先送りが招く悲劇・・・(管理費等滞納問題)

森﨑琢磨

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マンションの管理組合では日常の維持管理費用に充てるため、各区分所有者から月々一定額の管理費や駐車場使用料並びに将来の修繕費に充てるための修繕積立金などのお金を集めています。
これらのお金は順調に集金出来ていれば問題ないことですが、例えば、世帯主の急なリストラや、病気などによる収入の減少で支払いができない事態が発生した場合、管理組合は理事会で回収方法について話し合い、その対処をしなければなりません。
日頃、顔を合わせている滞納者に面と向かって滞納額の支払いを要求するのは、容易なことではありません。その結果、本来対処すべき理事会が問題を先送りしてしまい、大変大きな問題に発展することがよくあります。
ここで管理組合がよく勘違いされているケースをご紹介します。
管理会社との間で管理委託契約を結んでいるマンションでは、滞納管理費等の回収業務を管理会社に一任していますが、あくまでも管理会社は委託内容に基づき、業務を遂行はしてくれますが、回収リスクまでは保証しませんので、何もかも管理会社まかせは非常に大きな問題になります。理事会が絶えずチェックをして、管理会社と協力の上で、積極的に問題解決することが必要になります。
問題解決の先送りはさまざまな弊害を引き起こします。まず第一に滞納額の増加です。早期に対処していれば、回収する側も支払う側も、支払可能な方法について、よく話し合いが出来るのですが、対処を先送りすることで、話し合いで解決が出来なくなり、感情的なしこりが残った状態で、法的手段を取ることになってしまいます。滞納者側に感情的なしこりが大きくなれば、時として、取り返しのつかないトラブルに発展する場合も、現実に発生しています。
第二として滞納額増加に関連しますが、冒頭に述べたとおり、マンションの維持管理及び修繕等に必要な費用が滞納されているわけですから、資金不足が発生してその皺寄せは当然、各区分所有者にかかってくることになります。
このように、先送りは何の問題解決にならないばかりではなく、結局は将来その責任を自分たちが負うことになりますので、理事会において対処方法のマニュアル(例えば:2ヶ月滞納したら理事が出向き、督促する。3ヶ月滞納したら理事長名で内容証明郵便を出す。6ヶ月滞納したら裁判も辞さない)を作成したり、規約に滞納者に対するペナルティー条項や、総会を開催せずに理事会決議で裁判手続が出来る条項を設けることで、事務的に解決をはかり、引継ぎもスムーズに行うことが可能になります。

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森﨑琢磨(マンション管理士)

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住民一人一人に耳を傾けることで、区分所有者による問題の共有を促し、課題解決につなげます。さまざまな士業と連携したワンストップ対応も強み。マンションのかかりつけ医として、住環境と資産価値を守ります。

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