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河村修一

「ファイナンシャルプランナー」×「行政書士」

河村修一(かわむらしゅういち) / 行政書士

カワムラ行政書士事務所

コラム

同じ介護保険施設の個室でどうして施設代が違うの?

2020年4月25日 公開 / 2020年9月6日更新

コラムカテゴリ:くらし

おはようございます。行政書士 ファイナンシャルプランナーの河村修一です。
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現在、Cさんは親と同居していますが、将来的には(要介護5)特別養護老人ホーム(以下:特養という)への入所を考えています。そこで同じ特養(ユニット型個室)に入所している要介護5のAさんとBさんの家族の方に施設代を聞いてみたところ、Aさんのご家族の方は「毎月7万円くらいかな~」と言っており、一方、Bさんのほうは「14万円くらい払っているかな~」と言っていました。どうして同じ特養(ユニット型個室)で施設代が違うのでしょうか。

所得や資産によってかわってくる

介護保険施設では、入所者の「住民税課税・非課税」や「資産」によって施設代が変わってきます。例えば、特養の施設代は、「介護サービス費自己負担(1~3割)」と「食費・居住費」に「日常生活費」を加えた金額になります。ここで、AさんとBさんの収入や資産を比べてみましょう(ともに単身世帯)。Aさんは若いころから自分で商売をしていて国民年金です。現在82歳のAさんの収入は年金のみで毎月5万円(東京23区は年金だけ収入で単身世帯の場合155万円以下は住民税非課税)だそうです。貯金は定期預金に800万円あります。一方、同級生であるBさんは、サラリーマンで厚生年金だったため、収入はAさん同様年金のみで18万円だそうです。貯金は500万円の定期預金があります。サービス費用は、住民税非課税であるAさん、年金収入が年間280万円未満のBさんともには1割負担で同額です。一方、「食費・居住費」に関して、Aさんは、住民税非課税であるので「食費」の負担限度額は1日あたり390円、「居住費」は820円になります。結果、1ヶ月(30日)でサービス費用(27,300円)+食費(11,700円)+居住費(24,600円)+日常生活費(10,000円)で73,600円になります。一方、Bさんは、「食費」の負担限度額は1日あたり1,380円、「居住費」は1,970円になります。結果、1ヶ月(30日)でサービス費用(27,300円)+食費(41,400円)+居住費(59,100円)+日常生活費(10,000円)で137,800円になります。このように住民税非課税であるAさんは約7万円で住民税課税であるBさんは約14万円と倍費用が違います。

さらに高額介護サービス費で軽減

また、サービス費用の負担が高額になった場合には、一定額を超えた場合、超えた分が後から戻ってくる「高額介護サービス費」があります(同月内)。住民税非課税であるAさんは月のサービス費の上限額が15,000円であり、27,300円との差額12,300円が約3ヶ月後に戻ってきます。一方、住民税課税のBさんの上限額は44,400円であり、現在支払っているサービス費用27,300円は上限額内のため戻ってくるお金はありません。※参照厚労省
住民税課税世帯か非課税かにより自己負担額の上限は異なっています。

特養は終の棲家

Cさんの親が特養に入所した場合はいくら費用が掛かるのでしょうか。Cさんの親(財産はほとんどない)が住民税非課税であればAさんと同じように月7万円くらいでしょうか。世帯主であるCさん(住民税課税)は現在サラリーマンでバリバリ働いています。世帯員である親がこのまま特養に入所すれば非課税のAさんではなく、Bさんと同様の費用になります。理由は同居のCさんが住民税課税であり、住民税課税世帯になるからです。皆様も聞いたことがあると思いますが、親が終の棲家である特養に入所した場合、原則、特養の住所が親の住民票の住所地になるのです。それによって、Cさんの親は単身世帯となり住民税非課税世帯となりAさんと同様に施設代は約7万円になります。このように本人だけではなく世帯の状況も反映されているのです。その他には資産要件等もあったりします。

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