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河村修一

「ファイナンシャルプランナー」×「行政書士」

河村修一(かわむらしゅういち) / 行政書士

カワムラ行政書士事務所

コラム

財産が自宅しかない!年金や貯金の少ない親の介護

2020年4月18日 公開 / 2021年2月9日更新

コラムカテゴリ:くらし

おはようございます。行政書士 ファイナンシャルプランナーの河村修一です。
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親の財産は自宅しかない


貯金も年金も少なく持ち家しかない親が、万一介護になった場合「介護費用を子世代の持ち出しになりそう」と悩んでいませんか。
一般的には、私たち子世代もそんなに経済的な余裕はなく、親が認知症などになった場合、在宅での介護もできないし、施設介護となれば有料老人ホームの費用は高額で支払うことが困難だからです。
親が75歳を超えたあたりから、地域包括センターや介護保険課に聞いてみたり、インターネットで低額で入れる施設などを調べてなるべく早めに情報収集してみるとよいでしょう。

介護保険施設を検討

具体的には、まずは、貯金や年金が低額でも入れる介護保険施設があるのか等を探してみましょう。例えば、人気の「特別養護老人ホーム(以下特養という)」です。特養は、貯金も少なく(現在、単身の場合は預貯金が1000万円以下)年金も少ない方(住民税非課税世帯)には、食費・居住費が軽減できる制度があります。
ただし、特養は、誰でも入所できるわけではなく、基準が原則、「要介護3以上」となっています(介護が必要になった場合、市区町村の介護保険課に申請して介護認定をしてもらいます。その結果、介護の段階が7段階あり、軽いほうから要支援1~2、要介護1~5と数字が大きいほど重たくなります)。また、入所するにあたりその人の環境に応じて入所できる順番が決まりますので(緊急度合い等を考慮)待期間が長くなったりする場合もあります。
その間、「低額な有料老人ホーム」に入居して、順番待ちをするのか、介護保険施設である「介護老人保健施設」や「サービス付き高齢者向け住宅」に入所して順番待ちするか等をキャッシュフロー表でシミュレーションしてみると資金余裕度合いが一目でわかります。
その他、例えば、子供さんが2人など複数の場合は、お互いに不足額を負担するのか、親の自宅を活用して有料老人ホーム代などの介護費用に充てるのかなどの方法もあります。子供が2人の場合に、不足額が毎月20万円にもなると1人10万円の負担額となり大変です。

介護費用の捻出

親のご自宅を活用して費用を捻出したほうが介護破綻を回避できるはずです。自宅を活用して費用を捻出する方法は、「リバースモーゲージ」があります。自宅を担保に融資を受けて、元本返済はせずに借入者の死亡時に自宅を売却して返済資金に充てるもの等です。
その他にも、「移住・住みかえ支援機構」のマイホーム借上げ制度を利用して家賃収入を得て、有料老人ホーム代等に充当するのも一つです。自宅売却においては、民事(家族)信託を利用して、信頼できる子供に自宅の管理・処分を依頼する契約を結び、いざ、認知症で判断能力がなくなり、有料老人ホームへ入居となった場合には、自宅を子供が売却できるようにしておくことも重要です。
このように、貯金や年金が少なく自宅しかない親の介護も、自宅があれば活用できます。また、役所やインターネットなどで低額な施設を探したり、子供での費用分担も視野に入れたりして、キャッシュフロー表などを作成して「介護費用の見える化」を図ることにより対策ができます。
ただ、自宅の活用を図る上では、自宅の所有者である親が認知症などで判断能力がなくならないうちに対応することが最重要です。ご自身で調べる時間等がない方は、全般的なことは「介護とお金に詳しいファイナンシャル・プランナー」、税務に関することは「介護とお金に詳しい税理士」や予防法務に関することは「介護とお金に詳しい行政書士」に相談するのもひとつです。

この記事を書いたプロ

河村修一

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河村修一(カワムラ行政書士事務所)

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