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大倉佳子

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コラム

個人事業から会社組織へ、法人成り(会社設立)のベストなタイミングとは

2019年6月12日

テーマ:個人事業経営の飛躍に必要なこと

個人事業主としてビジネスを行い、売上高や利益が順調に伸びてきた場合、法人成りを検討するとよいでしょう。さて、そのベストなタイミングはどんなときでしょうか。
今回は、法人成りのベストなタイミングを中心に、会社設立の注意点などについて解説します。

個人事業主から法人成りするタイミングは売上高と利益から考える

個人事業主として事業を行う中で、会社設立(法人成り)を検討する人もいるでしょう。

どんなタイミングで会社設立するのがベストなのでしょうか。法人成りを検討する際に考慮すべきなのが、「売上高」と「利益」です。順番に解説していきましょう。

まず「売上高」です。年間売上高が1000万円以上となったときは法人成りを考えてもよいタイミングです。

その理由は消費税負担にあります。売上高1000万円以上となると消費税を負担する必要が出てきます。

もし法人成りした場合、事業開始年度およびその翌年において、消費税負担は免除されることになります。つまり、効果的に節税を行うことができるわけです。売上高1000万円が見込める状態なら、会社設立を検討してもよいでしょう。ただし、2023年の消費税インボイス方式導入に伴い、売上高1000万円という金額だけではなくなってきますのでご注意を!

次に「利益」についてです。一般的に事業の利益が500万円以上の場合、法人成りするのがよいとされています。その理由は所得税率に比して低い法人税率にあります。

個人事業主は所得税において累進課税が採用されており、利益が増えるにつれて、税負担が大きくなっていきます。課税される所得金額が「330万円以上695万円未満」である場合、その税率は20%になります。しかし、4000万円以上のケースでは税率は45%にも及びます。

一方の法人税の税率はどうでしょうか。資本金1億円以下の法人では、利益が500万円程度であった場合の法人税率は15%、個人における所得税率は20%であることを鑑みると、この時点で税負担のメリットがあることに気づきます。

さらに利益が増えた場合、節税のメリットはさらに大きくなります。もし4000万円以上超になった場合でも法人税率は23.2%に過ぎません。この場合、個人だと45%ですから、税率は約半分になっているとわかります。

法人成りのデメリットとは?

このように税負担のメリットが大きい法人成り。節税対策にはもってこいと言えますが、デメリットはないのでしょうか。法人成りを検討する際には節税対策にだけ目を奪われることなく、しっかりとデメリットも把握しておきましょう。

会社設立の主なデメリットは3つ挙げられます。
①「社会保険への加入」です。一般的に個人事業主の場合、国民年金および国民健康保険に加入すれば問題ありませんが、会社を設立して代表取締役に就いた場合、厚生年金保険および健康保険に加入しなければなりません。

これにより、保険料は法人が1/2、本人が1/2の負担です。もちろん、この法人負担の保険料は必要経費となりますが、法人の保険料負担は否めません。私の経験から判断するに、保険料は2から3倍に膨らむケースが多いようです。

社会保険料は、事業の好不調にかかわらず課されるものです。事業が順調なら負担は問題ないと思いますが、不調なときは足かせとなります。

次に「事務負担の増加」です。具体的に言うと、会計処理や労務に関する処理が複雑化します。個人事業主は青色申告であっても、複式簿記さえ理解していれば問題ありませんが、法人となればそうはいきません。

決算申告のほか、労働保険に関する手続きや株主総会の開催など、個人事業主にはなかったさまざまな事務を行う必要が出てきます。そうなれば、税理士や社会保険労務士など、専門家を頼らなければいけなくなり、税理士等への報酬も必要となるでしょう。

②「赤字となった事業年においても払う税金がある」ということです。
個人事業においては、赤字の年は、所得税、事業税等は課税されません。しかし、法人になると赤字となった事業年では、法人税はゼロであっても、均等割額といって(資本金1000万円以下の法人では)法人住民税50,000円と法人都道府県民税20,000円の計70,000円の納付はしなければなりません。

③最後に「自由にお金が使えなくなる」ことです。個人事業主の中には、個人と事業のお金を明確に分けていない人もいるでしょう。法人の場合、このようなことは許されません。個人と会社のお金を明確に区分する必要があるのです。つまり、今までのようなお金の使い方ができなくなります。

法人の代表取締役は、法人から役員報酬をもらいます。これが、個人として自由に使えるお金となります。

会社設立のベストタイミングは人それぞれ

ここまで、会社設立のタイミングや会社設立のデメリットについて解説してきました。

会社設立は節税対策に大きな効果があることは事実です。しかし、「節税」という文字だけで法人成りを検討するのはおすすめしません。やはり、ビジネスの長期的な展望を踏まえたうえで、法人成りを検討すべきです。

その視点のひとつは「事業を拡大したいかどうか」です。法人成りすると、社会的認知度は上がりますが、事務負担が増加し、経営の自由度は下がる傾向にあります。

もし、あなたが「売り上げはそこそこで十分。煩わしいことは避けて自分ひとりでビジネスを行いたい」という考えを持っているならば、会社設立はおすすめできません。実際、売上高が恒常的に1000万円を超過しているにもかかわらず、自分のポリシーを貫いて個人事業主のままでいる人もたくさんいます。

大切なのは自分の価値観です。節税という経済的な部分だけに惑わされず、将来展望を踏まえたうえで、法人成りを検討しましょう。

最初から事業拡大を見据えている人は、売上高の過多にかかわらず会社を設立するのもいいでしょう。そのほうが対外的なアピールがしやすいからです。

つまり、会社設立のタイミングは個々人の価値観に左右される部分もあるということです。会社設立は自分のスタイルに合っているのか、また自分にふさわしいタイミングはいつかということを、常に考えておくとよいでしょう。

この記事を書いたプロ

大倉佳子

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