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天野仁

離婚・男女問題・金融関連に強い弁護士

天野仁(あまのひとし) / 弁護士

弁護士法人ステラ

コラム

離婚後の養育費を強制執行する場合の手続きと注意点

2018年4月25日

テーマ:養育費

コラムカテゴリ:法律関連

コラムキーワード: 退職 手続き

養育費が滞って生活に困っているのに、相手が履行勧告にも履行命令にも応じない場合、最後の手段ともいえるのが強制執行です。

支払義務者の預貯金や給与を差し押さえ、強制的に養育費を確保することができます。強い効果があるぶん、回収の手段にも順序があり、手続きについて正しく理解しておく必要があります。

強制執行の手続きに必要な書類とは

強制執行の手続きには、原則として「①債務名義」「②執行文」「③送達証明」の3つの書類が必要です。

【債務名義】
離婚時の養育費についての取り決めが、口約束や自分たちで作成した合意文書である場合、強制執行はできません。

強制執行に必要な「債務名義」は
〇強制執行認諾文言付き公正証書
〇調停調書
〇審判書
〇判決書
などです。

以上のような文書で支払い義務が定められている場合、義務者の預金や給料などに対して強制執行をかけることができます。

【執行文】
執行文とは、強制執行をかけることができるということを公に証明する文書です。債務名義があるだけでは、強制執行を行うことはできません。判決や審判、また公正証書が作成された後も、債務名義をめぐる状況が変化していないことを確認し、強制執行する効力があることを示す必要があります。

【送達証明】
執行官が手続きを開始するためには、支払義務者に債務名義を送達しておかなくてはなりません。そして、送達という手続きが完了したことを証明して、はじめて強制執行をかけることができます。その書類を送達証明といいます。

財産開示制度を利用する

差し押さえは当事者ではなく、執行機関(裁判所や執行官)が行います。その前に、どの財産を差し押さえるかを執行機関に伝えなくてはなりません。

給与を差し押さえる場合は相手の勤務先の情報、預金を差し押さえる場合は口座の情報を入手しておく必要があります。

もし、相手の勤務先や財産の状況が不明な場合は、相手方の住所地を管轄する地方裁判所に申し立てれば、情報を開示させることができます。ただし、公正証書による強制執行の場合は、この制度を利用することはできません。

養育費の場合は給与を差し押さえるケースが一般的です。給与は最大2分の1まで差し押さえることができ、将来の分の養育費も継続して差し押さえることができます。

しかし、差し押される側にとっては大きなダメージで、会社にいづらくなって退職することも考えられます。その場合は、新しい勤務先を探し出し、再度手続きをし直す必要があり、差し押さえが困難となる場合がありますので注意が必要です。

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天野仁

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天野仁(弁護士法人ステラ)

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