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中塚翔大

障がい者専門のキャリアコンサルタント

中塚翔大(なかつかしょうた) / キャリアコンサルタント

株式会社キャリアート

コラム

障害者枠の昇給や最低賃金。一般枠との違いは?

2020年7月1日

テーマ:障害者雇用

コラムカテゴリ:ビジネス

コラムキーワード: 障害者雇用

給料
2020年1月以降、新型コロナウイルス感染症の影響で社会や経済の変化は激しくなり、将来を予測することは非常に困難な状況となっています。しかし、10年、20年と年をとればとるほど、就職や転職は不利になることは現実です。

そのため、若いうちに安定して働ける職場を、生き生きと活躍して働ける職場を見つけておきたいと願う人も多いでしょう。

現在の職場が最低賃金で、ボーナスもないという状況であれば、働き続けることに不安を覚えるのではないでしょうか。

これから先、長きにわたって同じ会社で働き続けるには、昇給はあるのか、ボーナスなどの待遇面はどうか、といったことも知っておきたいですね。

障害者の雇用義務が強化されたが数合わせの雇用もある

日本では障害者を一定の割合で雇用することを義務づけた「障害者法定雇用率制度」があります。2018年4月からこの法律が強化され、常用雇用者が45.5人いる企業は2.2%の割合で障害者の雇用が義務付けられました。
2021年4月からは、さらに0.1%上がり、2.3%となる予定です。

結果として、現在は身体障害者、知的障害者、精神障害者の就労の機会は増えています。しかし、待遇面では最低賃金、ボーナスなし、昇進も期待できない場合も多く存在しているのが実態です。

法定雇用率を遵守している企業は国からの支援が受けられ、そうでない企業は不足する障害者1人につき年間60万円を国から徴収されることとなっているため、企業は法定雇用率を達成するために、数合わせの害障害者採用を行うことがあるからです。

その場合、障害者に割り当てられる仕事というのは本業とは関係ない、清掃や雑務が多くなり、給料は最低賃金のまま上がりにくく、賞与も支給されないことが珍しくないというのが現状です。
もちろんスキルアップもできるわけがなく、長く働く中で年だけ重ねていくという実態が、残念ながら、まだ数多く見られます。

法律はどうなっているのか?

昇給や昇進については、どの事業者も独自の規定のもとに運用しています。健常者も障害者も同じ扱いであるべきですが、障害者の場合、人それぞれ障害の特性が異なるため、一律の対応が難しい場合もあります。

しかし、最低賃金のまま昇給もなしに働かせることは、「障害者雇用促進法」に違反する可能性があります。

平成28年4月1日から施行された「障害者雇用促進法」では、障害者であることを理由とした、不当な差別的取扱いが禁止されています。差別に当たる例として、次のようなことが挙げられます・

【賃金について】
・労働能力等に基づくことなく、単に障害者だからという理由で、障害者に対してのみ賞与を支給しないこと。
・昇給に当たって、障害者に対してのみ試験を受けさせること。

【昇進について】
・労働能力に基づくことなく、単に障害者だからとう理由で、障害者を昇進の対象としないこと。
・障害者に対してのみ上司の推薦を昇進の要件とすること。
・昇進基準を満たす者が、障害者を含めて複数いる場合に、労働能力等に基づくことなく、単に障害者だからという理由で、障害者でない者を優先して昇進の対象とすること。

上記のようなことは差別に当たるので、法律違反ということになります。

しかし、こういったことを立証するのは困難で、差別的な取り扱いをしながらも「障害者だから賃金が低いわけではない」と主張することもできるので、実際問題として労働条件の改善は難しいといえるでしょう。

日本社会は、旧来からの終身雇用制度が根深く残る企業も多く、個人のパフォーマンスを評価する仕組みが健常者でさえ、適切に運用されていない実態が多く存在していることから考えると、障害者雇用において不当な扱いを訴え、改善を促すことはより一層のハードルが生じてしまいます。

法整備は進んでいても、依然として障害者にとって厳しい労働環境であることは否定できません。

大手企業のほうが待遇がいい?

しかし、障害者雇用を積極的に推進し、障害者の持つ能力を、自社の事業に活用しようとする企業も存在します。そういった企業は大手であることが多いです。一概には言えませんが、中小企業よりも大手企業のほうが、法定雇用率を満たすための雇用人数も多くなるため、障害者が働きやすい環境の整備も進んでいる場合が多いといえるでしょう。

障害者は、障害の種類や程度、特性に応じて「できる仕事」「得意な仕事」「不得手な仕事」があります。また時間についても、長時間勤務が負担になるケースもあります。

しかし、大手は仕事の種類が多彩で量も豊富にありますので、一人一人に合った仕事を用意することが可能で、待遇についても融通が利く面があります。
数年前から進むダイバーシティ(多様性)への取り組みや近年のSDGsの考え方もあり、障害者雇用に対する姿勢を真摯に考える企業が増えているように見受けられます。

また、バリアフリー化などのハード面の整備においても、大手企業は資金があり、しっかりとした受け入れ体制を整えますが、中小企業やベンチャー企業となると、そういった余裕もなく、今の環境のまま受け入れることもあります。

まだまだ企業の環境整備や認識が不十分な中で、求職者側が自身で判断する目を持つことも求められています。
求人票を見ると、当初の給料は大差のない場合がありますが、職場環境や入社後の待遇、昇進や昇給の可能性などにも目を向けるべきです。仕事が評価され、多少なりとも給料に反映されると、モチベーションアップにもつながります。

さらに言えば、長く働くためには給与面だけでなく、教育訓練を行っているか、円滑な人間関係の形成に目を向けているか、悩みがあれば相談できる環境があるか、雇用管理全般にわたり、障害者の特性に配慮した取り組みが行われているかといったことにも目を向けるべきです。

障害者にとって社会進出をする機会は年々増加し、今後も当面は増加の一途を辿ると予測できます。

その中で、就職から定着、キャリアアップへと力点が変化していくと考えます。

就職段階での条件だけでなく、評価制度や配属・異動、昇給・昇進などを念頭に就職すべき企業を選定する時期にあるのかもしれません。

求職者が自己のキャリア開発を真剣に考え、職業選択をしなければいけないように、企業側も少子高齢化の進行で、就労可能人口が減少していくなかで、障害者雇用が単なる数字合わせではなく、いかに障害者を育てて戦力にするかという発想が求めら、そのためには障害者雇用に合わせた柔軟な評価制度の構築が必須要件になっていくでしょう。

株式会社キャリアート 代表取締役 中塚 翔大
https://www.careerart.net/

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