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コラム

老後資金のホントのところ ~女性のためのマネーセミナー「マネレピ」~

2021年8月3日

テーマ:マネーセミナー

コラムカテゴリ:お金・保険

こんにちは。ユニバーサル財務総研代表の今村浩二です。
弊社は女性限定のマネーセミナー《神戸・大阪》を開催して12年になります。

これまで約3500人以上の女性が参加してくださった当マネーセミナーにて、
どんなことを伝えているのか、
■老後資金のホントのところ ←今回
■資産運用とは何か?
の2本立てで紹介したいと思います。

老後資金のホントのところ

老後には2000万円の貯金がいるとか、なんかニュースになっていました。
本当でしょうか?
実は、もっと多く必要だという意見もあるんです。

毎日インスタ映えする外食したいわけでもなく、ブランド品をたくさん買い集めるわけでもなく、ごくごく普通の老後を過ごしたい。
それってどうしたら叶うんでしょう?

老後資金には、種類と時期と金額がある

退職後のセカンドライフに必要なお金は「老後資金」としてひとくくりにされがち。
でも、実はそんな一筋縄ではありません。
女性が生涯を通して安心して豊かに過ごそうと思ったら、老後の生活費以外にもライフステージに応じて必要になるお金があるんです。

セカンドライフで必要になる資金を大まかにまとめてみました。
①公的年金で不足する生活費を補う資金
②介護に要する資金
③有料ホームの入居に必要な資金
④入院や災害時の不測の出費に対応する資金
大きく分けてもこれだけあります。

この資金には日常の生活費の中で賄うことができない高額な買い物や旅行などの趣味、楽しみに必要な資金などは含まれていません。
また②、③、④は、年齢を重ねていくたびに、必要になる可能性が増してくる資金です。
たとえば医療費。
一生にかかる医療費は2800万円(健康保険から負担される分を含む)です。
そのうち65%の費用は60歳以降に集中します(※1)。

年齢を重ねることで資金の取り崩しが進み、手元の貯蓄は減っていく…。
その時、資産づくりや資産運用に計画性がないノープランの状態を続けていると、不安は大きくなる一方です。
ここでいうノープランは、必要になる時期も金額も違う資金を、マネープランを持たずひとくくりにすること。
つまり、同じ普通預金や定期預金、財形貯蓄に預けっぱなしにしていることを言います。

人生は長い!お金は何歳まで必要か?

老後のお金は何歳まで生きることを考えて用意すればいいと思いますか?
女性の平均寿命は87.45歳、男性81.41歳(※2)です。

私はマネープランを考える際にはいつもこう言っています。
「平均寿命をベースにマネープランを考えないように。」
平均寿命をベースに自分でマネープランを考えている人は、80歳以降の生活を「おまけのような感覚」でいる方が多いように思います。
私たちの意識の中に長らく、「人生80年設計」という考え方があったからかもしれません。
老後資金の準備でよく活用されている保険会社が扱う年金保険ですら、プランの多くは65歳から受け取りを始めて、10年間や15年間というように80歳までには受け取りを終えるものが多いので、「80歳以降は手元に残った預貯金で何とかやりくりして頑張ります」という何とも不安が残る話になってしまいます。

また、歳をとるとそんなにお金を使うこともないと考えていませんか?
決してそんなことはありません。
「何にお金を使うかは変わっても、使う金額の総額が減るようには思えない」
そう私は担当させていただいたお客様を通して感じます。
60代や70代と比較して、旅行や食事などの外で使うお金は減るかもしれません。
でもお歳を重ねて、セキュリティーや生活のクオリティーを考えて有料老人ホームに入居したいという方は少なくありません。
お財布の大きさは生涯を通して大きく変わることはないと思います。

だから、女性の場合は92歳までは最低ラインと考えて老後資金を準備してください。
ご紹介した年齢は、日本人女性が一番多く亡くなっている年齢(※2)です。
平均寿命よりもリアリティーがあります。

いったいいつから老後なのか?ショックを受ける事実

老後はいつから始まるのでしょう?仕事をリタイアする退職時?
正確な答えはありません。
長く働きたいと思っている、老けないために外には出ていたいなど、いったん退職されても何だかの形で就労される方にとっては、老後という意識はないかもしれません。
それぞれの価値観によるところが多いのですが、悩まれる方にはこのような話をしています。

現役時代と老後の境目は何かと考えた時に、勤めていた会社を退職するというのは大きな節目です。
現役時代は得られる収入で生活を維持しながら、旅行や趣味など楽しみに使うお金も賄うことができたはず。
でも退職後はお仕事に就いたとしても、得られる収入から今までの生活を賄うことは難しい。
そうなると貯蓄の取り崩しが必要になってきます。

だから、貯蓄の取り崩しが始まる、老後資金を使い始める年齢を老後のスタートと話をしています。
その年齢は何歳が多いと思いますか?
65歳が39.7%で最も多く、平均は65.9歳(※3)です。
65歳を老後のスタートとしたら92歳まで、老後資金の準備には28年という相当長い期間のマネープランが必要になります。
老後を“人生の残り時間”のようにとらえてしまうと、老後資金の準備を少なめに見積もってしまうことになりかねません。

話題になった老後資金の2000万円問題ですが、実際にその金額を確保できたとします。
その貯蓄を65歳から、たとえば毎月10万円取り崩していったら、平均寿命までも届かない81歳を過ぎた時点で貯蓄が底を尽いてしまいます。
無理せずに計画的な準備を行うには、早めから必要額を把握しておきましょう。

このことに関連したショッキングなニュースもありました。
『85歳世帯の半分で金融資産枯渇、2050年』(※4)。
公的年金の給付水準の低下により2050年には、85歳の方の半分が、預貯金などの金融資産の残高がゼロになると。
もちろん、これからの対応で必ずしもこうなるわけじゃないです。
それでも、お勤めの方が描いていた今までの常識「公的年金+退職金を基本とした生活設計」が、曲がり角に差し掛かっているように思います。

老後資金はどうやって準備する?

