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環境にも体にも優しい木の住まいを考える建築士

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コラム

建物の軒の出は耐久性に影響するか。

家のしくみ

2015年3月13日

建物の軒の出は耐久性に影響するか。


「軒先を借りて商売をする」
「軒先で雨宿り」

 など軒が日本の住まいには当たり前に備わっていたことが理解できます。
軒とは建物を雨から保護するための装置で主に屋根の延長や庇の事を指します。
また、雨だけでは無く適度に陽射しを遮り、冬の高度の低い太陽光は部屋に導き、夏の高度が高い太陽光は遮る暮らしやすさに関わる効果もあります。

 近年軒の出が無い建物が多くみられるようになりました。
モダンデザインなどともよばれ、都市型住宅で最近ではよく見受けられるビルのような四角いデザインの住宅です。

 単純にイメージしていただければわかりますが、軒の出がある程度60cm程度でもあれば、雨が降っても風が弱いかほぼなければ外壁が濡れることはありません。
対して軒先が無いか少ない建物では外壁は雨に打たれます。
単純に外壁材の事だけを考えても、濡れて乾いてまた濡れて乾いてをくり返すのとそうでないのとでは当然劣化スピードは違います。

 軒の出が無くなってきた原因は都市部の狭い敷地で軒を出すほど敷地に余裕がない場合があります。
やむを得ない場合もありますが、日本的な屋根の形を敬遠し、敷地の都合では無くビル的な外観を好みデザインすることも多く見受けられます。



 軒の出は建物の構造から考えなければいけない。


 そもそも陽射しのコントロール以外に軒の出を出す意味のない構造もあります。
鉄筋コンクリート(RC)住宅などがそうです。
ビル的なデザインのほとんどはRC又は鉄骨でつくられます。
特にRCなどは幾ら壁が濡れようが関係ありません。
壁の中に湿気が侵入し構造体に悪影響を与えることが無いからわざわざ屋根をつくり軒を出す必要性が無いのです。

 それに対し、木造の住宅は違います。
外壁の防水は簡単な防水紙と20mm程度の外壁材に頼っています。
外壁が濡れて湿気が躯体に入れば木材に悪影響が出ます。木材に湿気は大敵で、湿気はそれだけで耐久性に致命的なダメージを与えます。



シリング材に頼るのは危険


 「窓廻りや外壁ジョイントのシーリング材の性能がいいですから」
という説明も聞いたことがあります。
確かに以前は窓廻りなどシールはしませんでしたから軒の出や庇で雨漏りを防いできた経緯もあります。
外壁も板壁などを使うには濡れないようにしないといけませんでした。

 でもシール材の性能ってどんなに長持ちしても10年。
10年もすれば劣化が始まり、15年もほおっておけば隙間から雨が侵入します。
そのような侵入の仕方をする雨は、雨漏れとして住んでいる人にはなかなか認識されません。
雨漏れとすぐ分かれば対処もできますが何年にもわたり少しづつ侵入し、木材を腐らせ壁の中で腐朽菌が発生します。

 構造に対してふさわしくないデザインが増えてきた原因は、第一が住まい手側がそのようなことに思い至らないこと、
設計者や施工者が木造の特質を理解していない事、
ビルやマンションしか設計したことのない施工者、設計者が住宅を手掛けること。
等があると思いますが、業界にいて感じるのはいろいろデメリットもわかっているけれど他と違うデザインを簡単に実現する安易な手法なんだよね。というようなことでしょう。

 そのようなつくり方をする方たちは、一般の方に受けそうなデザインだけを優先し、そのデメリットを説明することは無いのだと思います。
売れるんだからいいじゃない。そんなところです。

 キューブ形状の建物で木造なのに水平に近い屋根でFRP防水してある分譲住宅が事務所の近くに建ち上がりました。
モダンデザインはいいけれどあの屋根は持って15年かな。

補足:キューブ型のイメージ写真は某HMから無断でお借りしましたがこのメーカーは木造では無いので正しいデザインです。
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