キャリアコンサルタントの仕事がないって本当!?独立開業後の仕事内容と集客方法を公開

2019年11月22日
キャリアコンサルタントは、2016年の職業能力開発促進法によって創設された国家資格です。相談者の適性や志向、強みなどを見つけ、相談者がよりよいキャリアを歩めるように助言します。
主な顧客は民間企業やハローワークなどの行政機関、大学にあるキャリアセンターといった教育機関が主で、組織内の人材や利用者を就労や転職につなげるためのアドバイスやサポートを期待されています。
しかし、キャリアコンサルタント自身が仕事を見つけられずにキャリアが閉ざされてしまうケースもあります。そうならないためにも仕事内容を知り、きちんと集客していくことが重要です。
今回は、キャリアコンサルタントの仕事が見つからない原因と、独立開業後の仕事内容や集客方法について紹介します。
目次
キャリアコンサルタントの仕事内容と活躍の場所
キャリアコンサルタントは「業務を独占できない」「資格保有者が増えている」といったことが原因で、仕事を見つけにくいのは事実です。しかし、独立して幅広 い分野で活躍しているキャリアコンサルタントも数多く存在します。ここではまず、キャリアコンサルタントの仕事内容と活躍の場所について紹介していきます。
企業での研修・講演
キャリアコンサルタントの仕事として、最もイ メージしやすいのが企業での講演や研修でしょう。新入社 員研修や 管理職研修、人材育 成に関する講演など、さまざまなテーマで話をします。人気の講 師になれば企業から指名を 受け、研修や講演の講師だけで生計を立てていくことも可能です。主な支援場所は企業や研修サービス会社です。
企業での転職支援
近年、企業では役職定年制度 や早期退 職制度 をは じめとした、これまでになかった制度 を構 築。これにより、仕事内容が変わ ったりキャリアチェンジを 選択 したりする社員が増えてきました。そして企業側も、社 員が転職 支援 をキャリアコンサルタントに依頼できるような社内制度を用意することがあります。キャリアコンサルタントは相談者の意向に沿って、企業が用意した転職先へ の就職や自力での転職活動を支援します。こちらも支援場所は企業になります。
企業での採用業務の代行
現在 、中小企業を中心に、専任 の採用担当を 任命 することが難しい企業が数多く存在 します。キャリアコンサルタントは、そんな企業の採用担当として採用業務を代行することができます。人手不足 が顕著 になりつつある昨今 、ハロー ワークや求人サイトに企業情報 を掲載するだけでは採用が難しくなっています。そんな企業のために採用要 件の定 義や企業説明会の実施、書類選 考や一次面接などの 初期 スクリーニングを代行 し、企業の採用業務を支援します。こちらも支援場所は企業になります。
大学でのキャリアセンターでの就職支援
大学 によっては、キャリアコンサルタントに学生向けの ガイダンスやキャリア相談、就職サポートを委託している場合もあります。主な仕事内容は、学生に対する自己分析や業界研究の支援 、エントリーシートや面接対策です。職員に代わ って 学生が 望む キャリアに進めるようにサポートしていきます。これらの支援場所は大学の就職支援課です。
就労支援機関でのキャリアアドバイザー
ハロー ワークでの就職相談や、ニート・引きこもりの就労支援 の分野でもキャリアカウンセラーの需要が高まってきました。特に 近年は、中高年の引きこもりや氷河期世代のキャリア形成など、就労やキャリアに関する社会課題 が増えています。これらの支援 が行わ れる場所は、厚生労働省が運営 する ハロー ワークや 地域若 者サポートステーション、都道府県が運営するジョブカフ ェ、民間 の若者自立・就労支援 会社やNPO法人など、多岐にわたります。

キャリアコンサルタントの仕事が見つからない原因4つ
独立開業後のキャリアコンサルタントが、仕事を見つけられない原因はいくつかあります。ここでは、主な4つの原因を見ていきましょう。
キャリアコンサルタントは業務独占資格ではないので応募者が多い
キャリアコンサルタントの業務はキャリアに関する相談に乗ることです。法律でも、「 労働者の職業の選択 、職業生活設計又 は職業能力の開 発及び向上に関する相談に応じ、助言及び指導を行うこと(能力開発促進 法第二条第5項)」と定められています。しかし、これは一言でいえば「相談者の就職や転職の相談に乗る」という業務であり、このような業務に就いている人は2016年に資格ができる前から、 行政機関や民間企業、教育機関で多くいました。
