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田中政己

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田中政己(たなかまさみ)

株式会社 旭東不動産

コラム

予め家族信託をしておくと認知症になっても不動産の売却が可能です

前回のコラムで少しだけご紹介した家族信託ですが、家族信託とはなにか、信託をしておくとどうなるかをご紹介します。また、家族信託の使い方は初級編から超上級編まで、とても広いのですが、家族信託の初級編の使い方とその効果について説明します。


【家族信託とは?】
家族信託は民事信託とも呼ばれ、日本では1922年に信託法が制定されましたが、主に信託銀行や信託会社が活用するものとして認識されているのが一般的でしたが、高齢化社会への対応を法的に支援するために2006年に改正となりました。家族信託は、信託銀行や信託会社を使わずに、家族や親しい関係の人々の間で行われる信託のことを示します。

また、信託は不動産に限らず、動産、株式や国債などの有価証券、金銭債権、知的財産権など、財産の種類に制限はありません。

【ケーススタディー】
今回は不動産における信託の初歩的な使い方を、自宅を所有し、自分が認知症など曖昧な状態になった場合に、自宅を売却して、高齢者介護施設に入居する資金に充てたいと思っている78才の母親、居住を別にする43才の息子がいた場合の例で説明します。

息子は母親に、すぐにでも自宅を売却して、高齢者介護施設に入居することを勧めているが、母親としては元気なうちは現在も所有する自宅に居住したいとの考えで、すぐに売却することは考えてはいないケースとします。

目的が明確にも拘らず、このまま何の事前準備もせず、万が一母親が認知症になってしまった場合では、前回のコラムで書いたように自宅の売却をすることはできなくなり、当初の希望とは裏腹に施設への入居が叶わなくなるどころか、息子に金銭面も含めて身の回りの世話をしてもらいながら生きていくしかなくなります。こうなってしまった場合、息子夫婦にかかる負担は計り知れないものとなりますし、施設に入居したいとの希望があった母親も、当然このようなことは望んではいないでしょう。


【予め家族信託をしておくと認知症になっても不動産の売却が可能です】
前記のようなことにならないために、予め家族信託によって、母親が息子に自宅の管理や処分をすることを信託(任せる)の登記をしておけば、万が一、母親が認知症になっても、息子の印鑑と意思確認だけで売却をすることが可能となります。
ただし、信託登記も売却と同様に、必ず母親が認知症になる前に登記しておく必要がありますのでご注意ください。

このようなケースでは先に贈与しておくという方法もありますが、家族信託とは下記のような違いがあります。※今回のケースでの違いです。

【家族信託と贈与との違い】
(贈与をした場合)
・年間110万円を超える贈与がされた場合、贈与税がかかる。
・贈与税がかからないように年間110万円以下の贈与を毎年行ったとしても、物件の評価額によっては、息子の持分が100%になるまで何年もかかってしまうし、その都度登記費用もかかる。
・所有権を取得するので、息子に不動産取得税がかかってくる。

(家族信託をした場合)
・贈与ではないので、贈与税がかからない
・一度の信託登記で完了、また、登記時に必要な登録免許税が少ない
・所有権を取得するのではなく、物件を任す、任されるだけのことなので、不動産取得税がかからない

※実際の案件では、より詳細な状況によって、相続時精算課税制度を利用した贈与を採用するか、家族信託を採用するかを検討し、よりメリットがある方法で対応します。

【最後にひとこと】
当社にご相談に来られるお客様でも、細かい状況は違えど、これに類似したケースはよくあります。
特に今回で言う『母親』の立場の方は、『親の財産を当てにするな』的な考えの方も少なくはありませんし、私も三児の父としてその考えに共感する部分もあります。しかし子にとっては、親が思うよりも深刻です。家族信託の説明をすると、親よりも子の方が大きな関心を示すことが多いのが現状で、別の側面からは『子がリードせよ』ということが現実なのだろうと考えています。
巷で相続対策という言葉をよく耳にする昨今ですが、何も相続税を節税することだけではありませんし、相続税がかかるようなお金持ちだけものものでもありません。
相続対策とは、財産の大小は関係なく、親の思いが詰まった財産を、その思いとともに子が承継し、幸せに生きて行くためのものとすること、つまり言い換えれば『生存対策』ということです。そしてそれには未来を見通す目と、早めの対応が必要不可欠なんです。

長文を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
次回もあまり知られていない家族信託に触れていきたいと思います。

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