンの関係に立脚したビジネスモデルの結果もたらされたものであると推測しています。
TVへの自社タレントの定期的な出演により芸能事務所はタレントの人気を維持し、ファンクラブの維持拡大が図れます。TV側は、組織化されたファンの視聴によって一定の視聴率が見込めます。芸能事務所側は、定期的なTV出演によりファンクラブの維持拡大を図り収益を安定化できること、売り出したいタレントとの抱き合わせ出演によって新たなタレントを育成することが出来ます。
通常であればTV側が取引上の力関係では強いものと思わりますが、タレントの出演への圧力について公正取引委員会から注意を受けた、ということは芸能事務所が実質的に競争を制限する程度に力を持っていた、ということになります。行為の是非は別として優れたビジネスモデルにより、芸能事務所としては成功を収めたと言えます。
一方韓国の人口は、5156万人(外務省大韓民国基礎データ)、日本の半分以下です。国内市場は相対的に小さいため、産業を工業化しビジネスを大きくしてゆくためには、海外市場に打って出るという選択になります。芸能界も例外ではないようです。海外市場に出てゆくためには、海外市場で通用するパフォーマンスが求められ、タレントの選抜、育成も海外市場を意識した、熾烈なものになります。国内企業も国内市場が縮小すればより熾烈な競争にさらされるでしょう。

国土の荒廃

人口の減少は、人口が集積していない地域、つまり維持に相対的に費用が掛かる地域のインフラ維持を困難にし、結果として都市部への人口移動を加速します。人の生息域が減少すれば、野生動物はより活動領域を拡大して人間の生活圏へ進出してくるでしょう。現在各地で問題となっている熊の出没とそれによる被害も多くなることが予想されます。
人口減少に高齢化、過疎化が加わった地域が自然災害に見舞われれば、災害前と同様の生活を再建することは難しくなるでしょう。国や自治体が支援すべきというかもしれませんが、国も自治体も打ち出の小槌を持っているわけではありません。地方自治体が平時の業務を遂行することに必要な人員で業務を回していれば、その人員で災害対応を行うことは容易ではありません。地方公共団体の職員数は令和2年3年は微増していますが、それまでは大きく減少した後、ほぼ横ばいで推移しています。(令和3年地方公共団体定員管理調査結果の概要より)。
また、海岸線での居住者が減少することは、安全保障上の問題も生じさせます。空港港湾で不審者の入国のチェックを厳密にしたとしても、居住者がいない海岸線はテロ活動を目的とするもにとっては格好の上陸場所となってしまいます。今現在テロの脅威にさらされているということではなくても、常時サイバー攻撃を仕掛けてくる国であれば、武力侵攻に際して、日本国内の重要施設等に破壊工作を仕掛け、防衛出動や行政機能を麻痺させて後方かく乱を意図するかもしれないことは、想像に難くありません。

代議制民主主義の限界

なぜ「代議制民主主義の限界」なのか?

閣議決定されているにもかかわらず晩婚化・未婚化への対策が明確に打ち出されていない、ということを考えると国会議員(主として行政府入りしている与党議員)に政策を期待することは難しいのではないか?との思いに至ります。小選挙区制が導入されたことにより党執行部の選挙での公認を通じて議員への支配力が強まり、自由闊達な議論がなされないようになったこと、政策の官邸主導が強まり、官邸の一存で選挙や支持率を意識した政策を打ち出される傾向が強まったようにも感じます。

思い浮かぶのはフランスの「気候市民会議」

選挙で選ばれる議員は、選挙で有利にならないことはしません。フランスは、環境意識の高まりに対応して、市民500人を抽出して環境市民会議を組織して専門化によるレクチャーを経て、気候変動対策を提言したそうです。その中には新規空港の建設を行わないこと、鉄道で代替可能な国内航空路線の廃止等が含まれていたそうです。
フランスのようにせよということではありません。日本で同様の提言が行えるだろうか?と考えた場合、選挙で選ばれた議員には、選出地域に不利になる国内航空路線の廃止は提案できないでしょう。選挙における支持基盤が地方にあるのであれば選出議員だけでなく、党としても容認できないでしょう。それは国会議員の劣化ではなく、それこそが代議制民主主義で想定される議員の行動だからです。憲法ではすべての公務員は全体の奉仕者とされてはいますが。

