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中塚翔大

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中塚翔大(なかつかしょうた) / キャリアコンサルタント

株式会社キャリアート

コラム

障害者枠での公務員就職のメリット・デメリット

2020年1月10日 公開 / 2020年3月23日更新

テーマ:障害者 就職・転職

コラムカテゴリ:メンタル・カウンセリング

勉強
[公務員 障害者選考試験のメリット・デメリット]
中央省庁の障害者雇用水増し問題を受けて、政府は、2019年中に障害者を国家公務員として4,000人採用することを決めました。
2018年12月にはすでに1回目の一斉採用試験が行われ、754人が合格しています。2019年10月に開催された2回目では244名が合格し、継続して非常勤職員も含めて採用数の目標達成を目指しています。

障害者にとっては、安定した公務員の採用枠が増えたことは朗報ですが、公務員就職は障害者にとって最良の選択かどうかを、今回の国家公務員大量採用のケースから考えてみます。


[現状の障害者の公務員採用の状況 ]
公務員といってもいろいろありますが、2018年に問題になったのは、中央省庁の国家公務員の雇用人数水増しです。

本来、民間企業以外の公的な機関では、障害者雇用の法定雇用率は2.5%ですが、問題発覚前は2.49%とまずまずの雇用率だったものが、水増し分を差し引くと1.19%と約半数までに下がりました。

中央省庁では、全体の約8割にあたる27の機関で水増しが発覚し、実際の雇用率は外務省0.39%、環境省0.54%、文科省0.57%、国税庁0.67%など、1%にも満たない省庁がほとんどでした。

民間では、法定雇用率を達成しないと一人あたり月額5万円の納付金を納めなければなりませんが、行政機関はこのペナルティーがないため、さらに非難されることとなりました。

本来は障害者雇用を率先して行うべき行政機関の失態に、急遽、4000人の障害者雇用を目標に、障害者限定の国家公務員試験が行われました。

一斉の採用試験は人事院が実施した筆記試験と各省庁の面接試験で、約12倍の倍率を突破して754人が合格しています。2回目の244名含めて目標まで遠い数ですが、追加の採用試験の実施や各省庁が独自で採用する非常勤職員を含めて、2020年以降も人材を確保しようという動きが続いています。


[障害者枠での公務員就職のメリット]
公務員就職は、民間就職にはない安定感ややりがいがあります。国家公務員ともなれば、国の仕事に携われることへの期待感が高まります。仕事に対するモチベーションは上がるでしょう。

さらに、障害者枠採用であれば、事前に障害のことを理解してもらって職場環境を整えてもらえるメリットがあります。公務員試験のハードルはありますが、合格すれば正規の職員で採用されるので、自分から退職を申し出ない限り定年まで勤めることができます。

行政機関側で障害者雇用のニーズがあるので、障害者雇用への対応が不備の場合でも、働きやすい環境を整える義務が採用側にあるとして、改善の申し出を受け入れてくれる可能性が高くなっています。


[障害者枠での公務員就職のデメリット]
1回目で754人の合格者が出た中央省庁の公務員採用ですが、すべての合格者が思うような職につけたかといえば、実のところ難しかったようです。今回、不正が発覚してから十分な検証もないままに、不足分の数合わせで試験が行われたとも言われています。

多くの省庁では、面接時に初めて履歴書を読んで「何ができますか?」と聞くことが多かったとも指摘されています。民間企業など本来の面接では、履歴書は事前に郵送して応募者の情報を認識しているものですが、試験の実施が早急に決まり、対応が追いつかなかったようです。

さらに今回の募集職種は、一般事務、軽作業、庶務に偏っており、「国の仕事に携われる」との希望もむなしく、シュレッダー掛けやコピー機の保守など補助的な仕事に従事することを求められるケースもあったようです。

ただ応募者側にも、思い通りに一般採用の人たちと同じような仕事をこなせるかどうか、という問題があります。中央省庁はもちろんですが、地方自治体での業務も一人あたりの仕事量が多く、総じて激務になっています。

一般枠の激務は民間企業にもいえることですが、公的機関は、民間とは違って障害者1人あたりの補助金が支給されないので、ジョブトレーニングなど業務に必要なスキルや職場環境の整備を十分に行ってもらえるかどうかも疑問です。

それに、民間には一企業内にいろいろな部署があり職種もさまざまです。自分に合った仕事を見つける可能性は公務員就職より多く、自分の可能性を広げる職場を探すなら民間の方が有効かもしれません。

また、上手く公務員として良い職場環境に恵まれ、順調に出世できる道筋が約束されてたとしても、民間の同等の役職で比べると給与は低くなっていますし、激務に見合う報酬が得られるとは限りません。
その上、公務員は雇用保険の対象外です。それに代わる「退職手当」がもらえますが、短期間での離職の場合は十分な金額にはなりません。

公務員になることが希望だったという人はいいのですが、公務員は年功序列のため、民間企業のように高い能力があって企業に貢献すれば給料が上がるなどということはありません。公務員就職の場合はやりがいを求めるというよりは、安定を最大のメリットとして、仕事とプライベートのバランスをとりながら、生活を充実させていくといった視点を持つのがよいのかもしれません。
もちろん個別の状況によりますが。。。

いずれにせよ、公務員への採用機会が増加したことは求職者にとって職業選択の機会が増加したと言えるため、将来の働き方について検討されている方は、一つの選択肢としてチャレンジしてみるのもよいかもしれません。

株式会社キャリアート 代表取締役 中塚 翔大
https://www.careerart.net/

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