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神垣明治(かみがきあきはる) / 不動産コンサルタント

有限会社アナベール

コラム

民法改正②「配偶者居住権」

2018年11月15日

テーマ:相続

コラムカテゴリ:法律関連

みなさん、こんにちは!

朝晩はすっかり寒くなりましたね。
寒さに負けてホットカーペットを出してしまいましたが、こたつはもう少し我慢しようと思っています。

さて、今回は前回のコラムの続きとして、「配偶者居住権」について説明します。

現行制度では、こんな不安が・・・


現行の制度では、配偶者が遺産分割終了後も居住建物にためには、配偶者が居住建物を相続することが考えられました。
しかし、この場合、不動産の評価額が高額となるため、法定相続分にて遺産を分配する際、居住建物以外の財産(預貯金等)を取得することができず、生活資金の確保に不安が残るケースがみられました。

<例>
相続人が配偶者と子、相続財産が自宅(1000万円)、預貯金(2000万円)の場合
法定相続分 : 配偶者:子 = 1:1

相続財産は合計で3000万円ですので、各相続人は1500万円ずつ取得することとなります。
しかし、配偶者が自宅を取得する場合、分配は以下のようになり、配偶者は預貯金の取得が少なくなります。

 配偶者 : 自宅 1000万円 + 預貯金 500万円
  子  : 預貯金 1500万円

これでは、住む場所は確保できても、その後の生活に不安が残りますね。
最悪の場合、生活費の確保のために自宅を売却しなくてはならなくなり、結局、住む場所にも困ることになるケースもあります。

そのようなときのために創設されたのが「配偶者居住権」です。

配偶者居住権(長期居住権)


相続開始時に被相続人の居住建物に住んでいた配偶者が終身又は一定期間、その居住建物を無償で使用・収益できるとする権利を「配偶者居住権」といいます。

これは、居住建物についての権利を「負担付き所有権」と「配偶者居住権」に分け、遺産分割等を行う際に配偶者が「配偶者居住権」を取得し、配偶者以外の相続人が「負担付き所有権」を取得することができるようにしたものです。


<例>
相続人が配偶者と子、相続財産が自宅(1000万円)、預貯金(2000万円)の場合
法定相続分 : 配偶者:子 = 1:1

相続財産は合計で3000万円です。
自宅の評価額1000万円のうち、配偶者居住権が500万円、負担付の所有権が500万円とした場合、相続財産の分配は以下のようになります。

 配偶者 : 自宅(配偶者居住権) 500万円 + 預貯金 1000万円
  子  : 自宅(負担付の所有権) 500万円 + 預貯金 1000万円

遺産分割にて配偶者が居住建物の「所有権」ではなく、「配偶者居住権」を取得することで、配偶者は居住建物に住み続けることができるだけでなく、通常の「所有権」を得たときよりも居住建物の評価額(相続金額とみなされる価格)を下げることができ、預貯金等を多く受け取ることができるようになります。

配偶者短期居住権との相違点


配偶者所有権と配偶者短期居住権の大きな違いは2つあります。

1. 発生条件
2. 存続期間
3. 対象範囲
4. 第三者への権利主張・登記


ひとつめは、権利の発生条件です。

配偶者短期居住権は、相続開始により当然に発生しますが、配偶者居住権は遺贈(遺言による贈与)または遺産分割によって取得させる必要があります。
従いまして、将来の紛争を避けるためには、あらかじめ遺言書を作成しておくことをオススメします。

2つめの違いは、権利の存続期間です。

配偶者短期居住権は存続期間の定めがありますが、配偶者居住権は原則として配偶者の終身の間、権利が存続します。
ただし、遺言や遺産分割によって、より短い期間とすることもできます。

3つめの違いは、権利の対象範囲です。

配偶者短期居住権が配偶者が無償で使用していた部分に限られることに対し、配偶者居住権は建物の全ての部分に及びます。
従いまして、仮に被相続人が生前、1階を店舗、2階を居住部分として利用していた場合でも、配偶者は2階の居住部分だけでなく、1階の店舗部分についても配偶者居住権を取得することができます。

4つめの違いは、第三者への権利主張ができることです。

配偶者短期居住権は第三者へ権利を主張することができませんが、配偶者居住権は登記により、相続人以外の第三者にも権利を主張することができるようになります。
そのため、仮に負担付き所有権を得た子どもが居住建物を売却したとしても、新しい所有者にその配偶者居住権を主張することができます。

さらに配偶者は居住建物の所有者に対して、配偶者居住権の設定登記の手続きを請求することができます。

配偶者居住権の価値評価(簡易な評価方式)


相続人間で簡易な評価方法を用いて遺産分割を行うことに合意がある場合には、以下の式で配偶者居住権の評価額を計算します。

「建物敷地の現在価値」-「負担付き所有権の価値」=「配偶者居住権の価値」

「負担付き所有権の価値」は、建物の耐用年数、築年数、法定利率等を考慮し、配偶者居住権の負担が消滅した時点の建物敷地の価値を算定した上、これを現在価値に引きなおして求めることができます。

配偶者居住権についての説明は以上です。
次回も相続に関する民法改正について、ご案内いたします!

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