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谷津吉美

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谷津吉美(やつよしみ) / 薬剤師

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コラム

副鼻腔炎(蓄膿症)・後鼻漏と漢方薬(7つの症例)

2022年11月8日 公開 / 2022年11月26日更新

テーマ:漢方薬で良くなった症例

コラムカテゴリ:医療・病院

コラムキーワード: 漢方薬 効果東洋医学




最近ご相談が多い、副鼻腔炎(蓄膿症)の症例をまとめました。
蓄膿症は、慢性化するとなかなか治りにくくなる病気です。漢方では、血行を良くして、化膿しやすい体質を改善していきます。よく使う漢方薬は葛根湯加川きゅう辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)です。また、甘い物や油っこい物が好きで、血液が汚れている人(血毒)の場合は、解毒不良体質を改善していく荊芥連翹湯(けいがいれんぎょうとう)を使用します。

①副鼻腔炎を繰り返す(38歳女性)

3年前から風邪を引くたびに副鼻腔炎を繰り返す。鼻水がのどに落ちて咳がよく出る。鼻柱湾曲も手伝って鼻詰まりがひどくのどの痛みがひどい。臭いも感じにくい。病院では抗生物質が出されるが、だんだん効かなくなってきている。
症状は、風邪を引きやすく、喘息気味で皮膚炎が起こりやすくアトピー体質である。婦人科もあまり強くなく、子宮筋腫がある。2種類の漢方薬を服用すること10日、症状は劇的に改善。
14日後はのどの痛みがほとんどなくなった。カルボシステインも漢方と同時にやめている。

その1年後に別なご相談でご来店。漢方薬服用2か月後からは、体調が良いのが続き、一度も病院に行っていないとのことでした。

②副鼻腔炎(43才女性)

4年前から風邪のあとに副鼻腔炎を繰り返す。月に1度は耳鼻科に受診するが、抗生物質が効かなくなってきた。後鼻漏があり咳がでてのどが痛い。水虫や日光のアレルギーもあり皮膚が弱い。PMSの症状もあり、生理前にはイライラが激しくなる。風邪もひきやすい。

胃腸に原因があるとみて、皮膚粘膜にも働く自家製漢方薬と、もう1種類の漢方薬を服用していただき、2か月で病院通いは無くなり、状況は安定している。

③蓄膿症と漢方薬(19歳の男性)

4~5年前より鼻づまり、後鼻漏、頭痛がするようになり、病院で蓄膿症と診断された。抗生物質を飲むと少し良くなるが、長期服用に抵抗があり、漢方で体質改善したいとご相談に見えられた。体質は、肩こり、吹き出物、湿疹があり、肉類、脂っこいものを好む。鼻汁は黄色くドロッとしたものが出て、時々鼻血が出る。

自家製漢方薬(煎じ薬)を調合。飲み始めて1か月後、鼻汁がたくさん出た後、鼻が少し通るようになった。さらに1か月後、鼻づまりが減り、吹き出物が出なくなった。漢方薬をさらに継続していくと、頭痛、後鼻漏も改善していき、1年がたったころには鼻づまり、後鼻漏はなくなった。

④慢性中耳炎と副鼻腔炎と漢方薬(30歳男性)

30歳の男性。3年前より右の耳がふさがるようになり、病院で中耳炎と診断された。抗生物質を飲むとよくなるが、しばらくすると再発する。また、副鼻腔炎もあり、鼻も詰まりやすいとのこと。体質は、神経質で良く悩み、手のひら足の裏によく汗をかく。食事は大食で、お腹はよく張る。また、吹き出物やおできもできやすい。

自家製漢方薬(煎じ薬)を調合。飲み始めて3か月後、耳のつまりや鼻づまりが減ってきた。また、吹き出物も減ってきた。そのまま漢方薬を継続すること1年、耳のつまり、鼻づまりもなくなり、再発しなくなった。

⑤蓄膿症と漢方薬(39歳男性:身長180cm体重75kg)

半年前に風邪を引いて以来蓄膿症(慢性副鼻腔炎)になった。ひどいとほおが腫れ、痛み、首筋も凝って頭痛がすることもある。また、鼻水はつまりがちで出にくいが、お風呂や運動などで体が温まると出てくることがあり、その膿は臭いにおいがあって、時々出血を伴う。病院で抗生物質を処方され、一時飲んだがあまり効果は見られなかった。食事は、甘いものが好きでよく食べる。酒はビールを少し飲む程度で煙草は吸わない。

2種類の漢方薬を合わせて処方。飲み始めると、鼻づまりがとれ、鼻水がたくさん出始めた。その膿は濃い黄色で、臭いにおいの鼻血もたくさん出るという。そして、鼻水が出ると、ほおの痛みが楽になり、頭痛も減ると言う。そのまま同処方を継続していくと、鼻水は次第に出なくなり、約半年の服用で根治した。

⑥蓄膿症と漢方薬(17歳男性:身長168cm体重59kg)

中学校に入った頃より蓄膿が悪化し、病院で手術を行うも再発し、漢方で体質改善をと御来局された。症状は、鼻づまりと頭重感、首筋の凝りがあり、鼻水がのどにまわることが多く、黄色い膿状のものが出る。また、集中力が落ちており、長時間の勉強もできない。臭いも気になる。冷たいジュースや牛乳を好んでよく飲む。

漢方薬を処方。飲みはじめてすぐに多量の膿が出るようになり、2週間あたりくらいから徐々に消失。その後は鼻のとおりが良くなり、頭重感や首の凝りもなくなった。それと勉強にも集中してできるようになった。その後も漢方薬を継続し、約1年で飲むのを止めたが、それ以降は鼻づまりが起きていない。

手術による除去は、一時的には効果があるが、根本的な炎症体質、化膿体質を改善しなければ、また再発する。漢方薬は、体内の血液循環を改善し、奥深くに入り込んだ膿を排出させ、蓄膿が起きにくい体質へと改善する。それと冷たい飲み物や甘い物は、化膿体質を作るので注意が必要である。

⑦慢性副鼻腔炎(蓄膿症)と漢方薬(35歳の女性)

慢性的に、鼻がつまることがよくあり、風邪の後などに黄色い膿が出ることがあり、ひどいときは血が混じっていると言います。病院では蓄膿症と診断され、抗生物質をもらって飲んでいましたが、なかなか治らず、手術も勧められましたがその前に、漢方薬で治りませんかとご相談に見えられました。

顔に、吹き出物とシミがあります。子供の頃には小児喘息もあったようで、花粉症もあります。身長は155cm、体重48kgで、虫に刺されたりすると、跡が残りやすいといいます。また、蓄膿のためか、肩こり、目の奥の痛み、頭痛もあります。

漢方では、鼻や気管支、リンパ腺、扁桃腺などの病気にかかりやすい体質を、腺病体質と呼んでいます。このタイプの方は、神経質な場合が多く、肝臓の解毒機能が弱まり、蓄膿や吹き出物などの膿を生じやすくなります。この方には、肝臓の解毒機能を高める煎じ薬を飲んでもらうことにしました。その後、大便がたくさん出るようになったと言います。これは、毒素が排出されている証拠です。そのまま継続していかれますと、1ヵ月後には鼻がすっきりと通るようになり、頭痛もしなくなったと言います。その後も体質改善をかねて継続されていましたが、半年を経過した頃より、吹き出物も出なくなり、シミを薄くなってきたと喜ばれておりました。

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