それでも「国会議員」は権限を手放さない

だいぶ前に読んだ伊藤正己「憲法入門」〔第4版〕では、「選挙法を議会が制定するのは、犯罪人に刑法を作らせるようなものであると評される。」と指摘したうで、3権とは別に、選挙民権を認めて、独立の委員会が選挙に関わる管理執行、立法を行い、国民投票での承認を経て法律として、選挙に関する立法から国会を排除すべきという主張もあった(高柳賢三の選挙委員会らしいです。)ことが紹介されていました。もっとも伊藤さんは「実現性に乏しい」との立場でしたが。
国会議員は歳費(給料)も、選挙区の画定も選挙の方法も、選挙や政治活動に要する費用の処理方法もすべて、立法を通じて自分たちで決められます。自分たちの処遇その他すべてを自分たちで決められる組織は他にはありません。外部からの直接的な監視機能がなく、今風に言えば最も「ガバナンス」が利いていない組織が国会と国会議員と言ってもよいように思います。
民主的な手続きを経て選ばれた国会議員が、民主的に国会を運営するため、制限は可能な限り少なく自由にし、議院の自治に任せるべき、ということも理解はできますが、日本のかかえる課題に対して効果的に機能していないように見えるのは私だけでしょうか。
選挙が外部からの監査機能とも言えますが、投票率が低い状況では、議員は選挙区内の固定票を固め、政権は時のイッシューに対応した政策を打ち出して浮動票をつかむことが重要になります。議員が選挙区の声を吸い上げるため事務所を置き秘書を雇うのは政治活動にほかならないでしょう。そのことをとらえて「政治活動にはお金がかかる」という言い方は、常日頃から選挙区内の支持者の票を固めて来る選挙にそなえるのには「お金がかかる」と言い換えても違和感はありません。また、もち代、氷代、陣中見舞いなどが公然と語られていますので、選挙区内で自分を支援してくれる地方議員へ配る(政治資金として寄付する?)お金も必要となるようです。そう考えるとお金をかけた人が、お金をかけない人より当選する確率は高くなるので、やっぱりお金が必要だ、政治活動にはお金がかかる、ということになります。
そこで政党支援金はもらっているけれどもっとお金が必要!ということにり、企業に献金してもらったりパーティ券を買ってもらって政治資金を作ります。政党交付金に加えて企業からもお金を集めてそのお金で選挙区での「政治活動」=「選挙対策」を充実して当選を勝ち取る、という構図になるようです。
選挙区の票を入れてくれる方の要請に、議員は応答せざるを得ません。また一方ではお金を出してくれる企業の要請にも応答せざるを得ないでしょう。お金を出す側としてはメリットもないお金を出し続けることは難しいでしょう。産業政策は企業の国際競争力を高めて企業収益を通じて従業員、取引先へ経済波及効果をもたらしますから、産業界の意見を聞いてはいけない、産業界の意向を踏まえてはいけない、とも言えません。そう考えると企業献金が諸悪の根源とも言い切れません。

絶望的とばかりもしていられない!

まずは選挙に行きましょう。
少子化対策から代議制の限界という話になってしまいましたが、選挙を通じて意思表示をすることは政策変更を迫る一つの方法です。投票しないことで現状へ「NO」を示すのではなく、現状への「NO」をどうしたら投票で示せるかを考えてください。
そもそも選挙は、個々人の意見ではなく、多くの人の意見を当選者に集約することで、政治に反映するシステムです。あなたの考えと一致した候補者はいないものと考えた方が現実的です。それでも民主政治を維持するためには、投票を通じて意思表示をするか、直接の合法的請願を行うしかありません。投票率が10%上がれば政治状況は大きく変わるはずです。
政治やメディアの言い分を、自分で冷静に考えてみよう
政治もメディアも、自分の見立てに会う「キャッチー」な打ち出し方をするので、それがすべての情報ではないと考えた方が良いようです。フェイクはSNSの中だけとは限りません。政治もメディアの報道もフェイクだらけ、とまでは言いませんが、人間の行う行為である以上「自分たちにとって都合の良い」打ち出しかたをすることは避けられません。
先ほど挙げた浜田敬子さんの発言はTVでのものですが、もしかしたらTV側の演出による浜田さんへの振り付けによる発言だったかもしれません。トヨタの女性役員は1名、外部招聘のようです。トヨタ公表データではありませんが、トヨタ従業員の男女比率は8:2~9:1とのことです。2023年3月期の女性管理職比率は2023年3.4%だそうです。従業員の男女比率とは無関係に女性役員だけを増やす、ということは現実には難しいでしょう。仮に女性役員が少ないことに原因があったとしても、現在起こっている問題への解決策にはなりえません。自由に言っているだけ、それで溜飲を下げる視聴者がいるからいいのだ・・・ということでしょうか。
憲法は投票による政治参加だけでなく直接の意思表示も認めている
先の気候市民会議の話は、齋藤幸平「人新世の「資本論」」に出てくる話ですが、気候市民会議は環境過激派党の活動もあって環境について真剣に考えなければならない、ということから設置されたようです。ある考え方を持つ人が一定の量になって社会に広く認知されると、社会を動かす原動力となるようです。政治的課題を解決する一つの原動力になるかもしれません。
最適な選択は変わってゆく
すこしずつ人口が減少してゆき、今の「最適な方法、最適な選択」が、やがて「最適な方法、最適な選択」でなくなる時が来ることを意識する必要があるかもしれません。
ライフプランにしても「最適な方法、最適な選択」は、時とともに変わってゆくでしょう。50年後どうなっているかを考えて、ライフプラン自体は2~3年おきに見直す、といったことが必要になるかもしれません。
現状を変えることがますます困難になるかもしれない
エマニュエル・トッドさんの指摘がなかなか頭から離れません。日本の家族形態は直系家族(長子相続のことですが、民法の相続法規とは別の概念です)のため、直系尊属=老人に敬意を払う社会となり、秩序正しいことに価値をおき、大きな変化を望まないことにつながっている、との趣旨の指摘です(「老人支配国家 日本の危機」)。肯定はしませんが成田悠輔さんの「集団自決」発言は、日本人の性向を不適切で刺激的な表現であぶり出したものではないかとも感じます。
またトッドさんは、直系家族の利点は認めたうえで少子化の原因とも指摘しています。

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