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貿易ビジネスを通じて、日本と中国、双方の民間の相互理解を深めながら友好関係を築きたい

日本と中国の相互理解と友好関係を願うビジネスマン

折江賢

日本と中国の相互理解と友好関係を願うビジネスマン
折江賢さん仕事風景

#chapter1

交換留学生として来日。新潟大学・群馬大学で研究を重ね、日本企業に就職。永住を決意し日本国籍を取得

 中国国内でトップクラスの難関校である浙江大学を卒業し、現地法人に勤務していた折江さんは1988年に新潟県と黒竜江省の交流事業の一環として、新潟大学の交換留学生に選ばれて来日します。
「当時勤務していた中国の研究所は日本の大学教授が顧問をしていたこともあってか、日本人研究者がたくさん来ていましたし、主に若手の研究員を集めて日本語のレッスンも行っていたので日本のことはずっと身近に感じていました」

 研究者としての才能や実績ももちろんですが、折江さんが交換留学生に選ばれたのは日本語の成績が1番だったからだそうです。
生まれて初めて日本の地を踏んだ折江さん。新潟という土地については「日本食は苦手でしたが、お米と魚は美味しいと感じました。日本の人は真面目で優しくて良い人ばかり。皆さん勉強熱心だし、私自身学ぶことも多かった」と話します。
留学を終え、一旦中国に戻った折江さんですが、3年後に再来日。研究員として群馬大学で学び、同大学院を卒業後に日本企業に就職した時は「このまま日本に住もう」と決意し、1999年に日本国籍を取得します。

#chapter2

企業では主に化学設備のプロジェクトに参加。品質・価格・納期・サービスにこだわりメーカーをリサーチ

 日本に帰化した折江さんはそれまで勤務していた会社を退社し、2001年に日化設備エンジニアリング株式会社に入社。化学プラント設備や自動化設備の設計・製造・販売に携わりますが、顧客からの「高品質な設備を安価に」という要望に応えるべく、国内メーカーはもとより、台湾のメーカーなども多数リサーチ。最善と判断した台湾のメーカーから配線板製造設備の水平処理装置の輸入販売に踏み切ります。「品質は日本のものと同じかそれ以上なのに価格は3割減。おかげさまで顧客からも高い評価を頂くことができました」

 2009年になり、会社が日立化成株式会社に統合されると、折江さんは化学プロセスの開発や化学プロセスエンジニアリング生産設備導入の業務を任されるようになり、主要となるプロジェクトに参加。自社開発化学プロセスの実用化を検討する上で要求された設備投資の大幅なコストの削減を実現するべく、日本と中国のメーカーをリサーチ。品質・コスト・納期・サービスの4つの観点で比較検討し、最適なリソースの組み合わせでプラント設備を導入。さらに有価物を回収して再利用するというリサイクルプロジェクトにも関わって奔走しますが、こちらはプロジェクト自体が中止になってしまいます。
「プロジェクトがなくなってしまったことはとても残念でしたが、徹底的にリサーチしたことでたくさんの優良なメーカーと知り合いになれて、取引できる手段を得ることができました。徒労に終わったかのように見えて、実はビジネスとしての手応えを私は感じていました」。
これをきっかけに折江さんの手腕や実績は社外の人からも一目置かれるようになり、周囲の薦めもあって独立を決意します。

株式会社CHEMIARX(ケミアークス) 外観と折江賢さん

#chapter3

化学設備の安価な調達が難しい日本市場に、中国の良質な製品を輸入し、ビジネス面での相互理解を深める

 本国・中国で優秀なエンジニアとして働いていたにも関わらず、日本の企業で働き、日本国籍を取得。日本人として起業まで果たした折江さん。
「家族の反対はなかったのか?」という質問には、少し複雑そうな表情を見せながらも「妻が理解してくれたことが最大の後押しだった」と話します。
「私は結婚が早い方で初めて日本に来た時はすでに妻がいましたから、家族というのは妻と子どもたちです。両親や親族の中には私の行動に異義を唱える人もいたかも知れませんが、妻と子供が応援してくれたので日本でやって行こうという自信と決意を持つことができました」。

 日中関係については世間でもいろいろ取り沙汰されており、必ずしも両国の関係が良好であるとは言えないという見方もありますが、折江さんは「国同士の関係について本当のところはわかりませんが、どちらも産業においては高度なレベルを持っていますし、民間人同士がビジネスを通じて交流するのはお互いにとって利益があります。特に化学設備に関して言えば、日本は市場が少ないせいでメーカーの対応が遅く、納期に時間がかかるという欠点がありますが、中国は市場が大きいのですぐに対応できますし、大きさ・材質・用途など設備のバリエーションも豊富です。もちろん品質にも問題ありません」。
「日中両国のリソースを組み合わせて高品質な製品を低価格で提供する」ことを事業コンセプトにしている折江さん。
社名である「ケミアークス」は「化学(Chemical)設備というビジネスを通して。日中両国の友好関係を築き(Arch)、無限(X)の可能性を追求する」という願いが込められているそうです。

(取材日:2020年9月)

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折江賢

日本と中国の相互理解と友好関係を願うビジネスマン

折江賢プロ

貿易商

株式会社CHEMIARX(ケミアークス)

化学設備が日本国内市場だけでは安価に調達できないという現状をサポートし、さらに迅速に対応するべく、品質・コスト・納期・サービスの総合満足度の高い商品を独自のルートで中国から仕入れて日本の企業に提供。

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