キャリアコンサルタントの資格は「名称独占資格」であって「業務独占資格」ではありません。要するに、キャリアコンサルタントを名乗らなければ、無資格の人が同様の業務に就くことは可能なのです。キャリアコンサルティングの求人に応募する人のなかには、資格を持っていなくてもキャリアコンサルタントと同じような業務経験を積んできた人が多くいます。その 結果 、1つの募集に対する倍率が高くなることが、キャリアコンサルタントの仕事が見つかりにくい原因の1つです。
資格が役に立つ場面が少ない
どのような資格にも共通 していますが、資格が最も効 果を発揮 するのは、ニーズの多さに対して資格保有者の数が少ない場合です。この場合は、待っていても仕事の依頼が殺到 するでしょう。では、キャリアコンサルタントの場合はどうでしょうか。厚生労働省の「能 力開発基 本調査 」によると、キャリアコンサルティングの 制度がある企業は平成30年度では44.0%まで 増えてきているものの、実際にキャリアコンサルティングを 受けたことがある労働者は 全体で12.8%と、まだまだ労働者側のニーズが多いとは言えないのが実情です。
一方で、キャリアコンサルタント資格保有者は平成29年9月の2万9,625人から令和元年10月には4万7,178人と約1.6倍に増加しています。これだけ資格保有者が増加 すると、資格を保有しているだけでは優位性 を保つことが難しくなり、実務経験の有無で採用が左右されるケースが増えてきます。キャリアコンサルタント資格保有者限定の求人の場合でも実務経験者の求人が多いので、相談業務や人事・採用業務を未経験の資格保有者は、仕事を得にくい状況に陥ります。
正規雇用の仕事が少ない
ハロー ワークや自治体の就 労支援窓口など、 行政 の仕事は非正規雇用の業務が多く、一度仕事を見つけても数年で契約が終了してしまうケースが大半です。企業でのキャリアコンサルティングも 継続契約を取らない限りは、短期間 の仕事で終わってしまいます。労働人 口の高 齢化や 減少の 影響 を受けて有効求人倍率が 全国的 に高まっており、専門家 からアドバイスを得なくても転職がしやすいことも、キャリアカウンセラーのニーズが上昇せず、正規雇用の求人が増えない一因といえるでしょう。
個人に対するコンサルティングの文化が根付 いていない
日本ではまだ、個人に対するコンサルティングの文化が根付 いているとはいえません。例えば、厚生労働省の「 労働安全衛 生調査 」によると、ストレスに関する相談相手は家族 ・友人が76.3%、上 司・同 僚が69.7%と圧倒的 に多く、産業医や外部機関などに相談するケースは10.0%に満たない水準です。
上記の 結果 などから、就職や転職などキャリアに関する問題 についても、家族 や友人、上司や同僚に相談することが推測されます。こういった環境下 では、外部のコンサルタントに相談するという発想 自体が生まれにくいため、キャリアコンサルタントとして独立しても相談に来てくれる人が少ないのが現状でしょう。
このように個人に対するコンサルティングの文化が根付 いていないことも仕事が見つからない原因の1つと考えられます。
キャリアコンサルタントの集客方法
活躍しているキャリアコンサルタントの多くは、企業からの案件を数多く受注 しています。金額 面でも契約の継続性の面でも、個人に比べて企業の方が高い水準で安定した収益を見込めるからです。そして、企業や大学 などの法人からの契約を得るためには営業活 動が欠かせません。
高いビジネスマインドを持ち、しっかりとキャリアコンサルティングの必要性を企業に伝え、適正な 価格で 受注 することが、キャリアコンサルタントとして活躍するための条件です。それでは活躍しているキャリアコンサルタントは、どのように集客しているのでしょうか。キャリアコンサルタント自身のスキルや、どのような分野で活躍していきたいかによって集客方法はさまざまです。ここでは、独立開業したキャリアコンサルタントの集客方法をご紹介します。
得意分野を明確にし、ターゲットを絞る
幅広 く集客していても、なかなか顧客には響きません。キャリアコンサルタントとしての得意分野を明確にして、ターゲットを絞ることが最も重要です。
例えば、若年層が得意なのか、女性 が得意なのかによってアプローチ方法は全く変わ ってきます。また、これからニーズが高まる高齢者のキャリアチェンジや 障がい者の就労などが得意であれば、高齢社員が多い会社や、まだ障がい者を雇用していない企業を中心にアプローチすることができます。まずは自分自身の得意分野を明確にし、ターゲットを絞ってみましょう。

