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伊藤研三

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伊藤研三(いとうけんぞう) / 学習塾

伸学塾 晴藍(せいらん)

コラム

学習体質の向上 ~取り組み姿勢のレベルアップ~

2023年11月14日

テーマ:学び方革新

コラムカテゴリ:出産・子育て・教育

古今東西、子供の成長を願って
いろいろな習い事があります。
「そろばん」「習字」「英会話」から
今流行りの「プログラミング」ま
で、運動系のものを含めると、
本当にいろいろあります。

子供の幸せを願う気持ちから、
我が子に合った、夢中になれる
ものをやらせてやりたいなあ、

これが親心。


時々保護者の方とは

「まずは好きなものからでいい
 ですよね?」

「そうだと思います。夢中になる
 経験が最も大事だと思います」

「やらせる上で、気をつけるべき
 ことは何かありますか?」

「何でもいいですが、学習体質・
 取り組み姿勢が向上するように
 するのがいいと思います」

なんてことを話したりします。


今回は、

「学習体質・取り組み姿勢」

について、これまで多くの
お子様と接してきた経験も
踏まえて、なるべく具体的に
書いてみたいと思います。

少しでも参考になれば幸いです。

***************

目次

1.取り組み姿勢のレベル

レベル0
レベル1
レベル2
レベル3
レベル4
レベル5
レベル6


2.レベルを上げていくには

***************

まずは「学習体質・取り組み姿勢」を
レベル分けして、各レベルに適した
対応と注意事項を書いていきます。

勉強でもスポーツでも好成績を
残すハイパフォーマーには、共通
の心理・行動特性がありそうです
ので、勉強やスポーツに限らず
イメージしていただければ嬉しい
です。

1.取り組み姿勢レベル 

<レベル0>
 言い訳、不平不満、他責意識
 が噴出して、結局「やらない」。
 「やらない理由・できない理由」
 を見つけて、自己正当化する
 レベル。

※対応
 具体的な指示や道筋を示して
 成長していくイメージを植え付
 ける。最初はある程度の強制力
 がある「枠組み」や「仕掛け」、
 「援助」が必要。それと同時に
 「愛情」「希望」に満ちた声掛け
 を徹底する。日々繰り返して
 「大丈夫!できる、できる」
 「そうそう~ほらいける!」等
 の言葉を常にかけていく。

※注意
 最大の目的は「当事者意識」
 と「自己責任意識」の醸成。
 早期に醸成しないと、長期的
 に様々な局面で本人が困る
 ことになることが多い。
 「自分がやるしかない」という
 意識がないと、成績が向上して
 も状況次第でパフォーマンスが
 不安定のままになることも。
 そんな時には再度「他責意識」
 起こりやすいので、要注意。


<レベル1>
言われたことを【しぶしぶ】
言われた通りに「やっている」
 
やるにはやるが、自主性はなく、
とにかく「やる」ことが目的に
なっているレベル。
 
成果が目的となっていないので、
やっつけ仕事が多く、無責任さや
曖昧さが消えない。

※対応
 具体的指示とチェックを行い、
 できていれば承認と評価を与え、
 できていなければ、何があったら
 できるようになるかを明示して、
 「援助」し、次の行動を促す。
 その際には本人がやり切るまで
 を確認していく。

※注意
 すぐに結果に表れてこなくても、
 根気強く、諦めず、愛情込めて
 声をかけ続けることが重要。
 半ば「根競べ」を覚悟する。
 結果が出るまで「諦めない」
 ことを徹底する。


<レベル2>
言われたことを、言われた通り
「やっている」
 
 「しぶしぶ」が消えて、エネルギー 
 のロスがなくなった。自主性が
 芽生えるまでには至らないが、
 以前よりも行動に移りやすく、
 取り掛かりも早くなったレベル。

※対応
 基本はレベル1と変わりないが、
 承認と評価の言葉を増やすよう
 にする。承認するための材料を
 見逃さず、タイミングよく声掛け
 する。

※注意
 一喜一憂せず冷静に状況をみる。
 本人もガッカリしやすく、すぐ
 元に戻ろうとすることも多いので
 油断は禁物。


<レベル3>
言われたことを【前向きに】
言われた通りに「やっている」
 
 前向きさが見えてきたことが
 まだまだ無意識なことが多い
 レベル。

※対応
 できれば、結果が出る前に
 具体的な言葉(『この単元は
 もうOK!良くできてる』)
 で承認・評価を伝え、いい
 結果が出たら
 『ほら、やっぱり!OK!』
 等ハッキリ伝えて、本人に
 「できるようになった」自覚
 を持たせる必要がある。


※注意
 「自分はできるんだ!」という
 想いや前向きさと確固たるも
 のにするため、結果を出すこと
 に拘り続けることが重要。
 「もうこれくらいでいい」という
 楽を求める気持ちも出やすい
 ので、引き締める。


