患者さんとの対話を重視。理解することが早く治ることにつながります（2/3）

患者の不安、悩みに寄り添い「早くきれいに治す」

　耳鼻咽喉科に関わる病は多岐に及びますが、特にお世話になる機会が多いのが、子どもの中耳炎。中でも、2歳以下の子どもは、鼻やのどの炎症が長引くと発症しやすい傾向にあるといいます。

　「親御さんには、鼻のコントロールの重要性を呼び掛けています。菌が入り込まないよう、地道に鼻の掃除を行い、通気性を確保することが大切なのですから」。中耳炎では、耳から汁が出てきり、鼓膜切開に至るケースもあるため、不安が募りますが「難聴にならないよう、早くきれいに治すように細心の注意を払っています」と治療に全力を尽くしています。

　また、最近増えているのがアレルギーの患者だそうです。「自分でマスクや薬を使ってみたけど、なかなか治らない」という相談が多いとか。「アレルギー鼻炎の場合、約90％は原因と症状の関係がはっきりしているため、原因物質（抗原）を検査で突き止め、患者さんに抗原を避ける方法などの対策をしっかり認識してもらいます」。抗原は花粉、ペット、ダニなどがあり、ほこりを巻き上げない掃除方法なども具体的に指導し、喜ばれています。

　特に子どもは当事者の自覚がないため、保護者の理解が不可欠。ですが「アレルギー性鼻炎は目に見えにくいもの。痛みや熱を伴わない分、病院に連れて行くべきか親御さんが判断に迷い、放っておかれるケースがあるのも、やっかいです」。年とともに慣れてしまう人もいますが、生理的に正しい状態でなく、口呼吸になるなど別の部分でツケが出かねないといい「強制はできませんが、病気を丁寧に説明し、理解を得るよう努めています」。

　治療には投薬のほか、重症の場合は体質改善を図る「減感作療法」に取り組むことも。週一回、半年以上に及ぶ注射で、根本的治癒を目指します。「100％治るとは限りません。それでも、症状が緩和されれば、将来にわたって楽になります」と、鼻に悩まされ続ける患者の気持ちに寄り添い、適切な助言を行います。

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