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河村修一

「ファイナンシャルプランナー」×「行政書士」

河村修一(かわむらしゅういち) / 行政書士

カワムラ行政書士事務所

コラム

老後の資金計画の作り方

2021年5月16日 公開 / 2021年5月17日更新

コラムカテゴリ:くらし

こんにちは。行政書士 ファイナンシャルプランナーの河村修一です。
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2025年には、高齢者約5人のうち1人が認知症になるとの推計があります。ご参考までに「厚生労働省より令和元年6月20日の認知症施策の総合的な推進について」のなかに75歳から79歳での認知症有病率は男性9.6%、女性11%でしたが、85歳から89歳では男性35.6%、女性48.5%です(出所:認知症施策の総合的な推進について)。このように高齢になればなるほど発症リスクが高まります。老後のライフプランを考えるときには、認知症等で介護になった場合も考慮しておくと安心です。その他にも、自宅のバリアフリー化や修繕、自家用車・家電の買い替え、医療費、家族信託、成年後見制度の活用における費用、お葬式代なども忘れずに考慮しましょう。体力も気力もあり元気なときから(ステージ1)、体力に衰えを感じ、将来に不安を感じ始めます(ステージ2)。その後、認知症等により介護が必要となり、亡くなります(ステージ3)。このようなサイクルの中(一例として)で、老後の資金計画の支出面では、主に次のようなことを留意してみてはいかがでしょうか。

ステージ1

基本生活費に「自家用車・家電の買い替え費用」、「旅行費用」、「子どもの結婚費用援助」、「自宅のリフォーム費用」などを計上します。自家用車の買い替えには、購入時の費用だけではなく、維持費用なども十分考慮しておく必要があります。維持費用が思ったよりかかっため、結局、維持費の安い軽自動車に買い替えなければならないかもしれません。家電の買い替え年数は、電気冷蔵庫は、70歳以上(2人以上世帯)の場合、13.5年、電気洗濯機は、10.8年、電気掃除機8.4年、ルームエアコン14年です(参照:消費動向調査令和2年3月調査)。おおむね、10年を目途に買い替えの発生を計上するといいでしょう。旅行費用は、70歳以上の家庭の1世帯当たり年間約4.9万円です(参照:総務省統計局家計調査年報2019年)。その他、自宅リフォーム費用では、バリアフリーに関するリフォーム費用は、手すりなどの取り付け費用は10万円前後、浴室の改修100~150万円くらい、全面改修など大がかりなものになると1000万円超える場合もあります。(日本FP協会マネー&ライフプラン参照)

ステージ2

体力に衰えを感じ、将来に不安を感じ始めます。例えば、数年後に認知症等で介護になった場合の介護費用などです。介護費用を捻出するために、仮に家族信託を活用した場合、将来、認知症等で判断能力が低下したときでも、自宅売却などで費用の捻出が可能になります。家族信託とは、『財産管理の一手法』です。資産を持つ方が、特定の目的(例えば「自分の老後の生活・介護等に必要な資金の管理及び給付」等)に従って、その保有する不動産・預貯金等の資産を信頼できる家族に託し、その管理・処分を任せる仕組みです。いわば、「家族の家族による家族のための信託(財産管理)」と言えます。家族・親族に管理を託すので、高額な報酬は発生しません。したがって、資産家のためのものでなく、誰にでも気軽に利用できる仕組みです(一般社団法人家族信託普及協会のホームページより抜粋)。ただし、家族信託を活用するため専門家に依頼する場合は、専門家に支払う報酬などが必要になります。ここでは約100万円と考えます(信託財産、専門家等により報酬額は異なる)。継続費用は家族信託の場合は基本的にほとんどかからないと考えます。その他、任意後見制度の利用等もあわせて検討する必要があるでしょう。

ステージ3

認知症等で判断能力が著しく低下したため、在宅介護ではなく、公的施設(特別養護老人ホーム)への入所すると仮定しましょう。ユニット型個室での費用は、要介護5で年間約180万円を計上します(参照:介護事業所・生活関連情報検索 厚生労働省に独自試算)。
このほか、法定後見制度の利用する場合、設定時、専門家に依頼すると専門家に対する報酬や、後見人に専門家が選ばれると、継続的な報酬が必要になります。(参照成年後見人等の報酬額のめやす 東京家庭裁判所立川支部)。ここでは、継続的な報酬を年間36万円と仮定して計上します。長い介護期間の終わりは、悲しいのですが、亡くなることで終わります。ご参考までに新規に要介護認定を受けてから亡くなるまでの期間と割合をみてみましょう。①新規に要介護1の認定を受けた場合、1年後に死亡している割合は10.2%です。新規認定日から5年後の状態をみると、要介護1では死亡が47.1%と半数近くを占めています。②要介護5がはじめての認定の場合には、1年後に死亡している割合は44.8%です。新規認定日から5年後の状態をみると、要介護5では死亡が79.4%と8割近くを占めています。このように、5年経過すると、要介護1でも半数近くの方が亡くなり、要介護5では約8割の方が亡くなっています(参照公益財団法人ダイヤ高齢社会研究財団 ダイヤニュースNO91)。ただし、資金計画を立てるときには、最悪なことは資金不足になることです。そのためにも、介護期間は長めに設定しておきましょう。亡くなった場合の葬儀費用ですが、約200万円、墓地・墓石代(民営)として約100万円~を計上しましょう(日本FP協会マネー&ライフプラン参照)。最近ではお葬儀の形式についても、(新型コロナの影響を除いても)「家族葬等の小規模なお葬式」や「オリジナルプラン(各地域の葬儀社と提携)」等により低価格化も進んでいるようです。今後、長生きにより認知症になる確率が増え、介護費用を前提としたライフプラン、キャッシュフロー表を作成することにより、どのステージでどのような対策が必要かが一目でわかります。

まとめ

老後の資金計画を考える場合、基本生活費の他に自宅のバリアフリー化や修繕、自家用車・家電の買い替え、医療費、家族信託、成年後見制度の活用における費用、お葬式代なども忘れずに考慮しましょう。また、認知症等で介護になった場合を考慮しておくと安心です。

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