なんだか老後は思っていた以上に大変かも…。
老後のお金に困らないようにするためには、どうすればいいの?

そもそも、お金に困らないってどんな状況だと思いますか?
必要と感じる金額がいつでも使える状況にあることと私は思います。
そのためには働き続ける?でも、誰もができるわけじゃありません。
多くの方は年齢とともにスローダウンしていき、やがて仕事から離れて年金生活者、資産生活者となっていきます。

お仕事を離れた方々のお財布事情はこんな感じ(※5)。
高齢夫婦無職世帯(夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職世帯)
実収入 237,659円/月
高齢単身無職世帯(60歳以上の単身無職世帯)
実収入 124,710円/月
就労されていた現役時代と比べて大きくご年収は下がってしまいます。

この年金額よりもご希望される生活で必要になるお金が多い場合は、
①改めてお仕事に就く。②資産を取り崩して補う。どちらかの選択を迫られます。
働いて収入を得ることは、手元の資産の取り崩しを防いだり、取り崩しのスピードを緩やかにする効果が期待できます。
でも、何歳まで働けるかは自分の努力でコントロールできないことも多いもの。
生涯を通しての安定や安心感を得るためには、取り崩しができる資産の確保が大切になってきます。

でも、そんな大きなお金は一朝一夕につくれるほど簡単じゃない。
職業や年収、おかれた環境など、自分では越えられない壁もあるかもしれません。
だけど私たちには、平等に与えられた資源があります。
「時間」です。
この資源は私たちに大きな価値を生み出します。
ここで、時間とお金の関係について話したいと思います。

お金には次の機能があります。
1. 価値の保存機能
2. 交換機能(決済機能)
3. 価値の尺度機能
一般社団法人 全国銀行協会ホームページより)

私が伝えたいのは、さらにもう1つの機能「増殖機能」について。
増殖機能は、人と人との間でお金の貸し借りが始まった時に備わった機能と言えます。
お金を借りた人は貸してくれた人に利息を払います。
お金を貸す人はお金を貸している間、そのお金を使うことができません。
その時間の対価として利息を受け取ります。
だからその時間が長くなればなるほど、多くの利息が受け取れます。

私たちも日常の生活で誰かにお金を融通しているんですよ。
たとえば、銀行にお金を預けること。
あなたにとっては今すぐ必要ないお金でも、そのお金を今すぐ必要とする企業や個人はいます。
借りた企業や人は利息を支払わないといけません。
そこから得られる利息は、あなたが受け取る利息の一部になります。
投資信託を通して株式に投資するのもそう。
今すぐに使わないお金を使って間接的にその会社の株式を購入することで、その会社にお金を提供します。
そのお金を活かして利益を出した会社の株が値上がりすると株の価値が上がり、お金を提供した人は利息を受け取ります。

この時の利息は侮れないものです。
利息は「単利」と「複利」に分けられます。次の表をご覧ください。


預ける金額(100万円)、期間(50年間)、条件(5%の金利)はすべて同じですが、違いが一点だけ。
複利は得られた利息を元金に組み入れて運用します。
時間が経てば経つほど元金は大きくなり、雪だるま式に得られる利息が大きくなります。

この考え方は資産づくりにも活かすことができます。
同じ金額を同じ期間、資産づくりをおこなったのに、これだけの差が生まれます。

お金に働いてもらうことの価値は、資産づくりや資産形成の時だけではありません。
毎年のように延びている平均寿命を考えると、何歳まで生きるのか、そのためにどのぐらいのお金が必要になるのか不安になりませんか?
どれだけのお金を準備するか明確な答えを出せないことで、70代後半ぐらいからおそるおそる、手探りと言うかお金を使うことにためらいを感じている方も。

そんな不安は「資産寿命を延ばす」ことで解消できます。
リタイアしてそれまで貯めたお金を少しずつ使っていく時、ただ資金を取り崩すんじゃなくて、お金に働いてもらいながら、お金を運用しながら使っていくことです。

こちらのシミュレーションをご覧ください。
資産運用をしながら資産を取り崩すケースと、資産運用をせずただ貯蓄を取り崩すケースを比較。
すると、いつまでその資金を使って生活できるかを表した「資産寿命」には大きな差が。

平均寿命だけでなく、医学の進歩や意識の高まりから健康でいられる年齢が延び、私たちが活発に活動できる期間は延びています。
公的年金+退職金では足りないお金を、仕事で稼ぐだけでまかなうのは限界が…。
楽しむためのお金が今まで以上に必要になる“いまの新常識”として、お金に働いてもらうこと。
考えていただきたいと思います。

次回予告

じゃあ、お金に働いてもらうこと(資産運用)って、そもそもどういうこと?
次回は資産運用について話をします。

【出典】
※1:厚生労働省「生涯医療費 統計表一覧 <年次報告>平成30年度」
※2:厚生労働省「令和元年簡易生命表の概況」
※3:生命保険文化センター「老後資金の使用開始年齢/生活保障に関する調査/令和元年」
※4:2018年4月17日日本経済新聞電子版/三菱UFJリサーチ&コンサルティングまとめ
※5:総務省統計局「家計調査年報(家計収支編)2019年(令和元年)」

この記事を書いたプロ

今村浩二

女性が安心して暮らせるマネープランを提案する専門家

今村浩二(株式会社ユニバーサル財務総研)

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