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杉浦菜美

あらゆるシーンにおける香りの提案のプロ(調香師)

杉浦菜美(すぎうらなみ)

Victoire(ヴィクトワー)

コラム

お母さんのにおい~五感の中で最も原始的な感覚「嗅覚」と、「感情」の結びつき~

香り

2018年2月11日 / 2018年2月12日更新

動物は人間より嗅覚が発達していると言われています。
「におい」で、相手が敵か味方か、直感的に判断するからです。
それが食べられるものかどうかも、「におい」で判断します。
生きるか死ぬか…何が起こるか分からない大自然は、
彼らにとって非常に過酷な世界なのでしょう。

数年前、次男を出産しました。土曜の夜10時の分娩でした。
翌朝、当時幼稚園児だった長男が、赤ちゃんに会いに来てくれました。
弟に会えるのを心待ちにしていた長男。
病院の個室のドアを開けて入ってきた瞬間の少しはにかんだ表情。
兄になる期待感からなのでしょうか…
とてもかわいらしく、今でもよく覚えています。
しかし、その後、もっと忘れられない出来事が…
私の近くに来た瞬間、一瞬にして表情が曇ったのです。
そして、一言。
「くさい」
そこに笑顔はありませんでした。
突然、嫌悪感をあらわにした長男。
聞くと、「ママがくさかった」そうなのです。

出産直後はホルモンバランスも変わり、母乳や汗など独特なにおいに包まれ、
いつもと違う「母のからだ」になっていた私。
まだしっかりと目が見えていない赤ちゃんは、”におい”でお母さんを認識すると言われています。
私は思いました。
赤ちゃんにとっては安心できる「味方」のにおいが、
まだ幼い長男にとっては「敵」のにおいに感じたのではないかな?と。
そしてそこには、”お母さんをとられる”という危機感が伴っていたのではないでしょうか。
もちろん、あくまで私の想像にすぎませんが…
(あの時の長男は、本当に、今まで見たことのないようなよそよそしい態度で、
心から驚いたことを、今でもはっきりと覚えています。)
とても動物的な、においと感情の結びつきを目の当たりにした出来事。
「くさい」という、一見ネガティブな言葉から生まれた、極めて本能的で、生き生きとした瞬間。
まさに、このようなことが、『香り』の世界の”原点”であると、私個人は感じています。

そんな長男も先日8歳の誕生日を迎えました。
思い返してみても、彼に面と向かって「くさい」と言われたのは、あの日だけなのです。
次にあるとすれば、思春期になる頃でしょうか…(笑)

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