<レベル3>
言われたことを【前向きに】
【工夫して】「やっている」

 自主性が出てきたことで、
 工夫が生まれ、工夫が生まれ
 たことで、工夫する楽しさを
 味わう、という最初の好循環
 が生まれてくるレベル。

※対応
 この段階にくると、勉強法に
 ついての自己分析ができる
 ようになりつつあるので、
 困っていることをヒアリング
 して、適切なアドバイス(勉強
 法バリエーションの提案)を
 することが有効。常に刺激し
 て、工夫の連鎖を作る。
 
※注意
 あくまでも提案にとどめ、勉強
 方法は自己決定させる。結果が
 出て分析・修正を加えることも
 自己決定させる。「援助」は極力
 削減していく。



<レベル4>
言われなくても【前向きに】
【工夫して】「やっている」

 自主性が主体性に昇華して、
 行動を設計すること自体が
 楽しくなっているレベル。

 また結果が伴ってきている
 ので、自己肯定感や自信が
 作られ始めるレベル。

※対応
 過干渉にならないように様子
 をしっかり観察しながら、行動
 の量や質、方向性、目標の高低
 やミスマッチがないかを確認
 していく。

※注意
 ある程度同じ状態が続くと、
 惰性が生まれやすいので、
 必要に応じて、刺激を与えて、
 新鮮さを演出する。また急速
 に成績が伸びた場合、実感が
 伴わないことも多く、自信に
 なる前に、疑心暗鬼になって
 しまうこともある。その場合、
 その苦しさから無意識に自分
 のレベルを下げようとする
 反作用が起こるケースも。
 要観察。
 

<レベル5>
自分で目標を掲げて
【生き生きと】
【目標を達成するために】
「やっている」

 行動とともに表情にも
 生き生き感が出るレベル。

※対応
 ここまでくると基本は見守り。
 あまり余計なことをしない方
 がよい。当人にとって「邪魔」
 や「障害」になりそうなことを
 排除するのみ。

※注意
 主体性が出てくると、迷いや
 判断疲れが出てくることも
 あるので、時折エネルギー
 を充填するようなことや、
 気持ちを軽くするために
 声掛けすることが必要。
 その際には最適タイミングを
 見極めることが何より重要。


<レベル6>
いつも【自然体で】【楽しく】
「やっている」

 目的や意志等が心身ともに
 浸透し、言葉や理屈を超越
 して自然体で取り組む
 レベル。

学習体質・取り組み姿勢では
なく、「在り方」が達人の境地。


ここから少し脱線…
意味や内容的にはズレますが、
マズローの欲求5段階説の
5段階目は「自己実現の欲求」。


これはよく知られていますが、
実はその上に「自己超越の欲求」
という6段階目があります。
それと似ている気がしています。
 

目標達成=自己実現を超越する
と、もっと広く大らかなものが
待っている感じがしています。


目標、理由、可能性…等の説明
から解放されて、自分らしく進
んでいくイメージです。


マズローによると、このレベルに
達している人は人口のたったの
「2%」ほどらしいので、なかなか
イメージしづらいですが…


ただ有難いことに、現代を生きる
我々にはこの最適モデルが…
そう…「大谷翔平選手」!


ご本人にしかわからない苦悩や
血のにじむような努力をしている
ことを感じさせない、それを苦に
していない在り方。お会いしたこ
ともなく、一方的な感覚ですが、
正にあのイメージ。


大谷翔平レベルまでとはいかない
にしても、より高いレベルに到達
したいですね。



2.レベルを上げていくには

*現在どのレベルなのかを
 しっかり認識する。それに
 より必要な対応を変える。

 必要なカードはどれ?
 「指示」「援助」「承認」
 「激励」「提案」「検証」
 「見守り」…

*自分でレベルアップを
 証明する意識を高める。
 同じレベルに留まって、
 同じ対応をされること
 への焦りを持つこと。

 いつまでも同じ対応を
 されるのは、周囲に
 「成長を認められて
  いないのと同じ」
 
それでいいのか?

と「自己分析」と「自問自答」
を繰り返すことが必要になる。

***************
 
この仕事をしながら、常に

「教え過ぎ・やり過ぎてないか」

「レベルアップを証明する機会
 を奪っていないか」

と懸念しています。

自ら夢中で取り組むことで

「やり切った充実感」

「レベルアップの楽しさ」

「自由度が増す喜び」

を身体いっぱいに感じてほしい
と思っています。


こんなことを思い浮かべながら、
つい長々と書いてしまいました。


少しでもお役に立つことがあれば
とても嬉しいです。


気温もだんだん下がってきましたね。
お子様はもちろん、
保護者の方、そしてご家族全員
風邪など召されませぬように。

最後までお読みいただき、
ありがとうございました。

この記事を書いたプロ

伊藤研三

学ぶ楽しさに出会える場をプロデュースする専門家

伊藤研三(伸学塾 晴藍(せいらん))

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