ターゲットに効果的 な集客方法を設定する
ターゲットを決めたら、そのターゲットに届くように集客を行いまし ょう。 現在 はさまざまな手法で集客が可能ですので、その方法を順にご紹介していきます。
<1>ホームページによる集客
最初 に着手 したいのがホームペ ージの立ち上げです。どのようなキャリアコンサルタントで、これまでにどのような実績があるのか、コンサルティングの内容や費用、 期間 、コンサルティングを 受けられる日時 など、顧客が知りたい内容をホームペ ージで 解決 できるようにします。ホームペ ージ上で予約を 受け付けることもできるので、そのまま集客につなげることもできます。また ホームペ ージがあることで、企業に営業活 動を行う際にも安心感を持ってもらうことができます。ホームペ ージを作成するメリットは、上記のように告知から集客までを、一括して継続的に行うことができる点です。しかしデメ リットとして、ホームペ ージを自分で作るスキルがない場合は制作会社に依頼することになり、費用が 発生することです。
<2>ブログによる集客
ホームペ ージによる集客に近いですが、ブログを開設して集客を行うこともできます。 ブログを 使って、キャリアや人材育 成など業務に関連するテーマで記事を更新していきます。自分らしい記事を増やしていくことで、読んでいる人にキャリアコンサルタントとしてのスタンスや人柄が伝 わりやすくなり、それに興味 を持った顧客の集客につながります。メリットとして、ブログは 無料で簡単 に立ち上げられるので、ITに関する知識に自信がない人でも、比較的容易に開設することができます。デメ リットは更新に手間 がかかることです。中途半端にブログの 更新を怠るとかえって信用を落としてしまうので、粘り強く発信することが求められます。
<3>SNSによる集客
ブログ以上に簡単に集客に取りかかれるのがSNSです。SNSにより 日々の活 動を紹介していくことで、キャリアコンサルタントとしてどのような業務を行っているのか、どのようにキャリアコンサルティングに 臨んでいるのか、ということを発信できます。メリットは、SNS利用者は非常に数が多いため新規顧客になりうる母数が多いこ と、リアルタイムに発信できることです。デメ リットは、ビジネスとしてのアカウントと個人のアカウントを分けないと、ビジネス色が強くなりプライベートの 友人との関係性が崩れたり、逆にプライベートを出しすぎて集客につながらなかったりすることです。そのため、戦略 的な運用が求められます。また効果が出るまで更新を続ける必要があり、ブログと同様に更新を止めてしまうと信用が下がってしまう場合があります。
<4>ビジネスマッチングアプリによる集客
最近 は、 ビジネスマッチングを目的としたスマートフォン用アプリも増えてきました。プロフ ィールを 登録 し、お 互いに 興味 を持った人同士がマッチングするとメッセージのやり取りができるようになります。面会や商談に 結び つきやすいのが特徴で、スマホがあれば無料で手軽に始められるのもメリットの1つです。デメ リットは特にありませんが、ユーザーの多くは都市部に 在住しているので、地方で活動しているとマッチングしにくい点が挙げられます。
<5>異業種交流会への参加による集客
キャリアコンサルタントとして集客する場の1つとして、異業種 交流会があります。 大勢の人と名刺交換 をしながら、ビジネスに関する意見交換 や宣伝を 行うことができるます。メリットとして、キャリアに悩んでいる人や人材に関する課題 を抱えている企業担当者と出会うことができれば、ビジネスが 進む 可能 性があります。成果の有 無に関 わらず参加費 が発生する 点はデメ リットといえますが、有効な集客方法の1つです。
独立しても必要とされ続けるキャリアコンサルタントを目指そう
キャリアコンサルタントとして活躍していくためには自分の得意分野を明確にし、集客するターゲットを決めてアプローチすることが重要です。企業からの案件を複数持つことで収益の柱を分 散化させ、受注 が無くなった時のリスクを減らすことも重要です。キャリアコンサルタントは人と企業をつなぎ、人のキャリアに寄り添う大切な仕 事です。相談者や企業から必要とされるキャリアコンサルタントを目指し、活躍の場を広げていきましょう。
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