コラム
連載 漢方、病気の治し方
2021年9月3日
パソコンをうまく使えない私たち漢方薬局では、「証」は常に患者さんと一緒に考えていかなければなりません。「証」とは、患者の身体内における病変が外に現れた徴候を、漢方的診断基準(望・聞・問・切)によって整理し統括したその時点における漢方的診断名であり、治療の指示を「証」と相対する薬方名で表現する。「証」とは薬方決定の根拠、証拠である。証と病名とは違います。勿論漢方医学は「証」にしたがって治療するものですから、薬方決定の根拠を説明しなければなりません。病はどこで起きているのか(陰陽)、どこへ流れていくのか、納得するように説明しなければなりません。また、現代人の身体は余りにも自然からかけ離れや結果、正直ではありません。そのため薬方を兼用しなければ症状が動かない場合も多々あります。例えば、少陽病期の柴胡剤と駆瘀血剤の桂枝茯苓丸に太陰病期の八味丸兼用方です。また、病は治癒したが、その後の健康維持の方法として、瘀血をためないように枝茯苓丸を、四十を過ぎたら八味丸を、訴えが多い方に茯苓沢瀉湯を日ごろから服用していくことを、考えていくことも大切です。
・・・次回に続く
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