多様化する供養の形にも柔軟に対応。お墓の大切さを伝える石材店。（2/3）

震災を機に気付いた、お墓が「人のためにできる」こと。

お墓は、人と死別するときや供養の時に必要となるもの。だからこそ「悲しい、さびしい、といったお客様それぞれが抱える気持ちを、少しでもくみ取れるようにしたい」と鈴木さん。それは「毎日の暮らしに使うような生活必需品ではないけれど、目に見えない思いが伝わるもの」という気持ちが込められています。
「墓石という“もの”だけでなく、家族の象徴だったり、親族が集まる場所かもしれない。あるいは、ここにご先祖様がいらっしゃるよ、手を合わせようねと子どもたちに伝え、そこから子どもたちが何かを感じ取るかもしれない。そういう場所だと思うんです」
大学卒業後、他の企業に勤めてから、家業である石材店を継いだ鈴木さんにとって、その思いがより強くなったのは、東日本大震災がきっかけだったと言います。
「墓所を復旧に行くボランティアに参加したんです。津波で倒れてしまった墓石を起こしたりしたんですが、墓石を扱う仕事も、世のため人のためにできること、やらないといけないことはある、と強く感じました」
鈴木さん自身も、石を切ったり磨いたり、文字を彫ったりといった加工を一通り手がけますが、自分一人の力ですべてをこなすのが目的ではなく、色んな人の力を借りていい仕事をしたい、と言葉に力を込めます。
「一番大切なのは、お客様に喜んでいただくこと。そのためには、造園など他業種の仲間にもたくさんの力を借りて、自己満足ではなく、お客様に満足していただけるものをご提案していきたいですね」

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